表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/289

274. できること できないこと はじめてしる おくりかた

 皆は桜吹雪号の結界を抜け、突進していくところだった。

 鳳蝶丸達に気付いたソグナトゥス達が逃げ惑い始めるけれど、ミスティルの大弓が容赦なく貫いていく。


 鳳蝶丸と氷華も駆け足で追いついていた。


 氷華は苦無。

 一度に数本投げつけると、数体いるソグナトゥスのこめかみにガガガガガッと突き刺さる。

 ミスティルの矢のように回収しなくて良いタイプらしく、相手を倒すと苦無が消えていた。


 鳳蝶丸はソグナトゥスの背に飛び乗り、重力がないように首をグルリと一周。簡単に首を切り取っていた。


 レーヴァは真っ赤に焼けた大剣で、ソグナトゥスの首を一太刀で焼き切っていた。



 エクレールお姉さんは矢でソグナトゥスの足を攻撃、動けなくなったところをリンダお姉さんが大斧で頭をかち割る。

 おおうっ、お姉さん達もカッコイイ!


 ローザお姉さんは単独だったりフィガロギルマスと組んだりしていた。


 ローザお姉さんは鞭!

 良く見えないけれど刃がついているようで、ソグナトゥスの足元や喉を切り裂いている。

 鞭を自由自在に操っていて凄い!


 フィガロギルマスは長剣。その素早さと言ったら、人間離れした動きで討伐しながら馬車に近付いて行く。

 腕に自信があるって言っていたけれど、確かに凄腕だった!


 2人ともカッコイイ!


「ギルド長も【虹の翼】も腕は確かなようですね」


 ハルパによると、ソグナトゥスは複数名のパーティーで挑み、冒険者側も犠牲が出るような強い魔獣なんだって。

 いつも鳳蝶丸達の一本釣りならぬ一発討伐を見ているからか、魔獣が皆弱く見えてしまう弊害………。

 知識を改めなくては。


 フィガロギルマスとお姉さん達は、倒すまでに何度か攻撃をしつつ、でも討伐にあまり時間がかかっていない。

 これって凄いことだよね?


「人の子ではかなり強い方だと思いますよ」


 やっぱりそうなんだ!


 フィガロギルマスとお姉さん達が馬車付近にいる騎士さんと合流し、内側から守りを固める。鳳蝶丸達は逃げる魔獣を追いかけては倒し、外側のソグナトゥスをどんどん倒していた。



「俺達の攻撃はもう必要ないね」

「そうですね。もう大丈夫でしょう」


 桜吹雪号からの攻撃は止め、馬車&騎士団方面にゆっくり寄る。

 最後の謎槍は返しのある銛のような、おそらくミスティル木製槍でした。



 氷華の苦無がソグナトゥスに刺さり、ドオン!と倒れたところで、全ての討伐が終了。


 いやあ………。屍の山。

 ダンジョンじゃないから消えないんだった。

 フィガロギルマスにも分配するとして、一旦全部集めてもらう?


「あちゅめゆ、しゅゆ。後、せいじょ、しゅゆ」


 おそらく美しかったであろう草原は見るも無残に血の海だった。

 屍を回収したら清浄するね?


「ええ。お願いします。ソグナトゥスは我らで拾います。主殿は車の中にいてください」

「あいあい」


 ハルパが車を降りて集合している皆のところへ行く。

 入れ替わってレーヴァが車に戻って来た。


「怪我人がいるんだけど、姫のポーションを使って良いかい?」

「うん、いいよ」


 サハルラマル以降、何度か練習して作ったポーションは今現在レーヴァが持っている。

 魔力を我慢できずに効果がめっちゃ高くなっちゃった売れないヤツなんだ。持っているだけではナンなので、こういう時に使っちゃってください!




 我が家の皆が走りながらソグナトゥスの回収を始めた。広範囲で走らせちゃってゴメンね。

 フィガロギルマスとローザお姉さん達は馬車付近の回収を行なっていた。


 レーヴァは騎士さん達にポーションを渡している。

 怪我人は何とかなったかな?


 フォン

 地図が展開し、灰色点が数十点表示された。やはりお亡くなりになった騎士さん達がいるのね。

 助かるかどうかわからないけれど、まずはやってみよう。



 治癒!(死者が生き返って怪我が治って元気になる程度!)



 ファアッと白い光が広がり、やがて騎士さん達の方から歓声があがる。

 息を吹き返した人がいるんだ。良かった!


 でも灰色点が数体残っている。


「だめだた」


 私がちょっと落ち込んでいると、ミムミムお姉さんが私の側に来た。


「今の、師匠の治癒?」

「うん…でも、たしゅて、やえなたった」

「主さん、悲しまないで。全員助けられなかったって悲しんでいる」

「師匠。騎士達も私達も皆、覚悟を持って戦ってる。悲しむんじゃなくて、勇敢に戦ったことを称えてあげて」

「称えゆ……」


 精神耐性を持ってから、他者の死に対し地球にいた時よりも悲しみが薄れたけれど、やっぱり元日本人として誰かの死を悼む気持ちは変わらない。

 でもミムミムお姉さんに言われて、称える弔い方もあるんだと知った。


 だから、歌おう。

 主を守ろうと果敢に戦った英雄達へ。



 貴方達は強く、勇ましく、素晴らしい騎士

 戦い終わった今、どうか安らかに

 皆に等しく、魂の安寧を



 草むらからふわりと光る魂が空へと向かう。



 ああ…主は助かったのだ

 我らは無事守り切ったのだ



 微かに喜びの気配を感じる。



 皆、あとを頼む

 私の家族に来世で会おうと伝えてくれ



 うん。来世で会えるといいな。

 魂が繋がっていれば、いつかどこかで会えると思う。

 だってフェリアで召された命はフェリアを巡るのだから。

 私は地球外だったからもう父と母に会えなくなっちゃったけれど、君達はきっとまた家族に会えるよ。



 私が歌い終わるころ、最後の光りが青く澄んだ空に消えた。

 草原はシンと静まっていた。



「綺麗な歌声だったよ、ゆきちゃん」

「さすが師匠」


 レーネお姉さんとミムミムお姉さんが私の手を握る。


「師匠に送ってもらえたから、もう大丈夫」

「うんうん。亡くなった騎士達も神様の元へ行けたんじゃないかな」


 天の仕組みはわからないけれど、そうだといいなあ。


「あまりに美しい光景に感動いたしました」

「疑っていたわけではありませんが、貴女は本当に天の使いでいらっしゃったのですね」


 エクレールお姉さんとディリジェンテさんがうっすらと涙を浮かべていた。



 車の結界には音漏れ防止がかかっているので私の歌声は騎士さん達には聞こえていないはず。でも魂が空へと昇る光景を見た騎士さん達が次々と膝をつき、祈りを捧げ始めていた。

 そこにハルパが向かう。騎士さん達に声をかけ、何かをしていた。


「たぶん連れて行くんだよ」


 外で亡くなった人は、本来その場所に穴を掘って埋葬するそうなんだけれど、ハルパはマジックバッグでご遺体を連れていくつもりらしい。

 優しいね、ハルパ。ありがとう。


「穴を掘っていたら時間がかかるから」


 あ、そっち。ブレない伝説の武器達。

 なんだかんだ言って、私のこと以外は感情が希薄だよね。


 まあ、でも。騎士さん達は国に帰れるし…結果良し。

 うん、やっぱりありがとうハルパ、だね。




(わたくし)達も降りて良いでしょうか?」

「アタシ達が護衛するから問題ないよ」


 私以外の全員が、車のスライドドアを開けるリモコンを持っている。

 レーネお姉さんがそのリモコンを使いドアを開けて皆が降り、車には私とミルニルだけが残った。



 暫くして鳳蝶丸が戻って来る。


「エルフの騎士団長がお嬢に挨拶したいと。どうする?」

「あいあい」


 暇してるから行くよう。

 おいでと鳳蝶丸に抱っこされ外に出た。


 外に出ると辺りは混乱していて、我が家の何人かとお姉さん達がまだソグナトゥスを回収していた。フィガロギルマスは馬車近くにいて、レーヴァはポーションを配っている。


 あっ、フィガロギルマスのそばにいるのは!


「モッタ、だんちょ!」

「ゆき様。お久しゅうございます」

「とんにちは」

「こんにちは」

「ピリタ、おねしゃん?」

「今回ピリカは共に来ておりません」

「しょうなの」


 フィガロギルマスと一緒にいたのはロストロニアン王国騎士団モッカ団長だった。


「ゆき様のポーションで、多くの騎士が助かりました。そして亡くなった騎士達が息を吹き返しました。感謝してもしきれません。重ね重ね、心より感謝申し上げます」

「あいっ。よたったね」


 モッカ団長と話をしていると、馬車からん、んんと咳払いが聞こえた。


「こちらの馬車には我が国の王と王族の方々がいらっしゃいます。ソグナトゥスを討伐していただき感謝を申し上げたいとのことですが、お目通りをお許しいただけますでしょうか?」

「あい、いいよ」


 私が返事をすると、2台の馬車から大人(たぶん)2人、青年1人、少年1人、少女1人が降りる。大人のエルフさんは物凄く若々しいのでお兄さんとお姉さんみたいだった。

 モッカ団長、騎士達、フィガロギルマス、そしてお姉さん達が一斉に膝を折り姿勢を低くする。


 あ、もしかして全員が王族かな?馬車も豪華だもんねえ。

 王族の皆さんが男性達は膝をつき、女性達は美しいカーテシーをとった。


 ひいいっ!

 綺麗なお洋服が草や土で汚れちゃうよ!


 ロストロニアンの騎士さんや従者さん?もギョッとした顔をしているよ!



「ちない、いいよ」


 膝をつかなくてもいいよ!


「お嬢は特別扱いが苦手だ。かまわんから立ってくれ」

「恐れながら、ご挨拶だけでもいたしたく」


 国王が更に深く頭を下げる。


「………あい、わたた」


 最近挨拶だけなら少し慣れてきたよ。


「お目通りが叶い、恐悦至極に存じます。(わたくし)はロストロニアン王国国王フィンウェリエ・ノッラ・ロストロニアン。王妃のガドエル、第四子レイラス、第六子エルロシュ、第十子リエルと申します。此度は我らと我が国民である騎士達の命をお救い下さり、心より拝謝申し上げます」

「どていねい、あにあと、ごじゃいましゅ。わたち、ゆち。みんにゃ、たしゅたゆ、よたったね」

「ご丁寧にありがとうございます。助かって良かったとのことだ。お嬢の名はゆき。俺達は家族兼従者の鳳蝶丸、ミスティル、レーヴァ、ミルニル、ハルパ、氷華だ」


 一応挨拶が出来たので皆さんには立ってもらう。

 うわあ、我が家に負けず劣らずキラキラだあ!

 王様も王妃様も若い。さすが長命!って言うかお子さん何人いるんだろう?子供が出来にくい種族って聞いたけれど、女の子は第十子って言ったよね?奥さん何人いるのかな…。

 さすが、恋多き種族。表情や態度は静かでシュッとしているけれど。



「ロストロニアンには帰るところか?」

「はい。所用を済ませ、帰還するところでありました」


 国王が頷く。


「あんなに大量のソグナトゥスはなぜ沸いた?」

「わかりません。恐らくソンブルの森、もしくはソンブル平原に生息していたものだと思われますが、何故街道近くにあの大群が出現したのか今のところは………」


 モッカ団長が首をひねり、そしてすぐに騎士達に命令する。


「早馬を持て。騎士5人は国境へ行きラ・フェリローラル王国及び王都の冒険者ギルドへ文書通信で知らせ、次にロストロニアン王国国境周辺の街に注意喚起の連絡をせよ」

「ハッ」


 騎士の中でも早駆けが得意な馬を持つ者達が急ぎ支度を始める。


「我らも急ぎ帰って調査の指示をせねば」

「ソグナトゥスの討伐は完了しましたが、他の魔獣が現れてもおかしくありません」

「うむ。我らもできるだけ早く出発するぞ」


 国王やモッカ団長が深刻な表情で話していたところへ騎士さんがやって来る。

 そしてモッカ団長に耳打ちした。


「なんということだ。………陛下の乗車されている馬車の車輪が壊れ、エルロシュ殿下の乗車されている馬車も車輪がいつ外れるかわからぬ状態です」

「何たることか……」

「急ぎ修理いたしますが、時間がかかると思われます」


 あれだけの群れに追われていたんだもん。

 壊れちゃうよね?

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

とっても嬉しいです♪

誤字報告もありがとうございます。とても助かっております。

これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ