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251. いなたい、ようとしょ、いなたいましぇえ!

 2日後、明日から時間が取れるよとお姉さん達から連絡が入る。

 またウチで練習する?と言ってもらえたけれど、以前と違って今回は【堅き門】の面々もいるから全員でお邪魔するというのもな、と思いまして……。


 明日から我が家の厨房で練習してもらうことにしました!

 お家はまだ整備が必要だけれど、厨房は完成したから早速使おうと思います。


 ただ、冒険者ギルド・死の森支部は私のお家からかなり遠いんだよねえ。

 それに、お姉さん達のお屋敷からも歩くと1時間以上はかかりそう。


 冒険者ならば大した距離じゃないとは思うけれど、往復時間を考えると練習の時間が勿体ないと思うんだ。


 うーん。屋敷内に泊まってもらっても構わないけれど……。まだ完全に出来上がっていないから物が散らかっているんだよねえ。

 私達もテントに泊まっているくらいだし。



「えんしゅ、しゅゆ。わたちたち、テント、ちたちゅ、テント、ちていい?」


 屋台の練習中、私達のテント近くに彼らのテントを張っていい?と聞いたら、鳳蝶丸達皆が問題ないと頷いた。


 了承をもらったので、敷地外に張っていた私達の2ルームテントを仕舞い、お家の前、桜並木側に張り直す。そして2ルームテント横に10人用テント(男性1・女性2)を張った。

 【虹の翼】のお姉さん達も泊まるかもしれないので、女性用は2張りにしたよ。


「えんしゅ、しゅゆ間、泊まゆ」

「そうですね。練習期間はここに泊まり、祭りの期間は死の森支部の野営場から中央支部に通ってもらいましょう」


 私の家から冒険者ギルド・中央支部は遠い。

 屋台に通ってもらうには、冒険者ギルド・死の森支部からの方が近いんだ。

 【堅き門】の皆には何度も移動してもらって申し訳ないけれど、練習が終わったら死の森支部の野営場に戻ってもらおうと思う。


 え?私達?

 私達はもちろん転移の門戸で一瞬ですよ?


 うふふ♪



 それでは、ミスティル代筆でお手紙!


 【堅き門】のアンゲリカさんには、屋台の練習期間は私達の拠点近くで過ごしてもらいたい。

 寝泊まりする場所は確保済み。現在張ってあるテントはそのままにして来てほしい。明日8時、冒険者ギルド・中央支部で待っていてと書いた。


 【虹の翼】のお姉さん達には、明日8時頃迎えに行くので準備していて欲しい。

 それから私達の敷地にお姉さん用のテントを張ったので、良かったらお泊りしてくださいと書いた。


 どちらからも了承をもらえたので、我が家の皆とは明日以降の打ち合わせをし、その後は内装作りを再開したのだった。






 翌朝。

 鳳蝶丸が【虹の翼】のお姉さん達、レーヴァと私が【堅き門】のアンゲリカさん達を迎えに行くことになった。


「おはよう、ゆき殿」

「おはよ、ごじゃい、ましゅ」


 【堅き門】の皆さんは冒険者ギルド・中央支部の前で待っていた。

 会場は中央支部の裏なので、祭り期間はまた死の森支部戻ってもらうことなると、再度レーヴァが説明する。

 アンゲリカさん達は、移動は苦じゃないし問題ないと了承してくれた。


「じゃあ、行こうか」

「了解」


 了承ももらったので、皆揃って私有地に向かうのだった。




「ひっろ!」


 私達の購入した土地の端に到着。

 見渡す限り更地の真ん中辺りにポツンと建築物が見える。ここからだと小さく見えるね!


「ああ、私は聖地に足を踏み入れて良いのでしょうか?恐れ多くて体が震えます」

「何と言う神気。ここが聖地なのですね?」


 ティア・ソニアンさんと、ティティ・ソニアンさんがブルブル震えている。


「ちゅゆち?」


 もしかして苦しいの?大丈夫?


「いえ。苦しくはありません。幸福…心が幸福に満ちております」

「感謝しかございません」


 とうとう祈り始めちゃった。


「ティア、ティティ。気持ちはわかるが、もう行かんと」

「ほら、立ってくれ。行くぞ」


 ニイナさんがティア・ソニアンさんを、メンバーの女性がティティ・ソニアンさんを支えて立ち上がらせる。


「もう行くよ?お嬢さん達が待っているしね」

「ああ、すまん。行くぞ」


 ティア・ソニアンさん達には刺激的すぎたかな?

 だって、フロルフローレ様がエイエイしちゃったし、沢山の神様が集まったし……。

 屋敷内に神様専用のお部屋もあるしね。


 と、とにかく。皆が待っているから行こう?

 【虹の翼】のお姉さん達と【堅き門】の皆さんが出入りできるようにしておいたから、練習期間中は結界内に入れるからね!




 【虹の翼】のお姉さん達はすでに到着し、玄関前で待っていた。


「なんつー家建ててんの、ゆきちゃん」

「度肝抜かれたよ!」


 リンダお姉さんとレーネお姉さんが目を見開いている。


「凄い満ちてる」

「魔力に囲まれておりますわ」


 ミムミムお姉さん、エクレールお姉さんは魔力を感じ取っているのね。


「ねえ、ゆきちゃん。あの辺り…いや、そこいら中に植わっているのは、トレントの上位種じゃない?」


 ローザお姉さんにはバレバレだあ。


「えっ!トレント?」

「トレントが町中に?」


 【堅き門】の皆さんは、武器に手をかけ緊張する。


「だいじょぶ。皆、仲良ち」


 私が手を振ると、トレントちゃん達が枝を揺らして振り返してくれた。


「トレントと仲良しって……。流石だな」


 アンゲリカさんが苦笑いを浮かべた。


「アレらは下僕………ではなく、わたし達の従魔なので問題ありません。あらゆるものからこの家を守っています」


 玄関から出てきたミスティルがトレントの説明をする。


「下僕って言った」

「似合いすぎる」

「素敵……」


 【堅き門】の女性達が何故かときめいている。

 そ、そっち系がお好みですか?新たなる扉を開いちゃったんですか?



「とにかく、だ。屋台の練習の間はこのテントで過ごしてくれ。中の構造はいっしょだ」

「わかった」


 皆さん慌てて荷物を置きに行き、すぐに外に出て来る。


「この土地にも、貴方達のテントにも結界が張られています。入れるのはここにいる者達だけなので安心してください」

「ああ。わかった」

「じゃ、行こうか。屋敷内はまだ整備中で、荷物など散乱してるんだ。お嬢さん達は足元に気を付けてね?」

「って、俺達はいいんかいっ!」


 ごめん、ニイナさん。

 安定のレーヴァがごめん。



「では中に入ってください」


 ミスティルが玄関を開いてくれたので、皆でエントランスホールに入る。


「初めて、お客しゃま。いなたいましぇー!」

「……………」


 え?あれ?む、無言?

 皆さんの様子を見ると、カチンと固まっていた。


「だいじょぶ?」

「え!ああ、ごめんね、ゆきちゃん。屋敷内も凄く素敵だからビックリしたよ」


 ローザお姉さんが私に返事をすると、皆さんがやっと動き出す。


 すげーーー!

 貴族様のお屋敷みたい!


 特に【堅き門】の皆さんは大はしゃぎだった。


「驚いた。立派なお屋敷だなあ」

「うう……何と暖かい神気……素晴らしい」


 アンゲリカさんとティア・ソニアンさんが周りを見回してため息をついていた。


「わあ!お家の中を見回ってみたい!」

「まだ出来上がっていない。物が散らばって危ないぞ」


 レーネお姉さんがワクワクしながらエントランスホールを見回り始めたので、鳳蝶丸が止めていた。


「師匠、あれ、魔石?」

「うん、しょうよ」


 ミムミムお姉さんがシャンデリアを指す。


「チヤチヤ、ちえい」

「キラキラして綺麗だけどさ…いや、ゆきちゃんだもんね」

「ええ。ゆきちゃんですもの」

「贅沢だあぁ…すっげえ!」


 リンダお姉さん、エクレールお姉さん、ニイナさんが超笑顔で頷いた。


「ん、んん。とにかく、調理練習とは言え、お招きありがとう」

「お招きありがとうございます!」×全員


 ローザお姉さんの言葉と共に、皆さんでお礼を言ってくれた。


「あいあいっ!ようとしょ、いなたいましぇ」


 まだゆっくりはしてもらえないけれど、初めてのお客様は【虹の翼】のお姉さん達と【堅き門】の皆さんです!いつかゆっくり遊びに来てね?

 たぶん皆がビックリする飾りつけもするし、アミューズメントルームでも遊んで欲しい。

 次回は完成した時に招待するね。


 お楽しみにぃ♪



「じゃあ、そろそろ行こう。ついて来て」


 レーヴァの誘導で厨房に向かう。


 厨房に行くのは3通りある。

 大ホール横の小部屋の階段、もしくは魔石エレベーター。

 そしてもう1つ。入って直ぐ左手廊下の奥に魔石エレベーターを設置しました。


 玄関入って両側は全て従者控室のつもりだった。

 その一番奥の部屋をエレベーターホールに変更したんだ。

 ここの部屋は私達の魔力を通さないと扉が開かないし、エレベーターも作動しない。ダメ押しで許可された者・物以外は入れない結界4が張ってあるよ。



 レーヴァがエレベーターホール前に案内すると、そこにミルニル、ハルパ、氷華が待っていた。


「この部屋から厨房へ向かいます。私達がいないと動かないので、外に出たい時は声をかけてください」

「了解」


 ゾロゾロと皆で部屋に入る。


「なに、ここ」

「あれ何?」


 【堅き門】の皆さんが戸惑っていた。


「この乗り物は6人乗りだ。適当に別れてくれ」


 えっ乗り物なの?

 ザワザワ…。


「じゃ、お姉さん達から行こ」

「ああ、よろしく」


 まずはミルニル&【虹の翼】のお姉さん達が魔石エレベーターに乗って降りて行く。


「えっ!なになに?移動した?」

「こりゃ何だ?」

「床が動いているわ!」


 皆さんめっちゃ驚いている。

 そして恐々と魔石エレベーターを覗き込もうとしていた。


「時間が勿体ないから3グループに別れてくれる?」

「そ、そうだな」


 レーヴァが促してやっと動き始める皆さん。

 ティカ君はティティ・ソニアンさんが抱っこして、レーヴァ抱っこの私と一緒に降りた。



 降りた場所は扉のない広いお部屋。

 ここはエレベーターホール兼休憩所です。部屋には清浄付きの結界が張ってあり、厨房を出入りする時にも身綺麗になるのだ。

 調理で服が汚れても大丈夫!



 この広い部屋に簡易テントを3張りほど出して、中で着替えてとお願いする。


「小さい服から段々大きくなっている。各自選んで着てほしい。サイズが合わない時は言ってくれ」


 蓋付きの衣装箱には桜吹雪の制服(ロゴの刺繍は白)。

 着替えたら衣装箱に名前か印を書いて、脱いだ服を入れてね。

 制服は返してもらうけれど、衣装箱はプレゼントする予定。いらない場合は返却してもらってオッケーです。


 皆さん順番に制服に着替える。

 尻尾を空ける必要がある人は一度返却してもらい、無限収納の中で再構成したよ。




「すごい!」

「カッコいい!」


 皆さん制服姿を見せ合って嬉しそうにしている。

 【虹の翼】のお姉さん達は何時見ても格好良い&可愛いよね!眼福♪


 ちなみに私もティカ君もギャルソン服着ています。

 私はフワフワのスカートでティカ君はズボン。

 ミニミニギャルソンのティカ君。なんて可愛いんだろう!


「ティタたん、たわいーい♪」

「ゆき様も物凄く可愛いわ♪」

「おう、2人ともめちゃくちゃ可愛いぞ」


 わあ、ティティお姉さんとアンゲリカさんに可愛いって言われちゃった。

 恥ずかちっ(照)



「これから調理練習をする。祭り前までに習得してもらうからそのつもりでいてくれ」

「一応君達も参加してね」

「あ、ああ。挑戦だけはしてみるよ」

「あんま自信ないけどな」


 鳳蝶丸とレーヴァが軽く話をして移動することになった。

 会場警備及び案内係のアンゲリカさんやニイナさんも、調理練習には参加するんだって。


 エレベーターホールを出ると調理道具などを置く部屋と、隣には食材管理室を設けてある。

 私達には必要ないからほぼ何も置いてないけれど、何となく作ってみました。

 いつか何かに役立つかもしれないしね。


 そしてその向こう側が広い厨房だよ。



 な、な、な、なんじゃこりゃあぁぁ!



 すごく広い厨房は、ありとあらゆる調理道具や魔道具が揃っている場所。

 実は地球のホテル並み?いや、広さだけでいえばそれ以上に整った設備なのです。



「さあ。今日は焼き鳥と、時間があればたこ焼きも体験してもらうぞ」

「は、はいっ!」


 早速皆で焼き台に向かう。

 この世界にも串焼きがあるので焼き鳥はすぐ慣れると思う。

 でもたこ焼きとクレープはコツがいるし、習得するのはちょっと難しいかも?


 と、とにかく…。

 皆で頑張ろうねっ、おーーー!

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

とっても嬉しいです♪

誤字報告もいつもありがとうございます。大変助かっております。

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