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268. 車、できましたあ!

「お嬢、出来たぞ」

「あーい、あにあと!」


 そうこうしているうち、リクライニングシートが出来上がった。

 再構成で座席に革を取り付ける。シートベルトは飛行機みたいに腰のところで装着するタイプにした。


「ここを押すと座席が倒れる、ここを押すと足元の板が上がる、ここを引いて回すと椅子の方向が変えられる、でいいか?」

「うん!あにゃーと!たんてち!」


 うんっ!ありがとう!完璧だよ!


 鳳蝶丸には、スライドしてほぼ横になれる背もたれと、足置き用に持ち上がるレッグレスト、回転機構を装着して椅子が回転出来るように改造してもらった。

 ちなみに、ボタン1つでブイーンと動くのは、魔石に充填した魔力が使われているからだよ。



「運転する席と横の席はどうする?」

「あいっ、おねだい、しましゅ」

「了解」


 鳳蝶丸が私の頭を撫でながら立ち上がる。

 そして「先に席周りを調整してくるな」と運転席へ向かった。


 よし。

 私は運転席と助手席を作ろう。


 長時間運転しても疲れにくく、クッション性の高い、以前動画で見た巨大なモーターホームの座席を再構築。革は再構成で後ろの席と同じものに変更した。

 もちろん回転機構を装着。ただし運転席と助手席は電動式ではなく手動式にする。運転中うっかりボタンに触れ椅子が動きだしたら危険だもんね。


 飛行(ひぎょう)で運転席付近にいる鳳蝶丸のところに行って、椅子を仮置きしてもらう。


「これは改造しなくてもいいか?」

「あいあい」


 電動(魔力動)ではないので改造はいりません。

 椅子は魔石ボルト&ナットを使って締め、ボルトの先は魔石ボディと一体化させた。


 運転席と助手席、そして他の座席も、全部設置したら結界で固定する予定です。


「あとで動作を確認する。結界を張ったら教えてくれ」

「うん、よーたい!」


 了解です!



 さて。次は先ほど無限収納に入れた、魔力動リクライニングシートを複製および設置するよ。


 椅子は片側7席、計14席…かな?そうすれば運転席と助手席を入れて16席になる。

 うーん。片側7席かあ。中途半端な気がしちゃう私の性格。

 いっそ片側10席にする?トイレがちょい遠くなるけれど良いよね?でもそうなると運転席と助手席を入れて22席……多すぎるかな?


 まあいいや。

 やってみて、ダメなら変更するっ。


 座席は窓にピタリと付けず多少の余裕を持たせる。窓とリクライニングシートの間には、武器や荷物を置けるよう背の低い棚を設置するつもり。


 まずは座席を片側10席仮置きしてみる。


「わ、わあ…」


 長さが足りなくなって空間操作で後ろに伸ばしたんだけれど……。

 高級高速バスより長っ。

 トイレが遠っ!


 どうしようかな。うーん。どうしよう。

 ええい、大幅変更!



 一番後ろの皆でお休みする場所はなくすことにしてソファなど仕舞う。

 次にトイレと休憩室などに設置した備品や壁を全て無限収納に入れ、空間操作解除!スッキリ元通り。


 前から片側5席(両側10席)を程よい間隔で仮置きする。

 リクライニングして広さが大丈夫か確認してから設置。取り付け方は運転席と同じです。

 あとはリクライニングシートの横に武具や荷物を置く背の低い簡素な棚を置き、結界で固定する。


 次は左右両側に扉を1つずつ取り付ける。


 後ろに向かって左側の扉の先に小部屋をつくり、更に空間を2か所広げ、扉をそれぞれに設置。男性用と女性用のトイレにした。


 後ろに向かって右側の扉の先にも小部屋と2つの扉を設置。ここには休憩室とシャワー室を再作成した。



 部屋づくりが終わったら、残りの片側5席(両側10席)を取り付けて終了。

 前方の座席と後方の座席、どちらからも行きやすいよう、トイレや休憩室を真ん中に持ってきました。


 皆で休むリビングみたいな場所は作らなくていいや。

 必要なら座席を回転させて、小さめのテーブルを出せば良いからね。




「主さん。椅子設置の強化をしておくね」

「あいっ、あにあと!」


 私が運転席周りを見ているとミルニルがやって来た。

 私が一体化させたリクライニングシートのボルトとナットを、割れないように強化してくれるらしい。

 ぜひお願います!


 カーン、カーンと言う鎚打つ音を聞きながら、私は運転席にモニターを用意します。

 とは言え透明の結界4(平面)を上部の空間に固定するだけなので、すぐに終わる。

 結界4にはプロジェクター魔法を付与。「モニター映写」で現在の両サイドとバックが映し出される。「モニター終了」で映像が消えるよ。


 この車は内装が果てなく広いけれど外側はバンタイプの普通車。なんだか錯覚を起こしそうなので、モニターをつけました。


 ウンウン、可動してる。良かった♪



「主さん。終わったよ」

「あいっ」


 20席が無事固定されたみたい。


「主殿。車体の取り付けも終わりました」

「あいっ」


 外に出てみると、金剛鋼鉱石色(銀古美)の車が出来上がっていた。


 うーん。金剛鋼鉱石色も綺麗だけれど色を付けたいなあ。私の好みでいい?

 3人に相談してみると、私の車なんだから好きなようにしても良いよと言うことだったので、外装の色は紺青にした。

 そして車体の後ろ半分に、一斤染(いっこんぞめ)色の桜と花びらの線画。それから漢字で[桜吹雪]と書いた。


 某車会社の皆様ごめんなさい!エンブレムは桜吹雪のロゴに再構成する。

 あと車名と社名のエンブレムはこちらの文字とローマ字で、[SAKURA FUBUKI]に変更させてもらった。



 あと一息!

 某動画サイトであの車の総重量は2,000kgほどと言っていたような気がするから、タイヤを除いたそれ以外を浮遊(固定)1,940kgに調整。

 重さの設定はこれにて完了。



 さあ、仕上げだよ!

 まずボディの魔石のみに結界3をかけ、魔石は結界から出ないにする。

 ミルニルに打ち付けてもらって安全だけれど、念のためリクライニングシートの土台も含んで結界を張りました。


 次に車軸とタイヤ以外のメカニカルな部分とシャーシ、外装にも結界3をかけ、同じく結界から部品が出ないにした。もし魔石が崩れたり部品が落ちても、車内の形は維持されるからね。


 次は車内の空間を結界4(立体)で囲み、内側の音漏れ防止、外からの音は通す、許可した者および物しか入れないにする。


 最後は車全体に結界4(立体)を半球の形に張る。

 そしてありとあらゆる攻撃からの完全防御。悪意ある者および物は入れない。入ると同時に清浄。怪我と足の痒み問題が治る程度に治癒を付与した。


 この半球はわかりやすく言うと、料理に使うボウルを逆さまにした感じ。ついでに底も平らの結界が張られている。

 浮いている車の結界5と地面の間に底部分が生成される結界だけれど、何かの拍子でどこかにぶつかるといけないと思い、攻撃および悪意ある者・物以外は通すにしてあるよ。



「あーい!でちたー!」


 皆で微調整して、取り敢えず完成です!

 何か不都合があればそのたび直せばいいよね。


「お疲れ、お嬢」

「カッコイイね、主さん」

「中も広いですね、主殿」


 うんうん。

 なかなかの力作だと思います!


「早速乗車しよう。いいか?お嬢」

「いいよ!」



 まずは皆に完成報告と、これから乗り回そう!の声かけにリビングへ。


「うん。その前に昼食にしようか、姫」

「休憩しましょうね?主」

「夢中になるのはいいが、姫さんの昼寝の時間だろ……いや、心配しているわけじゃないぜ」


 そうだった。休憩をほぼしないでぶっ通し作業してた。

 皆でちょっぴり遅い昼食を食べたあと、ミスティルに抱っこされる。


「お昼寝の時間です」

「ゆち、(ねむ)ないよ」

「目がトロンとしていますよ?」


 背中をトントンされる。


 イヤイヤ!

 だって早く車を走らせたいもん。

 [幼児の気持ち]爆上がり中で興奮しているから寝ないもん。


「あとで皆で動かしましょう?」


 眠くない。眠くない……よ。…………ない。


(ねむ)ない、(ねむ)……………にゃ」



 コテッ。



「寝たか?」

「ああ。夕食の時間に寝てしまうところだったね」

「さて、鳳蝶丸、ハルパ、ミルニル。ものづくりの楽しさはわたしも承知していますが、主は赤子なんですから、あなた達が休憩のタイミングをはからなくてはいけません」

「そうでした。私としたことが…」

「次回から気をつける」

「すまん。うっかりした」


 と言う伝説の武器達の会話を、眠っていたため聞けませんでした。残念!




 充分にお昼寝したあと、鳳蝶丸の作業部屋にある車を無限収納に仕舞って複製し、皆で外へ出る。私の土地はめちゃくちゃ広くて未使用だし、ここを使わない手はないよね。


「よーち!出しゅっ」


 オリジナルは無限収納に残し、複製した車を出した。



 おお〜。



 まだ見ていなかった3人が感嘆の声を上げる。


「これが作成した乗り物ですか?」

「スッゲェな!おっ。中は広くなっているのか」


 あれ?何も言っていないのに、氷華はなぜ車内を広くしたことがわかるんだろう?

 魔力を感じ取ったのかな?


「姫、頑張ったね?お疲れ様」

「みにゃ、だんばった」


 皆で頑張ったんだよ。

 レーヴァが笑いながら頭をナデナデしてくれた。



「まずは中の説明をするか」

「ええ。お願いします」


 スライドドアを開け皆で車内へ。


「すっご!」

「過ごしやすそうだね」

「さすが主ですね」

「エヘヘ♪」


 ミルニルがリクライニングシート、ハルパがトイレや休憩室の案内をする。

 シャワーやトイレなどは他のテントと同じなので、使い方は省きます。



 そして最後に運転席へ。

 運転席は外からでも中からでも入れる仕様。今回は中から行きました。

 運転席には鳳蝶丸。改造、組み立てをしたので、動かし方はわかっているとのこと。


 私は氷華の膝抱っこで助手席に座る。

 日本にいた時に免許を取得していたし、父の9人用乗用車を運転していたので指導します。

 いや、地球で助手席抱っこはダメだよ!この車にもちろんベビーシートを用意してあるからね!

 指導のために今だけ座るだけだから。



 まずは皆に運転教本と学科教本を渡す。あとでじっくり読んでね。

 それから警察や教習所で見たビデオをプロジェクターで一通り見たよ。


「良し。やるか」

「あい。まじゅ、シート、ポジ、チョン、たちゅにん」


 まずシートポジションを確認してね。

 次はシートベルトをしめて、ミラー……は、プロジェクターを使うから、ブレーキペダルを踏んだままエンジンをかけよう。

 シフトレバーを動かしてサイドブレーキを解除。

 周りに人がいないか確認できたらゆっくりとブレーキペダルを離していくよ。

 あとはアクセルでスピードを出してね。


 鳳蝶丸がサーッと教本を見てから運転席を確認し、私の説明を聞く。


「始めるぞ」

「うんっ」


 結界プロジェクターで左右と後方を確認し、いざ出陣!

 鳳蝶丸は器用さと仕組み理解も相まって、直ぐに運転に慣れた様子だった。


「車もスムーズに動いていますね」

「うん。やったね、主さん」


 ハルパとミルニルも嬉しそうだった。



 一通りの説明が終わった私は、運転席後ろのベビーシートに移動する。

 次の運転手は氷華、助手席に鳳蝶丸で練習を開始。氷華も器用なので割とすぐに慣れ、スイスイ運転していた。



「騒ぎになってる」

「んう?」


 油断して寝ちゃった。

 現在の運転手はミルニルらしい。


「しゃわじ?」

「ああ。周りの騎士団がな」


 あっ、そうか!

 車なんて見たこと無いし、なんだアレ?ってなるよね?

 結界に隠匿と気配遮断の魔法付与を忘れてた。


「しぇちゅめ、しゅゆ」

「わかった」


 仕方がないので大丈夫だって説明しよ……って、ミルニルが運転してる!?

 背が足りない(声には絶対出せない)ような気がするよ?シートポジションを調整しても難しいんじゃない?


「車を組み立てた時、鳳蝶丸とミルニルが調整していました」


 私がびっくりしていると、アクセルやブレーキの位置をボタン1つで変えられるよう魔改造したと、ハルパが耳元で教えてくれた。


 皆が運転するのにミルニルだけ出来なくなるところだったよ。気が付かなくてごめんね?それから改造してくれてありがとう!

 楽しそうなミルニルを見て安心する私だった。




 とと、騎士団の皆さんに説明しなくては。

 結界の傍まで車を移動してもらい、まずはアルシャイン領の騎士団。次はラ・フェリローラル王国の騎士団。最後にウルトラウス教の聖騎士団の近くまで向かう。


「これは俺達の乗り物だ。気にしないでくれ」


 鳳蝶丸が助手席の窓を開け、片腕を出して説明する。

 不敵な笑み、低い声。まるでトラックヤロウのブンタ様みたい。カッコイイ♪



 騎士団の皆さんは見たことない乗り物にザワザワしていた。

 何やらバタバタと走り出す騎士さん達もいるけど大丈夫かな?


「ウエに報告でもするんじゃないか?」


 あ、そうかもね。


 鳳蝶丸達は各所を巡って一通り説明が終わると、すぐに運転練習を始める。

 私が気にしたから各所に説明しただけで、我が家の皆は騒がれようがなんだろうが基本気にしない武器達(ひとたち)だもんね。


 騎士団の皆さん、お騒がせしました。

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

とっても嬉しいです♪

誤字報告もありがとうございます。とても助かっております。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます(*^^*) ちょっと気になった所があったのですが 「みにゃ、だんばった」皆頑で張った→皆で頑張った で、良かったでしょうか? 初期勢の鳳蝶丸、私的に武器達の代表っぽく思ってた…
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