306. 【虹の翼】と秘密の小部屋(秘密でもない)
「今のうちに話しておきたい。この国でソグナトゥスは販売するか?」
「そうですね……。ロストロニアンからも話が来るでしょうし、可能でしたら別の国での販売をお願いしたいです」
ロストロニアン王国が保有するソグナトゥスは、結構な頭数となる。
全てを販売するのは時間がかかるだろうし、私達が近隣で販売してしまうと売れ残る可能性も出てくる。
たったいちゃん二十一号をなるべく早く返却してもらいたいということもあり、ロストロニアン王国と地続きの国では販売しないと言う話でまとまった。
あ、【虹の翼】のお姉さん達がミールナイトに持ち帰って売るのは良しとします。すぐ買取りしてもらうわけではないし、お姉さん達が狩ったという証拠にもなるしね。
とりあえず今回の旅では、カゼアリア共和国とペスケーラ王国以外での販売にしようと思います。海を渡ったら本格的に販売開始するよ。
「あいあいあい……」
「まだ眠いか?お嬢」
「ん~」
もう目覚めているんだけれど、今度は甘えたい気持ちが抑えられずミスティルの胸に頬をぺったりつける。
【幼児の気持ち】早く治まってえぇ。
ミスティルは「ほっぺフクフク…」と呟きながら頬をナデナデしている。
よ、喜んでくれるならいいのかな?
「姫。朝食後のデザートは何にするって言ってたかな?」
「あっ」
「俺、早く食べたいな。主さんも一緒に食べよう」
「あいっ」
はい、完全復活です!
すっごく楽しみにしてたウットティティーの卵とゴールデンカーンジィーミルクを使った焼きプリン!
プリン☆
「目が覚めましたか?主殿」
「あいっ」
皆で作ったのは焼きプリンです。
あらかじめ再構築・再構成で陶器のカップ(耐熱)を作っておく。
最初北欧柄の可愛くておしゃれなプリンカップを作っていたんだけれど、気が付くと違う柄が混ざっていて………。
デフォルメな私の絵が描かれたカップがニ十個も!ウィステイリア様?
結局かなり大量なプリンを作ることになりました。
ゴールデンカーンジィーミルクと割いたバニラビーンズを温め、沸騰直前に火を止める。
ボウルにウットティティー全卵とお砂糖を入れて切るようによく混ぜる。
温めたミルクをボウルに入れながらしっかりと混ぜ合わせる。
細かい目のこし器で混ぜ合わせた生地を漉す。
カップに生地を適量流しいれ、アルミホイルを被せる。
オーブンを予熱する。
バットにカップを並べ、お湯をカップ半分の高さまで注いでおく。
百五十度で三十分から四十分ほど焼く。
氷華にゆっくり粗熱をとってもらい、その後しっかり冷やしてもらう。
無限収納へ入れる
ちなみに、カラメルソースは別に作りました。
理由は……個人的にカラメルソースはいらない派だから。
お好みでどうぞにさせてもらったよ。
そして私の絵のプリンカップニ十個はウィステイリア様に奉納。
ウル様、ムゥ様、桃様にも北欧柄カップをそれぞれニ十個。ヒミツ様にもニ十個奉納しました。
神様は喜んでくださるかな?
「んんんっ、おいちっ」
朝食後のデザート、手作り焼きプリンは大好評。皆美味しいと身悶えてた。
ミルクと卵の香りが濃くてすごく美味しい♪
陶器のカップで作ったからか、普通の焼きプリンより滑らかで柔らかい口当たりだった。
「みにゃ、あにあと!」
思わず我が家の六人に抱き着いちゃったほど美味しかったよ。
プリンを半分食べたところでお腹がいっぱいになってごちそうさまをする。
残りは鳳蝶丸が食べてくれたって。皆はおかわりをしたみたい。
氷華にお着換えの手伝いをしてもらい、その間に我が家の皆が2ルームテント以外を片付ける。
「よし。行くか」
「あいっ」
氷華抱っこで外に出る。
今日はセーラー服風ワンピとレギンス。靴下とスニーカー。動きやすい恰好です。
まずは2ルームテントを仕舞い、周辺を清浄で綺麗にして終了。
出発前、村長さんにお礼を言わなくちゃ。
まだ夜が明けたばかり。
こんな早い時間だけれど、牧場周辺に複数の人影が見えた。
「おはよ、どじゃい、ましゅ」
「おお、おはようございます」
村長さんとご家族で朝のエサやりを終え、家に戻ろうとしていたらしい。
「わたちたい、ちょとだて、じたん、いいでしゅ?」
「姫さんが渡したいものがあるから、少しだけ時間が欲しいと言っているぜ」
「そうですか。ゴールデンカーンジィーやスレイク達の食事が終わるまでは時間があるので、どうぞお寄りくだされ」
「いや、中に入らなくてもいい。この牧場に何人いるか教えてくれるか?」
「見習いまで合わせると十五人おります」
じゃあ、十五個プリンを渡してください、氷華さん。
氷華がまず一つプリンを出す。
「これはゴールデンカーンジィーミルクとウットティティーの卵を使った焼きプリンと言う甘味で、姫さんが作ったんだ。出来れば冷やして、長持ちはしないからなるべく早く食べてほしい」
「甘味?」
「美味しさは商業ギルド長である私が保証しますよ」
「なんと!いいんですか?」
「あいっ」
本当はレシピも渡したいんだ。バニラビーンズなしで蒸しプリンならば作れそうだし。
でもお砂糖が手に入らないんだよね。
だから今はこんな食べ物もあるんだって思ってもらえればいいかな。
「おいち、食べて」
「美味しいから食べてくれ」
「こんな貴重な物をありがとうございます」
村長さんが家族にトレーを持ってきてもらったので、そこに焼きプリンを置く。
「入れ物は返さなくて良いです」
「えっ!こんな立派で美しい器をですか?」
「あでゆう」
「貴方にあげる、と主殿が言っています」
「また、ちゅゆ。テント、たちてね」
「いつかまた来るので、その時はまたテントを張る場所を貸してくださいとのことです」
「無論です。ぜひまた来てくだされ」
じゃあ、今回はこの辺で。
村長さんとサヨナラをして村を出る。
次回はもっとゆっくり来て、スレイクとかゴールデンカーンジィーをもうちょっと近くで見たいなあ。許されるのなら、乳しぼり体験もしてみたい。
チーズやミルクも買いたいし、また来るね!
桜吹雪号に乗り、ペスケーラ王国国境を目指してひた走る。
国境門までは二日ほどかかるため、ちょっと車いじりをしようと思います。
今は草原を走っていて揺れが少ないので、ハルパと一緒に休憩室とシャワー室のある小部屋に行く。
まずはここを少し広げ、休憩室の隣に扉を一つ取り付けた。
空間操作で扉の向こうを大きく広げて結界4(立体)で空間を囲み、白い壁やグレーの床を取り付けてシンプルな部屋にする。
中側は壁に沿って結界3を張り、何も通さない、音漏れ防止、外に振動が伝わらない、を付与する。器具などで床や壁を傷つけないようにと、休憩室に音や振動が響かないようにね。
よしっ、ここを小さなジム部屋とします!
まずは進行方向の壁に結界4(平面)を張り、プロジェクターで運転席から見える景色を投影します。何も見えないよりいいと思って。
って言うか、現在も走っているので疾走感半端ないよ。
変な感じで面白い♪
ではでは。色々と作っていくよ。
まずは魔法創造でつくったルームランナーを三種類に分けます。
お馬さん時に作ったのはどの方向に足が動いても結界の上から動けないルームランナー魔法。こちらの名前を変更してルームランナー[全方向]とする。
次はルームランナー[縦]。縦方向にだけ発動する。
今回ランニングマシンに使う魔法ね。じゃないと機械から降りれなくなるから。
最後にルームランナー[横]。横方向にだけ発動する。
ほぼほぼ使わないと思うけれど、ついでなので。
無限収納内で自走式ランニングマシン(傾斜)を再構築、再構成でランニングベルトと電気機器部分を排除。一旦出してからランニングベルト部分に結界4(平面)を張り、ルームランナー[縦]魔法を付与する。
「手しゅい、ちゅたまゆ、あゆちゅ、おねだい、ちまちゅ」
床に降ろしてもらい、ハルパにテスト歩行してとお願いする。
手すりにつかまりながら乗って、気を付けてね。
「これで良いですか?」
「あいあい」
ルームランナー魔法は普通に機能している。
単純な作りだけれど、これでいいかな。
ランニングマシン(改)を無限収納に入れ三台複写し、進行方向に走れるよう設置する。
「なるほど。車とともに走るというわけですね」
「うんっ」
ハルパが面白そうに歩いたり小走りしている間、私は次の用意をします。
ジムに通ったことは無いけれど見学ならばしたことならあるので、覚えている限りのマシンを再構築・再構成していきます。
再構築したあと、再構成で電気機器部分など排除できるものは全て無くすよ。
クロストレーナー。ハンドルを押し引きしながらペダルを前後に動かし、脂肪燃焼を促すマシン。
レッグプレス。太もも、お尻、ふくらはぎを鍛えるマシン。
チェストプレス。大胸筋、肩、腕の筋肉を鍛えるマシン。
ラットプルダウン。背中の筋肉を鍛えるマシン。
バックエクステンション。背筋を鍛えるマシン
ペクトラルフライ。大胸筋、三角筋を鍛えるマシン。
その他にダンベルやバランスボール、トレーニングチューブや腹筋ローラー、スライドボード、トレーニングマットなども用意。
こんな感じで鍛えられるかなあ。
「まじゅ、ロージャ、おねしゃん」
「わかりました。待っていてください」
まずはローザお姉さんだけ呼んできてくださいとハルパにお願いする。
「ここを広げたんだ…。!凄いな、ここ」
まず走っている景色に驚いて、次にマシンなどに驚くお姉さん。
「ちたえゆ、でちゆ?」
これで鍛えられますか?
「ここでかい?素晴らしいな」
ジム用マシンはまだ整備中と言って使わないようにしてもらい、ランニングマシン(改)とバランスボール、腹筋ローラーを開放する。
「とちて、わあ」
こうして座って……。わあっ!
ハルパ抱っこでバランスボールに座らせてもらう。
クリンとバランスを崩したら、ハルパがそっと支えてくれた。
「そうか。この丸い球の上に座って、転がらないようにするんだな」
「あいあい」
「なるほど。なかなか難しいな」
と言いながら、バランスボールの上で足を上げても微動だにしないお姉さん。
どんだけ体幹いいのだろうか。
ダンベルと腹筋ローラー、ランニングマシン(改)はハルパを通して説明する。
流石クラスSの冒険者。すぐに理解して一通り使用すると、ニコッと笑顔を浮かべて頷いた。
「これはなかなかいい」
初めて使ったのに、腹筋ローラーを正確に使用するローザお姉さん。
ランニングマシン(改)は全力疾走してるんじゃなかろうか、と言うスピードで足を動かしていた。
「体をほぐすのに丁度いい。素晴らしいよ、ゆきちゃん。ありがとう。早速皆も呼んで良いかい?いや、護衛任務もあるし、二人ずつにするかな」
気に入ってもらえたみたいなので、あとはローザお姉さんにお任せする。
……結果。二人ずつではあるものの、お姉さん達とフィガロギルマス、そして鳳蝶丸達まで順番に入り浸る小部屋が出来上がりました。
ッチーン☆




