308. 訓練場完成!あとはお任せっ
野営二日目。
鳳蝶丸に声をかけられ、作業部屋にやってまいりました。
「この大きさに合わせて魔石の形を変えてくれないか?」
「よーたい、でしゅ」
高天井用投光器の枠に嵌まるようにキング魔石を板状に伸ばす。
その魔石を鳳蝶丸が割れないよう慎重に嵌めていた。
「これにライトを付与してほしい」
「あいあい」
魔法創造でつくった『付与の光』を魔石に付与するよ。
『付与の光』は私の魔力を光に変える、と言う魔法なので、かすり傷が治る程度の治癒を光に練り込むことにした。
光の強さに関しては、高い天井に取り付けるのだから四万ルーメンくらいのイメージです。
「点けてみるか」
「やめ。目だぁぁぁあぁ、なゆ」
だめ!ここで点けたら某大佐になっちゃう!
慌てて[室内訓練場]テントを出し、二人で入る。
漂っているランタンを全部仕舞って真っ暗にし、ここなら点灯して良いよと伝えた。
「むとう、むてて」
「向こうに向ければいいんだな」
「あいあい」
カチッ
鳳蝶丸が投光器の後ろにあるスイッチをオンにすると、カッ!と光るライト。
「恐ろしく明るいな」
「てんじょ、たたい、あたゆゆ、しゅゆ」
天井が高いから、明るくしたんだ。
「2ルームテントで使っている点灯用のリモコンを複写してもらえるか?」
「あい」
リモコンを複写して出し、鳳蝶丸に渡す。
「ちょっと弄る。終わったら声をかけるから休んでいてくれるか?」
「あい」
リビングに戻りお茶を飲んでいると、ワイヤレス通信で鳳蝶丸から呼ばれる。
今回は全員作業部屋に行きました。
「とりあえず整った。天井に置くだけの数を複写してほしい」
「よーたいっ」
七人で[訓練場]テントに入り、暗視に切り替える。
私が投光器を複写しまくると、皆が床一面に仮置きした。
「リモコンを三つ複写してくれるか?」
「あい」
一部の電気を消して、暗がりでの訓練が出来ると良いかもしれない。
その場合全灯一度にON/OFFするのではなく、四ブロックに分けると扱いやすいだろうと言うことだった。
「横と縦を数えて簡単に分けておこうか」
「んじゃ、俺が縦を数える」
「では私が横を」
氷華とハルパがそれぞれの数を数え、ミスティルとレーヴァ、ミルニルが投光器の仮置き列を揃えながら、分かれ目の目印を点々と置いて行く。置いてあるのがお酒の空瓶だったのがちょっと面白い。
………廃棄したいものは私に渡すようあとで言わなくちゃ…。
「姫。あのブロックに二個、あのブロックに一個、投光器を増やしてくれる?」
「あいっ」
何個か足りなかったのね。
これで四ブロックそれぞれ同じ個数が揃いました。
「皆、感謝する。ではブロックごとに紐づけしていくな」
鳳蝶丸が投光器とリモコンを紐付ける魔法陣を焼き付ける。投光器一個一個ではなく、ブロックごとに魔法陣を展開させられるのはきっと鳳蝶丸だけだよね。凄いなあ。
「こえ、おねだい、ちまちゅ」
「了解」
魔力補充用の魔石を用意したので、これも投光器全部と繫げて下さい。
「よし。これで良いだろう。天井にはどう設置する?」
「俺、取り付けようか?」
んふふー、大丈夫。それは考えてあるよ。
一旦投光器をブロックごとに仕舞い、皆と一緒に飛行で天井付近まで登る。
天井からニメートル下くらいに結界4(平面)を張り、すでに張ってある内側の結界4(立体)の端っこと融合する。
床になった結界4(平面)に、私達が通れるよう一部穴を空けておく。
天井と結界4(平面)の間に入り、同じく結界4(平面)で高さ三十センチほどの升目を作る。升目の大きさは投光器が入る程度にする。
「とと、ましゅめ、ちた、むてて、とーとーち、おちゅ」
「ここの升目に下向きの投光器を置いていけばいいんだな」
「あいあい」
皆で手分けして先ほど作った投光器をブロックごとに置いてほしいとお願いする。
「了解だよ、姫。でも置くのに時間がかかりそうだから、ブロックごとに俺達のマジックバッグに入れてくれないかい?」
「あい。わたた」
鳳蝶丸は皆の補助をしてくれるとのことだったので、レーヴァ、ミルニル、ハルパ、氷華のマジックバッグに投光器を入れる。
「主はおんぶですよ」
「あい」
私はミスティルおんぶで皆を一生懸命応援する係!
「あにあとー!だんばえー!みんにゃ、あにあと、だんば……」
「主。並べ終わりましたよ」
「んあ?だんばえぇぇっ」
はい、寝ておりました。
「どめんにぇ」
「大丈夫ですよ。主殿の応援で早く作業が終わりました」
「ありがとう、姫。姫の応援で頑張れたよ」
えへへへ…。
申しわけないやら恥ずかしいやら。
でも皆が許してくれて良かった。
「みにゃ、あにゃーと。ひじょう、ちて」
皆ありがとう!
まずは飛行してください。
投光器の入った升の上に結界で蓋をし、防塵・防砂、何も通さないを付与する。
魔石が劣化したら、蓋のみ私達と投光器を通すにすれば替えられるよね。
空いている穴から下に降り、暗視を切る。
「まっちゅや」
「暗いですねえ」
「じゃあ点けてみるか」
鳳蝶丸が全部の投光器を点灯する。
「わあっ」
暗い場所にいたから眩しい!
「大丈夫ですか?主」
「うん。だいじょぶう」
テント内がはっきり見える。
これなら訓練ができるね!
「順番に点灯、消灯していくぞ」
「あいっ」
次は四ブロックを順番に消していき、また順番に点けていく。
「うん。出来たんじゃないか?」
「やたっ!」
出来た、出来た!嬉しいな♪
一旦作業部屋に出てテントを仕舞う。そして[室内訓練場・オリジナル]と名付け一張り複写し、そちらを[室内訓練場]と名付けなおす。
そしてすでに張ってある結界3には、私達、【虹の翼】のお姉さん達、フィガロギルマス、エレオノールさん、ディリジェンテさんのみ中に入れるとしておいた。
これで広い訓練場が確保出来たね!
早速お姉さんにと言ったら、そろそろおネムの時間ですと止められた。
気が付くと夜が結構更けていた。
「明日にしましょうね」
「あい」
お尻をポンポンされると眠くなってくる。
「このままにしておくから安心してくれ、お嬢」
「あにゃー……」
抗えず、今日も眠りにつく私だった。
おやすみなさい。
「ダンジョンに入るのは良いが、その前に勘を取り戻したほうが良いだろう」
桜吹雪号走行中、鳳蝶丸が皆に呼びかけた。
「お嬢が[室内訓練場]を作った。カラの近くで野営して軽く訓練しよう」
「おっ!エクレールから聞いて気になってたよ」
「賛成」
リンダお姉さんが早く見たいと笑い、ミムミムお姉さんもウキウキしている。
「もしかして、君達が相手をしてくれるのかい?」
「かまわん」
「ぜひ、私も!」
鳳蝶丸達が訓練に付き合ってくれると聞いて、めっちゃ喜ぶローザお姉さん達とフィガロギルマス。
「あの、多少の手加減は…」
「レベルに合わ…、念頭に置い……、………約束は出来ん」
鳳蝶丸の言葉にディリジェンテさん達は震え上がった。
手加減してね、皆!
結局、一番手加減しなさそうなミスティルが私のお守りをして、他の皆がお姉さん達とフィガロギルマス達の訓練に付き合うこととなった。
ハルパも容赦なさそうだけれど、ラエドさん達を助けたくらいだから大丈夫かな。………大丈夫だよね?
国境越えも難なくクリアし、桜吹雪号でカラ近郊へ向かう。
このまま行けばお昼前にカラの町へ到着するけれど、大分手前で車を止めて今日はもう野営の準備をします。
カラの町が見下ろせる丘の、目立たない場所に2ルームテント、[お着替えテント]、[室内訓練場]テントを張った。
「気分が悪くなるといけないから昼食は無しだよ、今から夕食前までビッシリ訓練するからね。それぞれ準備が出来たらこのテントに入って来て」
うわあ。長時間の訓練だあ。
「一応これを渡しておくよ。いざという時は躊躇なく使用するように」
レーヴァが各自に数本ずつ渡したのはポーションの小瓶。
私が練習用に作ったポーションで、うっかり魔力込めすぎて欠損部が生えシにたてなら生き返ると言う売れない代物。
ひぇぇぇっ…。
そんな危険な訓練なの?
「あとこれとこれも渡しておくよ」
レーヴァ製魔力回復ポーションと体力回復ポーションも皆に渡される。
「各自キリのいいところで休憩をとって良いけれど、今のところ休憩無しの予定だから」
にこやかに休憩無し宣言。
レーヴァ、恐ろしい子。
お姉さん達とフィガロギルマスはワクワク。
エレオノールさんとディリジェンテさんはブルブル。
エレオノールさん達の方が正常な感覚だと思うから安心して!
「それからこれ。この剣使って」
ミルニルが長剣、短剣、大剣、斧、弓を出す。
「壊れてもかまわない。いくらでもあるから」
って、それは模擬刀じゃなくて真剣では?
はわわっ。
「ちょと、まて」
ち、ちょっと待って。ええと、そうだっ!
結界7に新たな仲間を加えよう。
結界7(包)
『熱可塑性エラストマー』のような柔らかい結界。
結界3と同じく、対象の5mm上に張られて包み込む。
何かにぶつかった際は、相手を柔らかく跳ね返す。
これで良し。
「ぶち、えやぶ。持って、ちゅゆ」
「武器を選んだら持って来てって」
ミルニル通訳を聞き、皆が武器を選び私のところに持ってくる。その度に刃と鏃など、切れたり刺さったりする部分にだけ結界7(包)をかけていった。
体にぶつかれば相当痛いと思うけれど、切り裂かれることはないから大丈夫……だと思いたい。
「こえ、ちゅたう。ちえない」
「切れなくなったから、これを使ってって」
「そうなんですね」
こら、そこのフィガロギルマス。
自分の腕でギコギコしないっ!
「本当に切れませんね」
いや、他の皆もギコギコしだしたよ。
切れないけど摩擦で熱くな…。
「あっつ!」
ほらあ。
訓練は私とミスティル以外で行うとのことだったので、テントに戻る。
「よゆ、なにしゅゆ?ミシュチユ、なに、食べたい?」
「そうですねえ。今は茄子が食べたい気分です」
夜は何が食べたい?と聞いたら、茄子のリクエストが入りました。
スタミナつきそうなものも用意したほうがいいよね?
豚肉のスタミナ丼。
ごま油で豚肉を焼いて一度フライパンから出しておく。
ニンニクの芽、スライスした玉ねぎを炒め、豚肉をもう一度投入する。
焼肉のタレ(味噌ダレ)で味付けする。
丼に炊いたご飯を盛り、炒めたものをのせ、真ん中に温泉卵をのせる。
スタミナ味噌ダレ豚丼完成!
はい、無限収納。
茄子は網焼きにし、皮を剥く。
ミスティルの手に結界3を張ったので、どんどん(多少千切れ)剥いてくれました。
はい、無限収納。
生姜醤油、大根おろし&ポン酢、田楽味噌、胡麻ドレッシングを用意したのでお好みでどうぞ。
あとはきのこと卵のすまし汁。
豚丼がこってり味なので、だしの効いた優しいお味に仕上げました。
はい、無限収納。
今日の夜ご飯も美味しそう!
焼き茄子はどれで食べようかなあ。シンプルに生姜醤油かなあ。
んー………。
今日のご飯を作ったら、やることがなくなったねえ。
「主、家に戻りましょう」
「あいっ!」
お家に戻ればおもちゃもあるし、そうしよう♪
少し【幼児の気持ち】が発動しちゃったみたい。
転移の門戸でテントと我が家のリビングを繋げ、ミールナイトに戻る。
まずは外に出て、トレントちゃん達とイバヤちゃん達自宅警護班に肥料などを渡した。皆、ワサワサワサと揺れながら喜んでくれたよ♪
「あや」
「主様。一緒に遊ぶでちゅ」
「何をいたしますか?」
突然、テイルやリッカ、他の眷属ちゃん達も現れた。
うん、遊ぼう!皆で遊ぼう!
「よーい、どんっ」
五十メートル六秒台!の、つもりで一生懸命走る(足踏みとさほど変わらない)。
噴水から飛び出したエメルが、足だけ動かしながら空中に浮かび、ピヨコちゃん達もエッホエッホと走ってる風の足踏みをして、私と一緒にかけっこ。
「追い、たてっと、ちゅゆ。じゃーん、てん、ほいっ」
追いかけっこしよう?じゃーんけーんほいっ。
エメルは投げキッス。イバヤちゃん達は薔薇を差し出し、スザクは羽を胸に当てお辞儀。ピヨコちゃん達は踊り出しそうなポーズ、テイルは尻尾をピンと伸ばし、リッカは真ん丸く蹲った。
眷属ちゃん達はじゃんけんを知らないので思い思いのポーズをとってくれた。
それが凄く楽しいからじゃんけん出来なくてもそれでいいのだあっ。
「じゃーん、てーん、ほいっ」
私も変なポーズをしてみる。
楽しくて楽しくてヒャッヒャ笑っちゃう。
ミスティルはそんな私達を慈愛の眼差しで見つめていた。
しばらく遊んでいるとポツポツ雨が降り始める。
「主。お家に入りましょう」
「あい」
「それじゃ、あたくし達は戻るわね」
「主様。またお会いしましょう」
「うん、あにあと。またね」
ミスティルに抱っこされたので、皆とバイバイする。
そして子供部屋へ戻ることにした。
ウィスティリア様作の絵本を読んでもらったり、積み木で遊んでいるうちに眠くなる。
いつも寝てしまってごめんね。赤ちゃんの体はすぐ眠くなってしまうんだよう。
「ミシュチユ……」
「おネムですね」
「うん」
強烈に眠くて頭がカクンカクンする。
ミスティルが私を優しく抱き上げて子守歌を歌う。
優しい歌声を耳にしながら、気持ち良く眠ります。
おやすみなさい。
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とっても嬉しいです♪
誤字報告も大変助かっております。いつもありがとうございます。




