289. 憧れのアレを開催するんだっ ふんふんふん♪
さて。皆で[星と湖]会場にやって参りました。
ここからが本番です!
「主殿は私達と回りましょう」
「あいっ。みんにゃ、おねだい、ちまっちゅ」
これから鳳蝶丸、氷華、レーヴァ班、ハルパ、ミルニル、ミスティル班のニ班に分かれて行動です。皆それぞれ、よろしくお願いしますっ。
まずは私。
階段も含む、床となる部分全てに結界4を張る。結界は何も通さない、汚れ、液体は清浄、滑り止めを付与。これで重いものを置いても床が傷つかないね。
あとは結界4で会場を囲み、一旦外からは見えないと音漏れ防止にする。もちろんいかなる攻撃も防御、毒物は入らないを付与しました。
ではでは…………。
私が先日作っておいたものを、ハルパの指示で複写しながら置いていく。
無限収納から出す時ちょっとズレたりしちゃうんだけれど、ミスティルとミルニルが力技で直してくれるんだ。
広場の真ん中に丸太の柵を設置する。
空間魔法で柵の中、特に下方を広くし、栄養素たっぷりの土を入れた。
「ここでいいですか?」
「あいあい」
木の苗を真ん中に置き、ミスティルが成長させる。そして結界4で木を囲い、転倒防止および枝葉他が丸太の柵より外に出ないようにした。
「でかい」
「ソールヴスティエルネ連合王国の樹木ですか?」
「ええ。屋台の期間が終わったら、主邸の庭に植える予定です」
そう。折角大きくしたから、終わったら我が家の庭に移動する予定なんだ。
それはともかく、他の作業も進めるぞ、おーーー!
「設置できたぞ」
もう作業完了したの?早いっ!
私達の作業中に鳳蝶丸班が戻って来た。人手が増えるのはありがたい。
「このイメージ通り、飾り付けていいのか?」
「あいっ」
飾り付けは6人のマジックバッグに入れてあるから、イメージに合っていればどんな飾りつけでもいいよ。
「ここはこの看板で良いですか?」
「あいあい」
「姫さん、ここはこんな感じ?」
「もちょと、増わちて?」
「了解」
皆でワイワイ飾り付けをする楽しい時間。それぞれ個性が出て面白いな。
鳳蝶丸はシンプルできっちりした感じ。ミスティルはフワフワと愛らしい感じ。レーヴァはアシンメトリーだけれどバランスが良く、ミルニルは豪快かつ大胆。ハルパはシンメトリーでバランスが良く、氷華は小物などを使って精密な感じ。
どれもこれも綺麗で可愛い♪
ちなみに私は手が小さくて上手に置けないから、目立たないところに小さなオブジェを並べたよ。二個ほど倒れちゃったのはご愛敬ってことで…イヒッ☆
飾りつけが一通り終わったので、二か所の入り口にアーチ型の大看板を立て、転倒防止の結界を張る。
………うん、こんなもんかな?
「あいっ」
概ね、かーんせーい!パチパチパチ♪
何をしようとしたか、もうお分かりですね?
そう。私達が用意したのは、、、
ンッジャーーーーーン!
クリスマスマーケットォォォー☆
日本にいた時あの世界一有名なクリスマスマーケットに憧れていたんだ。でも日本からは遠い国だし、行くことが叶わなかった。
だから今回、なんちゃってクリスマスマーケットにしてみました!
結局のところ行ったことないもので、色々と緩いところは見逃してね☆
では、会場を案内しましょう♪♪♪
駐車場から見えるのは(現在は結界で中が見えない)、見上げるほど大きなアーチ型看板。コチラの文字で『ソルスティス マルシェ〜主催:桜吹雪 協賛:ヒュヴァー商会〜』と書いてあります。
クリスマスマーケットと表示しないのは、また後で説明をいたしますね。
入り口すぐの左右には、銀色のクリスマスモールや銀色のオーナメント、電飾が飾られた天幕風の白いテント。
テントには大中小様々なタイプのファーコートをご用意いたしました。
サンタクロース風のデザインで、くすみカラーの[白、赤、緑、青、黄、桃]の単色のコートです。お好きなものをお選びください。
そうそう。こちらはプレゼントです。着用したコートはお持ち帰りください。
必要のないお客様は、返却いただいても問題ございません。
何故コートを用意したかと言いますと、クリスマスマーケットらしく結界内の気温を下げる予定があるからです。
実はロストロニアン王国、一年を通して春のような気候の地域。
暖かい日が多いのは、恐らく精霊達の加護が影響しているのだろうと我が家の皆が申しておりました。
そう言えば、ミールナイト付近は小雪舞い散る日もある冬でしたね。
その暖かい土地に住まう人々は、寒さ対策をほぼしておりません。ですから結界内は相当寒く感じるでしょう。
私の趣味にお付き合いしていただく皆様に、コートを用意するのは当然のことなのです。
皆が着ればサンタさんの国みたいになって可愛い☆などとは考えておりません。
…ええ、考えておりませんとも。
話は戻りまして、コートテントの裏側には『迷子センター』。
もし迷子のお子さんを見かけたら、ご自身のお子さんが迷子になったら、こちらにいらしてください。
入り口から奥に向かう道の両脇には、片側六店、合計十二店のミニミニロッジ風店舗。もちろんクリスマスの飾りで彩られております。
この辺りはヒュヴァー商会関係のお店が入る予定です。
その店舗の裏側には、私の魔力タップリな魔石の森。
ここは精霊さん達の休憩所です。お腹いっぱい魔力をお召し上がりください☆
そうそう。
甘い物が好きな精霊さんもいるというウワサを聞いたので、ロリポップキャンディやキャンディケイン、ジンジャーマンクッキー、メープルシロップやチョコレートのミニミニ噴水を用意しました。
まるでおとぎの国みたいでとても可愛い休憩所です。
ここには精霊さんと私達しか入れない結界を張りました。
お子さん達が突撃してはいけないので、新たにつくった結界7です。
自由度の高い結界4(平面&立体)がベースで、普通の結界は硬いのに対し、結界7は『熱可塑性エラストマー』みたいな素材をイメージした、透明の結界です。
突撃してもボヨーンと沈み緩やかに反発、指定した者以外は結界内に入れません。もちろんいかなる攻撃も防ぐ優れもの!
精霊さん達がゆっくり過ごせる空間となりました。
「なあ、姫さん」
「あいっ」
「魔力でガンガン殴っている状態になってンぞ」
「満タン魔力の暴風雨」
「んぅ?」
氷華とミルニルにツッコミを入れられる。
どうやら魔力を込めすぎて、私達以外耐えられない空間になっちゃったらしい。
「提案ですが、あの一番大きな魔石一つだけにして、美しい魔石クラスターは魔力を抜いたものか、本物の水晶にしたらどうでしょう」
「それくらいなら問題なさそうだ。変えられるか?お嬢」
「わたた。そーしゅゆ」
ハルパと鳳蝶丸に提案してもらったので、急いで魔石六角柱クラスターを収納し、アスケビィでしっけい……採取した水晶クラスターを複写する。
「さあ、どんどん並べましょうね」
「俺が置くから姫は安心して」
「あにあと!」
ミスティルとレーヴァ、他の皆も一緒に水晶を並べ直してくれた。
「しぇいえい、しゃん、ポンポン、だいじょぶ?」
魔石一つになっちゃったけど、精霊さんはお腹いっぱいになる?
「これだけでも十分ですよ、主殿」
ハルパからオッケーが出たのでこれで良しとしよう。
危うく魔力の暴力になるところだった……危ない、危ない。
そ、それじゃ、気を取り直してっ。
入り口から両脇の店舗を過ぎた先は憩いの場。
中央には大きなモミの木。クリスマスツリーの様にオーナメントが美しく飾られ、夜には電飾を点灯いたします。
クリスマスツリーの周りには、足元が暖かい、貴族用に作った白いこたつテーブル。この場所は、購入した食べ物や飲み物をいただくフードコートとなっております。
フードコート横にはミニミニロッジ風の店舗を縦に二列並べました。
配置は ||◎|| のような感じです。
フードコートに隣接している店舗は食べ物や飲み物。後ろ側の店舗はレースやビーズ、食器類が並び、ちょっとした娯楽も楽しめる場所となっております。
皆様、ゆったりとした時間をお過ごしください。
クリスマスツリーを通り越して進み三段ほどの階段を上ると、ツリー広場よりも更に広い場所に出ます。
今回のメイン、酒屋さんです。
突き当たりに設置された大きな天蓋風テントはお酒売り場。
陸側に行列用ポールパーテーションがございますので、そちらにお並びください。購入は順番にお願いいたします。
広場にはこたつテーブルを置きました。
湖側に試飲用のお酒とおつまみのお店を用意しましたので、こたつテーブルでじっくりと試飲していただき、どのお酒を購入するのか考えるのも楽しい時間と思われます。
大量にお酒を買ったら、身動きが取れなくなるのではと心配ですか?
いいえ、大丈夫。
[星と湖]会場は入り口が二つあり、酒屋テント横(陸側)からも出られるのです。
ヒュヴァー商会が、二箇所の駐車場から町中まで行ける往復馬車を稼働してくれることになっております。
徒歩のお客様はその往復馬車を、貴族の皆様は酒屋側に馬車を移動してお酒を持ち帰っていただければと存じます。
そのことはチラシにも記載いたしましたので、ぜひご一読くださいませ。
あ、あとトイ…、トイレも設置いたしました。
この会場に合うよう、ロッジ風に再構成。そして男性用ペールグリーン、女性用ペールイエローの扉に変更。わかりやすいように、男性・女性という文字と、山高帽&ステッキ・ドレス姿のピクトグラムを扉横に表示しました。もちろんトイレの中には使い方の説明書(イラスト付き)を置いております。
トイレ小屋は、入り口や店舗裏、酒屋広場の目立たない場所に、男女用それぞれ五基ずつ設置しましたので、どうぞご利用ください。
その他、クリスマスマーケット会場にはどの広場にも大小様々なクリスマスツリーやプレゼントの箱、スノーマン、トナカイさん風のオブジェを置いて、楽しい雰囲気にしてあります。
クリスマスコスチュームの<隠れ眷属ちゃん>オブジェが会場のどこかに設置してあるので、探すのも楽しいかもしれませんネ。
……私達しか眷属ちゃんのことを知らないけれど。エヘッ☆
と、丁寧に説明したところで次にいきます!
「ちゅじ、音、おねだい、ちまちゅ」
「ああ。遠隔で魔力充填すれば始まるぞ」
「あいっ!」
各魔石に魔力充填するための魔石を渡される。
ではでは、充填しまーす。……うんっ、成功!
ミスティル編曲・演奏・録音のクリスマス音楽が小さめの音で流れ始める。
私リクエストで、明るめの曲にしてもらったよ。
「これでいいですか?主」
「あいあいっ。楽ちい♪」
ふんふんふん♪ふんふんふふふん♪ふんふふふふふんふーん♪
ふふふふふふ♪ふんふんふふふんふんふふふふふんふーん♪
私が踊り(と言う名の屈伸運動)を始めると、皆が目を細める。
「あっ!シャンタ、しゃん!」
時折頭上を鈴の音が、右から左、前から後ろへと移動していく。
まるでサンタさんのソリが空を駆け巡っているかのように。
私は楽しくて楽しくて、鈴の音をヨチヨチ追いかける。
不定期なので、音がしない時はピョンコピョンコと飛び跳ねた。
「楽しい?主さん」
「うんっ、たのち!」
「俺達も楽しいよ。音だけでもこんなに楽めるんだね」
手をグーパーして見えないサンタさんを追いかけていると、突然のミスティル抱っこ。
大型の無言スリスリが発動したよ!
ヒャッヒャッ♪
めっちゃ楽しんじゃった。でもそろそろ入口に戻らなくては。
夕方頃にはフィガロギルマス達と【虹の翼】のお姉さん達と合流する予定なんだ。一旦コートテント付近に戻って仕上げ作業して…。
それから昼食と休憩をしておこうね。




