青は藍より出でて藍より青し
★『青は藍より出でて藍より青し』
(あおはあいよりいでてあいよりあおし)
《弟子が師より優れていることのたとえ。
藍草から作られた染料の青色が、元となる藍草よりも青く美しいことから。
「出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ)」とも言う》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
※本来は「優秀な弟子」と共に、「優秀な弟子を輩出した師匠」も讃える句のようであります。
ほら、私の名前を言ってみるのだ、少年Aよ。
少年じゃない? すまぬ、少女Aであったか。
でも心は男? ややこしな。SDGsってやつか。
え? LG●T……?
あ。そっち? そうとも言うね、うんうん。
横文字はアレだ、ほら……。
私の名はウ●コ。見た目純白のインコだ。
ここ、上野は池之端の邸宅前で瀕死の身を救われたのだ、三十年近く前に。
その際、足にくくりつけてあった某かに「ウソコ」と認めてあったのを、当時五歳の主(「若」と呼ばれている)が正確に読めなくてな、カタカナを。
で――「ウンコ」と名付けられてしまったワケだ。手違いだな。
人生なんてそんなもんだ。さいとしーん……。
とっくに諦めたさ。若に恨みはない。命の恩人だしー。
そうして、私と若は邸の三階で同居しつつ、兄弟同然に育った。
☆☆☆
若は社長だ。
零細企業(卑下)のアラサー二代目。
顔は十人並み。いつも女の尻を追い掛けているが(因みに大きなお尻が好き)、惚れっぽいうえに長続きしない。
先代社長夫妻も気を揉んでいる。まあ跡継ぎの問題がな……。
他に家族と言えるのは、一階に住むセキセイインコの「メリーアン」。
「ルチノー」という種の、黄色い小僧っ子だ。先代がどこぞの森から連れて来た(そんなワケあるかい)。
私の部下だな。パシリとも言える。
アイツは私のことを「大佐」と呼ぶ。まあ、教育係だしな。
レベルはイマイチ。修行が不足気味。
なのに、事もあろうか……「メリーアンはウ●コより賢い」というデマが、近頃、邸の使用人連中の間で囁かれているらしい。
バカな……あり得ひんだろう。
師匠の私を差し置いて、『青は藍より出でて藍より青し』だと?
いや?! バカな。あり得ひんだろうが!
うん?……誰から聞いたって?
そんなもん、メリーアンからに決まっているだろう。
な、メリーアン……って…………おいぃっ!
拡散元お前かよ!
「アオハアイヨリイデテアイヨリ……アイヨリ……アイ……」
エコーみたいになってるぞ。無理すんな、長いから。
ああ、確か「チューヤンのおまる」とも言うよな。
「シュツランノホマレッ!」
ちよと間違えたダケじゃーん。
――少女A。何を頷いてる?
なんか最近やけに黄色いが。
カレーライス食べ過ぎだろ。
「ソレ黄レンジャー! 黄レンジャー!」
おお、大分昭和づいてきたな。
その調子だメリーアン。
M―1の舞台も近いぞ!
「メザセふなっしー! メザセフナッシー!」
いい感じで離れたな。
……吹くなよ、潮。
汁だっけ?
(若は「尻フェチ」です)