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26. 宣言は高らかに

 ふぁふ…。


 おはようございます。

 いや、おそようございます。

 とっくにお昼過ぎてます。



 目覚めたら自分の寝室のベッドだった。

 私が起きた気配を察知して鳳蝶丸が来てくれる。


「夕べはお疲れさん。大丈夫か?」

「うん。だいじょぶ~」


 ベッドから降ろしてもらって鳳蝶丸と手をつなぐ。


「あ…」

「どうした?」

「乙女のヒミチュ」


 と言って化粧室を指す。


「そうか。ん、わかった」


 詮索せず部屋を出て行ってくれた。良かった。



 鏡を見て、自分に清浄して、気分的にうがいをして、髪を整えて、一張羅の白いワンピースを整えて、リビングに向かった。

 何か、自分の足で歩くの久しぶりな気がする。


 ヨチヨチと歩いてリビングに行くと、二人はソファに座って寛いでいた。


「おはよう、ごじゃいましゅ」

「おはよう」

「おはようございます」


 二人の所まで行くとミスティルがソファに座らせてくれた。


「ここどこ?」

「私のいた場所です」

「コアは?」

「変わらんな。森は魔獣もいなくて空っぽだ」


 私達がダンジョンコアの空間を出た頃はすでに夜が明ける時間だったらしい。

 二人は荊棘ドームに2ルームテントを出して私を寝かせた後、周辺を確認してくれた。

 森は不気味なほど動くものがいなかったらしい。

 まあ、いまダンジョンコアが休止中だからね。



 安全を確認した後、鳳蝶丸がミスティルとルームツアーをしてこのテントの事を説明済みとのこと。


「わたしの部屋はあなたの近く、鳳蝶丸の向かいの部屋になりました」

「あいっ。よよちくね」

「ええ」



 これからどうしようか?と言う話になりかけた時、スッとウルちゃんラインが開いた。


『お疲れさん(スタンプ)』

『任務達成したの』

『ありがとう(スタンプ)』


『ウル様、お疲れ様です』

『今回の命はこれで大丈夫でしょうか?』


『うむうむ(スタンプ)』

『上出来以上じゃよ』

『おかげで死の森を消失させず』

『また、たくさんの命も救われた』

『感謝感激(スタンプ)』


 ウル様に合格点をもらえて良かった!

 これからすぐ伝説の武器を探しに行くと言ったら、そんなに急がなくても良いとのこと。

 この世界の色々な種族と交流して、色々なものを見て、たくさん楽しんで欲しい。ただし、神々からの頼み事がある場合はそちらを優先して欲しい、と言われたのでそれはもちろん了承した。


 あと、私達の正体をこの世界の人々に隠さなくても問題ないって言われて心配になったけれど、変に隠そうとして辻褄が合わなくなり問題が起こるとか、警戒されて動きづらくなるより良いって。

 私達を利用しようとするおバカちゃんが現れませんか?って聞いたら、人間の良いように利用されるほど弱くはないじゃろう?って言われちゃった。

 出自などを詳しく話さないよう注意すればそれで良いと。


 なら、変に隠さない方向で行こうと思う。だって嘘がヘタなんだよ、私。


『まあ、好きなことをして』

『うんと楽しむと良い』

『寂しいから』

『時折わしらの相手をしておくれ』

『ではの』

『バイバ~イ(スタンプ)』


『ありがとうございました』



 私が空間をジッと見つめているからミスティルが心配していた。ごめんね。

 二人にウル様からの連絡内容を説明。


「お嬢はどうしたい?」

「わたし達はあなたに従います」

「わたち、いっしょ、いてくえゆ?」

「無論」「ええ」


 私はのんびりしながらあちこちに行きたいかな。

 あと、この世界を楽しみたい。


「ん~と、のんびいちたい。あしょびたい」


 指を折りながら言ってみる。


「まじゅ、ここ、探しゃく。あと、町、行く」


 ああ、でも。


「一番は、ごはん食べたい」

「賛成」

「賛成です」



 では、テントにつくった憧れのキッチンで初めての料理作ります!(主に従者が)

 ちなみにお肉と野菜の一部はアカハマダイから再構築いたしました。


 お米を研いで炊飯器にセット。30分置いてスイッチオン!


 アスパラとエノキの下ごしらえをして、豚バラでしっかり巻き付け塩コショウを軽く振って、フライパンで焼いてきつね色になったらいったんお皿にあげておく。

 肉汁と野菜のエキスが出ているフライパンに醤油とニンニク(チューブ)を入れて軽く火を入れ野菜の肉巻きを再投入。ニンニク醤油となじませて完成!


 ジャガイモをゆでて、お湯を捨てたら弱火にかけて鍋を揺すりながら水分をとばす。火を止めて塩少々、粗びき胡椒と粉チーズたっぷりを入れて軽く混ぜ完成!


 あとはしいたけ、まいたけ、しめじ、えのき、長ネギのお味噌汁。

 作り置きのミニトマトのマリネ。



 鳳蝶丸にタープテントを出してもらって、テーブルに全て並べる。

 一応ミスティルにフォークとナイフにするか聞くと、同じのが良いと言うので和柄箸を出した。


 ご飯を食べる時の「いただきます」と「ご馳走様」は調理中に説明済みなので皆で一緒に、


「いただち、ましゅ」

「いただきます」「いただきます」


 鳳蝶丸がお味噌汁を一口飲んで「うん、美味い」とつぶやいたあと、後は黙々とモリモリご飯を食べだした。いつもの通り、ご飯もおかずもガンガンおかわりしている。

 作ったものは全て無限収納へ入れて複写出来るので問題なし。沢山食べてオッケーです。


 ミスティルは私にお箸の持ち方を聞いて使い始めたものの、少しだけ苦戦しながらもお味噌汁を口にした。


「あ、美味しい」


 止まらなくなって全部飲み干す。

 お味噌汁を飲んでいるだけなのに上品で優雅に見えるのは何でだろう?


「初めて異世界の食べ物を口にしましたがとても美味しいですね」

「良かた」

「でも、この箸と言うのは…少し難しいです」

「フォークにしゅる?」

「いいえ、習得します」


 ちらりと鳳蝶丸を見るとちょっと眉を寄せる。


「このお味噌汁?おかわりいただけますか?」

「うん」


 お鍋の味噌汁とお玉を出し、ご飯はおひつに入れて「ご自由にどうぞ」する。

 ミスティルは嬉しそうに味噌汁のおかわりをしていた。

 鳳蝶丸が何度もおかわりをしているので、大き目な木製のどんぶり椀(汁物用)と陶器のどんぶりを渡したらこちらも嬉しそうにご飯と味噌汁を山盛りにしていた。


「しょえで。あちた、この森の探しゃく、あと自由行動、夕方から、」

「夕方から?」

「?」


 すうーっ


 大きく息を吸って、



「バーベちゅー、ちまちゅ!」  ちまちゅ ちまちゅ ちまちゅ…



 脳内でエコーかかっちゃう。

 高らかにバーベキュー宣言ですよ。ずっとやりたかったバーベキューですよ。



「ばーべちゅう?」


 わぁ!と盛り上げたつもりが二人には通じていなかった。

 二人は何だかわからずに、???という表情をしている。

 そっかバーベキュー知らないよね?


「えっと、おしょとで、おいちいものを、たくしゃん食べゆ」

「外でか?」


 海辺とか、河原とか、森とかで、お肉や魚介類や野菜を焼いて皆で食べたりするんだと説明した。

 すると、野外で食べ物の匂いなどさせたら魔獣や危険生物が寄ってくるので、この世界ではやらないと教えてもらった。


「しょっか。止めゆ?」

「俺達がいるし結界もあるし、大丈夫じゃないか?」

「うん!テント完しぇい、おめでと。コア浄化、おちゅかれ会、ちたかった。おしゃけも、用意ちてカンパ…」

「やろう」「やりましょう」


 食い気味できたね、君たち。待ってたんだね、お酒。

 お待たせ!



 と言うことで、明日の予定が大体決まった。

 午前中は探索。お昼から夕方前ごろまで自由時間。私は仕込みなどやって、それからこの世界に来て初めてのバーベキューを決行!



 二人とも楽しみにしてくれているし、お肉たっくさん、アルコール類もたっくさん用意するぞ!  

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