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4. こうして私は…

「あの、話が逸れましたがもうちょっと質問が」

「うむ」

「ウル様の世界で生きるとおっしゃいましたが、生まれ変わるのではないんですか?」

「わしの世界で生を終えたわけではないから輪廻転生は出来んよ」


 そ、そうですね。


「小さき神となる予定であったが叶わなくなり、でも神格は十分高まり魂に神力も備わっている。このまま消えゆくは惜しい、ということでな。万物神の許可を得て…」


 許可を得て?



「転生すっとばして、半神半人になることとなった!」



 わ~!パチパチパチ!

 と、ウル様が拍手している。

 ムゥ様も無表情で拍手。桃様は苦笑しつつ拍手。



「は…?」


 思わず呆ける私。

 聞いておるかぁ~っと手を振るウル様。



「は、は、は、半神ーーーーー!」



 叫んでしまった私は悪くない。

 悪くない。


 フォッフォッフォッと楽しそうに笑いながら頷くウル様。


「おぬしには、創造した世界に直接干渉できぬ、地に降り立つことのできぬ我ら神に代わり、神子として世界を巡ってもらいたいのじゃよ」

「せかいをめぐる…みこ……」


 そんな事私に出来るのかな?

 今一つ自信は無いけれど、でも、こうなったらやるしかない?

 うん、やるしかないか。


 女は度胸!って言うしね!



「はい。どこまで出来るかわかりませんが、頑張ります!」


 看護や介護が始まってから旅行などほとんど出来なかった私。

 それが、新しい世界を巡ることが出来るなんて嬉しい!

 神子ってどんな役割なのか良くわからないけど…精一杯楽しもう!


「そんな頑張らなくても良いぞ。適度に仕事してたくさん楽しんでくれい」

「ありがとうございます」


 神様公認の異世界漫遊が始まるんだね!

 すると、ウル様が「話は少し変わるが」と付け足した。


「わしは地球がとても気に入っておってな。誕生してからずっと見守っておったのよ。長きに渡り携わっていた仕事を完遂させた時、褒美にわし個人の時空をいただいてな。…と言っても規模は小さめで銀河くらいじゃが。その中で生まれた一つの星を地球とほぼ同じ条件で進化させてみたんじゃ」



 褒美の規模がでかすぎる!



 そして、ウル様何だか興奮気味で早口になってきているんですけど。

 地球ヲタクなんですね、わかります。

 好きなこと話す時って興奮するよね。


「無論、真面目に管理しておるよ。地球に行って色々参考にしたり試行錯誤の連続で苦労もあるが何より好ましい時間でな。よくフェリアを覗いておるよ。希望通り青く美しい水の星に育ってきたが、ちょっとした誤算があっての。万物神がくださった時空に魔素が多すぎて地球とは違った方向に進化しつつあるんじゃ」


 これはもう趣味だな。

 もしかして都市とか作っていくあのゲームみたいな感じ?


 これぞまさに暇を持て余した神のあそ……ゲフンゲフン。


「それで、違うところとは?」

「うむうむ。魔素が多すぎる時空だったのでな。決定的に違うのは魔力。いわゆる”剣と魔法の世界”となった。魔力が主体となったからであろう、地球よりだいぶ進化が遅れておるよ。科学や医学の大きな進歩はなく、変わりに魔道具やポーションなどがある。特に化学の分野が進歩しなかった分、自然破壊なく美しい星となったよ」

「ウル様のお気に入りなんですね?」

「そうじゃ。わしはフェリアをとても愛しておるよ。そして、そこにおぬしが降り立つこととなり僥倖じゃ」


 そして、桃様にクルリと体を向け、


桃花咲待姫(ももはなさくまつびめ)にはすまないと思うておる。そちの眷属神となるはずであった魂じゃが、どうかわしに預けてほしい。大切にすると約束しよう」

「………理解しておりまする。我が愛し子を何卒よしなに」

「ムゥ神よ。わしに譲ってくれてありがとうの」

「いいえ、時空の狭間の理ゆえ。こちらこそ、わたくしの眷属をよろしくお願いいたします」


 桃様とムゥ様が美しい所作で頭を垂れた。


「さて御神子(みかんこ)よ。そろそろフェリアに降臨してもらおう」

「はい」

「おぬしの役割は4つ。瘴気に穢れた大地などを清めること、三神からの命をこなすこと、力なくした精霊などに力を分け与えること、出来る範囲で地球の知識を広めフェリア発展のきっかけを与える。それ以外は自由にして良いからの。フェリアを思う存分満喫するのじゃぞ」



 三神が緩やかに光を放ち始める。



「わたくしはムゥ。我が眷属にわたくしの神力を与え、丈夫で健やかなる身体と豊富な魔力を授けましょう」

「わしはウルトラウスオルコトヌスジリアス。わしの神力を与え、我が世界に降臨する御神子(みかんこ)に何者にも負けぬ勇気と強さと知恵と幸運を授けよう」

「われは桃花咲待姫(ももはなさくまつびめ)。我が愛し子にわれの神力を与え、美しい容姿と良き縁を結ぶ力を授けよう」


 その光は暖かくとても心地良かった。

 何か大きな優しさに包まれて微睡む。



 カア!



 強い光が放たれ、最後にウル様の、


「まずは身体と魂を魔素に馴染ませるところからじゃ~」


 という声とともに意識が遠のいていった。

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