表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

260/291

260. 埋め合わせじゃないよ。お祝いに行くんだよっ  本当だよ!

 うーん。3週間弱、本当に何をしよう。

 新国王や貴族の皆さんにスイーツセットを配るにはタイミングが早すぎるかな。たぶん犯罪者関連の後始末がまだ終わってないよねえ。


 のんびり旅行には時間無いし、近場をフラフラする?

 ミールナイト限定でお酒販売とか。……大騒ぎになりそう、かも?


 色々考えていたら、共有フォルダに[NEW]と表示されていることに気が付いた。

 見てみるとラエドさんからのお手紙!

 お手紙には国を無事奪還できたこと。ある程度落ち着いてきたことなどが書かれていた。


 1週間後に戴冠式があるので、良かったら出席してほしいと書かれてある。


 戴冠式!

 時間に余裕あるしナイスタイミング♪

 行きます。行きますよ!戴冠式。


 飛行(ひぎょう)で皆のところへ行き、お手紙を見てもらう。


「1週間なら丁度いい。行くか」

「ええ。行きましょう」

「姫の行きたい場所ならどこへでも行くよ」

「やったね」

「奪還しましたか」

「へえ。暑い国か。楽しみとか言わな………いや、楽しみだぜ」


 ツンデレ解除悪戦苦闘の氷華さんもオッケーなので、まずはサハラタル王国に行こうということになった。

 ハルパ代筆のお手紙で、サハラタル時間明日の昼頃行くと連絡を入れると、直ぐに大歓迎と返事がくる。


 よしっ!

 ではサハラタル王国戴冠式出席決定!皆で行こうねっ、オーーー!






 翌日。サハラタル時間10時頃に転移の門戸を開く。

 繋いだのはサハルラマル上空。王都にはまだ行ったことないからね。


「王都はあちらの方角です」


 皆に結界3をかけ、ハルパが教えてくれた方向に飛行(ひぎょう)で向かう。


「見えてきたな」


 広い砂漠の真ん中に、周りの砂と同じ砂色の町が見えてくる。王都は思っていたより大きく、大小様々な建物が沢山立っていた。

 町のところどころが崩れているのは戦いのあとだろう。崩れた個所や建物の周辺に石などが積みあがっている。

 復興工事はすでに始まっているようだった。



「しと、いないねえ」

「そうだな」


 気配完全遮断したまま鳳蝶丸抱っこで町の上空を飛んでみる。

 そろそろ暑い時間に差し掛かるからか、人通りは少なめだった。


「あえ、おっちいね」

「サハラタル城です」


 町の真ん中にはとても大きな建築物がある。

 お城はとてもシンプルなデザインで、大小様々な四角形の建物が集まった感じのお城だった。



「まだ少し早いから町を歩いてみるか」

「あいっ!」


 皆で人のいない街角に降り立ち、気配完全遮断を解除する。

 今日は念のため、以前サハルラマルに来た時と同じ恰好にした。

 フードを目深に被り、風でずれないようにターバンを巻く。そして足首辺りまでマントを羽織っているので、町を歩いても違和感ないんじゃないかな。


「人が疎らだね」

「うん」


 レーヴァの言う通り、上空から見た時と同じ、人が疎らだった。

 もう暑い時間だしねえ。

 私達は結界3で快適だけれど……。楽しててごめんなさい。



 お城に向かって歩いていると、途中に貴族街へ入る門があった。


「扉が開いているな」

「門兵少ない」


 鳳蝶丸とミルニルが怪訝な顔をする。


 確かに門兵少ないね。セキュリティ大丈夫?

 それにしても……。

 人の気配はあるものの、貴族街も閑散としているのは何でだろう?



「身分証の提示を」

「これでいいか」


 私達全員が商業ギルドカードを提示する。


「商人か……、ゆ、優秀商!ん、んん!…今城内には入れん。営業なら数日後を勧める」

「いや。俺達は招待を受けて来た」


 ラエドさんのお手紙と一緒に入っていた招待状を見せると、本物か確認し、それがあるならと門を通してくれた。


「意外と簡単だったな」

「とりあえず先に進みましょう」


 氷華とハルパの言う通り、とにかくそのまま進む。


「あれが城門のようです」


 ミスティルが見上げる先に大きな城壁が見えてきた。



「いゆね」

「ああ。城門は沢山の兵士が守護しているな」


 貴族街に門兵は少なかったけれど、城門周辺には沢山の兵士が守備についていた。そして私達の姿に門兵達が慌ただしく動き出す。



「その者、歩みを止めよ」

「王都の者か」

「いいえ。我らはラエド・タクス・アミール・サハラタルから戴冠式参加の要請があり参りました」


 ハルパが商業ギルドカードと招待状を提示する。


「優秀商?」

「ハ……ル…………。ハッ、ハルパ様!」

「しばしお待ちを。隊長を呼べ!」

「ハッ!」


 慌てて走って行く若い兵士さん。

 少し待つと、隊長さんらしき人がやって来る。


「お待たせをして申し訳ありません。私は第2部隊隊長アイハムと申します。案内いたしますので今しばらくお待ちいただきたい」

「わかりました」

「ひとつお聞きしたいがよろしいか?」

「答えられることなら」

「うむ。我らにご支援いただいた優秀商の皆様でいらっしゃるか」

「……ええ。我が主殿が貴方達の支援をしておりました」

「おお…」


 隊長さんも周りで聞き耳を立てていた兵士さん達もどよめいた。


「そうでありましたか。いや、私は主殿と貴殿らに礼を伝えたかったのだ」

「礼?」

「はい。ポーションや食べ物、下着など、沢山のご支援をありがとうございました」


 近くにいた兵士さん達がありがとうございました!と声を上げる。



 うんうん。

 お役に立てたなら良かったよ。



「それから……カラアゲ、大変美味しゅうございましたっ」


 カラ……カラ……アゲ…………

  カラ……カラ…アゲ……カラ………


 途端にざわつく兵士さん達。

 そして全員背筋を伸ばし、左手を胸に当てた。


「全てのご支援に感謝いたします!」

「感謝いたします!」

「カラアゲよ永遠なれ!」

「永遠なれ!」×門兵全員



 えええ!そんななん?!

 どうなっているの?!



「危険な場面もありましたが、週末のカラアゲのために乗り切りましたっ。カラアゲは我らの救世主でありますっ」


 お、おう。


「よたったね!」

「はいっ。心より感謝いたします」


 『美味しい』が力になって良かった!

 カラアゲ教が爆誕しちゃってるけれど、ま、まあ、結果 ALL RIGHT ! ってことで。




「ゆき殿!」


 待つことしばし。

 颯爽と現れたのはラエドさん、リーフさん、サラーブさん、アースィファさんだった。


「この度は多くのご支援をいただき深謝申し上げる」

「あい、いいよ」


 私達の前に跪き、頭を垂れる4名。

 兵士さん達がギョッとしているから、取り敢えず立って下さい。

 王族が跪く優秀商ってどうなの。目立ち過ぎちゃうからとにかく立って!



「さあ、こちらへ。案内いたします」


 リーフさん微笑んだ。

 いやいや、案内役のリーフさん、私達、ラエドさん達の順で、王族が後ろを歩くってやっぱり目立っちゃうから!


 ……って、もう今更か。ハハハ。




「たいたんちち、おめでとう」

「戴冠式おめでとう、とのことです」

「ありがとう存じます。戴冠式を迎えられるのも、兵士達に犠牲が出なかったのも、全て皆様のおかげにございます」

「ちあう。皆、だんばった」


 違うよ。皆が頑張ったんだよ。


「はい。我が兵と国民は皆頑張りました。その中には皆様も入っております。我らはゆき殿達のおかげでここにあります」

「あい。よたった!」

「心より深謝いたします」



 広い部屋に案内される。

 お茶とお菓子が出てから人払いをし、今はラエドさん達と私達しかいない。

 念の為この部屋に音漏れ防止の結界を張らせてもらう。そしていつもの話し方に戻ってとお願いし、まずは新しい家族を紹介することにした。


「あたやちい、たじょちゅ。ひょーたよ」

「俺は新しく姫さんの家族となった氷華だ」

「じぇんいん、しょよた」

「姫さんが全員揃ったと言ってるぜ」

「それはおめでとうございます」

「あにあと!」


 氷華を紹介できてよかった♪



「我らは無事戦いに勝ち、父王は玉座を退くことになりました。そして王太子である兄が新国王として玉座に着くことが決定いたしました」

「王しゃま」

「はい」


 今までの経緯をリーフさんが説明してくれた。

 前国王と王妃は此度の件の贖罪としてその地位を退き、新国王の補佐に就くこととなった。そして最後まで戦い、聖杯を取り戻し、公爵家とその一派に打ち勝ったラエドさんが新国王の地位に就く。


 今回の騒ぎを起こした公爵三家は全てお取り潰し。

 その他罪のある貴族達も褫爵され、関わった者達は全て廃爵となった。

 甘い汁を吸いつつも大きな罪を犯さなかった貴族達は降爵、若しくは多額の罰金を支払うことになり、民を守らずサハルラマルから逃げた貴族達も何らかの処分が下った。

 ただし、食料や飲料水を民に与えた貴族達は恩赦を受けたとのこと。


 そうなると、今度は領地を守る貴族が不足する。

 どうするのか聞くと、答えはこうだった。


 今回の戦で功績をあげた者達の中で、元より貴族だった者は陞爵。貴族の子でまだ爵位のない者は授爵。平民で活躍し、誠実で忠義のありと判断された者は、一代限りの騎士爵、または準男爵位を授爵する。

 騎士爵と準男爵は領地を保たない代わり、王族や各領主の領地経営を手助けすることになる。


 そして、そして。

 リーフさんとアースィファさん、他の成人している王族の中で新国王に認められた者は公爵となる。

 ちなみにリーフさんは王宮に残りラエドさんの補佐を、アースィファさんは公爵領を引き継ぐらしい。

 あ、サラーブさんは公爵ではあるけれど領地を持たず、宮廷魔法省に勤務するんだって。


 そして今回公爵位を賜った者は全員、反旗を翻さないとの魔法契約をしたらしい。

 その代わり月に1回侯爵以上の会議、1年に1回全貴族代表1名が参加する会議を行い、その場での反論を不問とし、国の運営に間違っていることがあれば意見を出し合い、方向性を定めると決めたとのこと。


 まあ、ガス抜きに近いのかな?

 でも王族だからと踏ん反り返らないところがラエドさんらしいよね。




「こちらはお借りしていたマジックバッグ。魔石剣全員分が入っております」


 リーフさんがマジックバッグを出した。


「皆、だんばった」

「皆頑張りましたね、と主殿が申しております」

「ありがとう存じます」


 ラエドさん達全員が深く頭を下げた。


「アクセサリーは良いとおっしゃっていたので兵士達に渡しましたが、問題ありませんか?」

「あい、いいよ」


 ハルパが兵士さん達に渡しても良いって言っていたもんね。

 だからアクセサリーはプレゼントするね!



 そうそう。

 それとは別に、貸し出しとプレゼントをしようと思っている物があるんだ。


 まずはねえ………マジックバッグと結界付与付きの魔石剣!

 呼べば戻ってくる機能付き!


 ラエドさんからお手紙をもらった直後にミルニルにお願いしたの。

 魔石剣(大剣)の柄に小さな穴をつくり、空間操作先生で大きな講堂(約7000平方メートル)くらいの空間を広げ、マジックバッグ化。時間停止にはしないので気を付けてね。


 それから結界1を付与。王都全ては無理だけれど、広範囲の結界が張れるよ。

 ちなみにこちらもシルバーロックトータスの甲羅を切れるくらい頑丈です。


 あとはマジックバッグ無し、装飾(宝石)なし、結界3だけ付与のダガー型魔石剣。

 マジックバッグなしなので、ダガー君◯号ではありません。

 これはラエドさん達と、武勲を立てた人にプレゼントする用ね。



 魔石剣に関しては、昨夜皆に相談したの。

 特にダガー型魔石剣はマジックバッグなしなので、呼べば戻る機能はない。

 盗まれて悪用されないようにするにはどうしたらいい?って思ったんだ。


「剣自体に結界3を張るのはどうだ?」


 鳳蝶丸からは、大剣およびダガー型魔石剣に結界3を張り、盗もうとする者、犯罪に使おうとする者は触れられないを付与するのはどうだ?と提案があった。


「掴めないようにすれば良いと思います。触ると痛いとかどうですか?」


 ハルパは犯罪者が触ると痛みを感じるのばどうですか?という提案をする。

 じゃあ、結界に触れたら静電気が発生し、バチン!と恐ろしいくらいの痛みを感じるなんてどうだろう?


 え?もうひと声?、


 静電気バッチバチでも我慢して無理に触ろうすると、ウナギみたいにツルンツルン滑って掴むことが出来ず、結果持つことが出来ない、でどう?


「それくらい付与されていれば問題ないだろう」

「うん。良いんじゃないかな」


 皆が納得してくれたので、今ので決定!


 昨夜中に大剣とダガー型魔石剣に結界を張りました。

 これで安心だね♪

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

とっても嬉しいです♪

これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カラアゲ教入信しようか真剣に考えてしまった。たやあで!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ