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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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65. ビール?ビールなの?

 18時になりました。


「お待しぇ、ちまちた!しゃくやふぶち、開店でしゅ!」


 私が大きな声で言うと何故か拍手と歓声が起こる。


 「このままずっとやってくれー!」なんて声も聞こえた。

 喜んでもらっているって事だよね?嬉しいな。



 帆布シート前にはグループ毎に列が出来ている。

 最初の日は貴族の割り込み未遂があったけれどそれ以降姿を見せず、お客様は協力的で落ち着いた雰囲気。



「なあ、良いのか?飲み放題って」

「大丈夫」

「俺達、かなり飲むが本当に大丈夫か?」

「うちのオーナーは太っ腹なんだよ。酒も割と高級なものだし楽しんでくれって。遠慮なくバンバン注文しな」

「おおおー!」


 ローザお姉さんとお客さんの間でこんな会話があったとか。他の人達も大丈夫か?って聞かれたんだって。

 この世界には食べ放題が無いらしいからね。事前に気にせず飲食するよう言って欲しいと伝えておいて良かった。


 食べ物も飲み物もどんどん注文が入る。一番人気はやはり肉料理盛り合わせかな?


「お願いします」


 クララさんのオーダー表に書かれた料理をテーブルに出していると、ミムミムお姉さんが戻ってきた。


「試飲、いつから始める?って、客に聞かれた」

「いちゅでも、だいじょぶ」

「わかった」



 ミムミムお姉さんが伝えてくれたからか、チラホラと試飲のお客さんがやってくる。

 最初に来たのはモッカ団長とライアン団長だった。


「今晩は。料理もお酒も最高です。国に帰ってから恋しくなりそう」

「同意だ。俺もこんな美味いモン初めてだから、忘れられなくなりそうだ」


 2人は笑って私達に言った。


「いちゅか、国、あしょび行く」

「えっ!本当ですか?」

「あい。エユフの国、獣人の国、見てみたい」

「ああ!大歓迎だ!ぜひ来てくれ」

「しょの時、ご飯屋しゃん、しゅゆ」

「ええ、ぜひ!楽しみです」


 エルフの国は精霊とかいるのかな?獣人の国ではうさぎ族とかモルモット族とかいるのかな?

 いつか他の国も見てみたいな。


「ああ、話が逸れてすみません。お酒の試飲をさせていただけると聞いて参りました」

「どれを試してみる?」


 鳳蝶丸が入ってくれたので後はお任せする。他のお客様にはミスティルがついてくれた。



 モッカ団長は高いお酒の試飲をしている。特に白ワインが気に入ったようで嬉しそうに飲み、その後何やら考えていた。

 ライアンさんも10万エンのお酒を試飲して、一通り買うか…と呟いていた。



 皆、お金持ちだね!



 私はと言うと、途切れることなくオーダーがくるので、食べ物や飲み物をどんどん出していく。


 それにしても凄い量…。お残し禁止とか言っておいた方が良かったかな?と思ったら皆さん全部平らげているんだって。

 ソースもガーリックトーストにつけて食べるので、戻ってきたお皿に何も残っていない。何だか嬉しいね。

 そうなるとやはり、食べ放題方式はこちらの世界では採算が合わないかな。エレオノールさんに伝えなきゃ。




 怒涛のようなオーダーも一段落ついた。ウエイトスタッフの皆さんには順番に休憩してもらう。

 私と鳳蝶丸とミスティルが飲み物を飲んでいると、ビョークギルマスがやって来た。


「今回は色々と世話になった。感謝する。そして迷惑をかけて申し訳ない」


 そう言って深々とお辞儀した。


「ああいうちと、どこでもいゆ。だいじょぶ」


 手をヒラヒラ振ったらビョークギルマスが破顔した。


「ありがとう」

「どういたちまちて。ギユマシュ、ご飯、食べた?」

「いや、まだこれからだ」


 タープテントで食べるか聞いたら、良ければそうしたいと言うので、テントのテーブルに座ってもらう。


「食べ放題・飲み放題で6千エンだが良いか?」


 鳳蝶丸が言うと金貨1枚、釣りはいらないと渡してくれた。



「ようやく目処がついて、調査隊は明日解散、明後日に各国の隊が帰国するようだ。町も通常に戻りつつあるから宿屋に行ってみてくれ」

「あい、あにあと」


 ビョークギルマスがキンキンに冷やしたビールをグイっと飲んで、アーッうめえ!と声を漏らす。

 私がメニューにはない枝豆をそっと出すと、ありがとうな、と言いながらプチッと口に入れてはビールを飲んでいた。


「あちた、おしゃけ売ゆ。あしゃって、おちゅかえしゃまの日。ちあしゃって、宿、行ってみゆ」

「ああ、わかった」

「宿が決まったら町中の冒険者ギルドに行く」

「トイレの貸出料を用意しておく。俺は辺境伯の所へ行かなくてはならんからピピに声をかけてくれ」

「あい」


 ビョークギルマスは調査報告書類を持って、ミールナイト市長さんと一緒にアルシャイン辺境伯へ報告に行くんだって。

 場合によっては王都まで行かなくてはならないらしい。


「すぐに町の案内と食事にと思っていたが、本当に申し訳ない」

「俺達もずっとこの町にいるわけではないぞ」

「承知している。なので、ピピか調査隊に参加していた冒険者に案内依頼を出す。もちろん費用は俺が出すからな」


 ビョークギルマスは忙しそうなので案内が別の人になっても構わない。でも、あまり話をしていない人はちょっと………。


「ピピおねしゃん、虹のちゅばしゃ、おねしゃん、どっちか、希望よ」

「わかった。声かけてみる」


 深く頷いてからお肉をガブリと食べるビョークギルマス。その表情には疲れが滲んでいた。

 後でレインボーアコヤのバター焼きを作ってあげよう。




「あと、例の件で話がしたいんだが…」


 ビョークギルマスが足を指す。

 欠損部再生のことですね。

 私達の周りに小さめの結界を張る。外からの音は聞こえるけれど内部の音は漏れないようにして、時折来る注文に対応しつつ、ビョークギルマスの話を聞く。


 手足ばかりではなく、体が動けなくなった者達の救済をお願いしたいと言うことだった。

 欠損や古傷でどんな治癒魔法士にも治せないと言う人達らしい。

 私は以前にも言った通り治療したのが誰か知られたくないし、期待されても困る。治療は吝かではないが、数百人など大勢は対応出来ないと鳳蝶丸に告げてもらった。


「ああ、それに関してはきっちり約束を守る。だが俺が不在になるので直ぐには難しいな。ゆき殿はこの町にいつ頃までいるかわからないよな」

「うん」

「そうだよな。だとすると難しいか。色々言って悪かったな」

「あちやめゆ?」

「ああ。ゆき殿に我らの都合を押し付けるわけにはいかんしな」


 うーん。治る可能性がある人を放置するのは個人的に気が引ける。

 もちろん全ての希望者を治してあげることは出来ないけれど、聞いてしまった手前気になるしね。

 時期の確約は出来ないって感じの治療で良いかな。


「わたち達、戻った時、しゅゆ?」

「えっ!戻って来てくれるのか?」

「いいよ」


 転移の門戸があるから一瞬だし。

 いつ頃か確約出来ないけれど1年以内には一度戻るので、治療する人選をお願いした。


 金額は本当にタダで良いと一応言ってみたんだけれど、それだと価格破壊が起きて治癒魔法士達が困るって言われてしまった。

 欠損部を治せる治癒魔法士っているの?って聞いたら、遠方の国はわからないけれど少なくともこの国を含む近隣の国々には存在しないんだって。


「ちなみにだが、欠損部や古傷を治す程度ならエクストラストロングヒールでも可能だ」


 え???エクストラストロングビール?

 鳳蝶丸が教えてくれた治癒魔法の名前に困惑する。


「ああ、最上級のヒールはプレミアムヒールで、エクストラストロングヒールはそのひとつ前の治癒魔法だな」


 プレミアムだのストロングだのどうしてこうお酒っぽい名前なの?



 でもってその治癒魔法、お高いんでしょう?

 聞いてみればストロングは1億エンでプレミアムは50億エンですってよ、奥様?

 普通じゃ払いきれなくってよ?



 地球では魔力が無くて医学が発達しているけれど、考えてみれば欠損部再生とか重篤な病気を完全治癒とか出来ない事も多いから、ある意味すごい世界だよね。フェリアって。

 ただ、もし地球に治癒魔法があったとしても、1億円とか50億円とか一般の人じゃ支払えない金額だし(そんな価格設定になるか不明だけれど)、結局一部の人しか恩恵を得られないんだろうな。


 更に言うと、近隣の国々にはエクストラストロングヒールをかけられる人がいないから、もし欠損部再生をするとしたら神級ポーションかエリクサーしかないんだって。

 ちなみにどちらも1個100億エン!凄すぎでよくわからないレベルの金額だよ!


 まあ、それくらい価値のある治癒ってことだよね。うん。それは理解できる。

 でも、やっぱり1億だの50億だの100億だのってもらえないよ。

 だって、神様の使い…半神になっちゃった私が治癒魔法でお金をもらうって抵抗を感じるんだ。

 私は三柱の神様に力をいただいてとても恵まれているし、欲しいものは作り出せるからそれほど現金はいらない。

 それに今回の販売で宿屋に泊まったりお土産買えたりするお金は充分貯まったからね。


 治療した人や金額を誰にも言わないよう約束をするんだし、出来るだけ安くしたいとビョークギルマスにお願いして、結局1人2百万エンで落ち着いた。

 ただし!身売りしたり奴隷になったりして治療費を稼ごうとしている人は除外して欲しい。あと分割払いを可能にしたい、と言ったら了承してもらえた。


 治療に関していただくお金は別フォルダに保管して、後々この世界の人々に貢献できるような何かに使いたいと考えているよ。



「今度、帰ってくゆ。シュトヨング、しゅゆ」

「治癒魔法や価格設定等、ご配慮くださりありがとうございます。心より感謝いたします。どうぞよろしくお願いします」

「あいっ」


 まあ、こんなトコで良いかな。治癒の話が終わったので結界解除。

 ビョークギルマスは食後にしっかり試飲をして戻っていった。




 うとうと………。

 その後も頑張っていたけれど睡魔には抗えずうとうとし始めたので、完全に寝てしまう前に食べ物や飲み物を鳳蝶丸とミスティルに渡す。


「片付けは俺らでやっておくから安心して休みな」


 鳳蝶丸抱っこで背中をトントンされて瞼が重くなる。

 うーん、もう限界。



 夢の中へ行ってきます。お休みなさい。

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