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248. では遠慮なく、お申し付けしちゃおうっと

 無事野営地の予約が取れました!


 今日から立冬祭終了の翌日までは支払い済なので安心です。

 男性用・女性用のテントを張り、今は私と鳳蝶丸達以外入れないよう結界を張った。ついでに物理・魔法攻撃完全防御と悪意ある者は入れないにしてあるよ。

 まあ、まだ誰も入れないから悪意の設定はいらないんだけれど念の為にね。


 アンゲリカさん達は顔を見てから許可にする予定。


 何故今日から借りてテントを張っておいたかというと理由は2つ。

 1つはいつ到着するかわからないから。

 1つはトラブルを避けるため。

 空いてるからって勝手にテントを張られたり、その前に借りていた人が退かなくて喧嘩になるって聞いたので、そんなことがないようにね。



 うーん。それにしても…。死の森支部から中央支部までちょっと距離があるなあ。中央支部には野営地が無いので仕方がないんだけれど。

 お祭りの後はダンジョンに潜るらしいからいいか。2日間頑張って通ってね!




 夜ご飯を食べたあと、屋台について皆で会議をする。


「おてちゅだい、あゆ。屋台、ふたちゅ、だしゅ、どうたな?」


 お手伝いしてくれる人を沢山確保出来たので、屋台を2種類出すのはどうだろう?たこ焼き、クレープは決定で、他に小屋をもう1つ設けようと思っているんだ。


「人数もいるし、いいかもな」

「王都の人の子をみっちり仕込みましょう」


 鳳蝶丸とミスティルが良い笑顔で頷いた。


「鳳蝶丸とミスティルと俺は良いけど、皆にも練習してもらったほうがいいかもね」

「俺、頑張る」

「たこ焼きとクレープの話は聞いていますが、難しそうです」

「練習あるのみ、だな」


 レーヴァの話に、ミルニル、ハルパ、氷華が練習したいと言うので、お家づくりは中断してしばらく屋台の練習をすることにするよ。


「新しい食べ物はどうしますか?」

「うんとね」


 しょっぱい系はカレーパンか、焼き鳥か、手羽元のニンニク醤油焼きにしようかと思っているの。持ち歩き可能な食べ物にしなきゃね。


 甘いものはたい焼きかフルーツ飴、色々スイーツ串にしようかな?

 スイーツ串は、プチケーキ、フルーツ、焼き菓子、マカロンなどを串に刺して持ち歩き出来る食べ物だよ。


 たこ焼きとクレープは手間がかかるので、2店舗目はどんどん出せるスタイルにしようと思っているんだ。そうすれば、2店舗目は人が少なくても大丈夫だしね。



「美味そうだな。甘いもんはともかく、どれも酒に合いそうだ」

「カレーパンはとても美味しいケド、合うのはビールかワイン、くらい?」

「肉の方が良いかもしれませんね」

「その方が酒の種類が増えるので、私も賛成です」

「焼き鳥とビール」

「この間のバーベキューで呑んだ酒はどれも旨かったから、酒のあてになるもの希望だな」


 鳳蝶丸、レーヴァ、ミスティル、ハルパ、ミルニル、氷華の意見はお酒とセットですよねえ。

 じゃあ試食して決める?


 焼き鳥は私の好きだったお店のお肉(串刺し済み)とタレ、焼き台や炭を再構築しておく。


 手羽元のニンニク醤油焼きは、皆に下ごしらえをしてもらおう。

 こちらは朝宮家流の作り方です。


 顆粒の鶏ガラの元をお湯で溶かし、少量のスープを作って冷ましておく。

 クルコッコライダー(柔)の手羽元を10本ほど用意しフォークで穴を空ける。

 お肉を鶏ガラスープにしばらく浸け、取り出してペーパータオルで軽く拭いて胡椒をふる。

 ニンニク、しょうが、酒、味醂を混ぜ、そこに肉を入れ漬ける。


 先に焼き鳥を始めるので、取り敢えず冷蔵庫に入れておこう。



 焼き鳥は煙が出るから外に出よう!

 テントを出て、久しぶりに周りを見渡す。


「あえ?」


 私所有の敷地周りに建設中の建物がいくつかあることに気付いた。


「あれは教会だな」

「その隣は聖騎士団の待機場所といったところでしょうか」


 鳳蝶丸とハルパが見ている方向には、確かに教会らしき造りの建物を建築中だった。


「あっちは国王の近衛騎士団か、この領の騎士団てところだね」

「ゴツイ」


 レーヴァとミルニルが指す方向には、ちょっと厳つい建物を建築中。


「警護するつもりなんだっけ?俺達がいるのにな」

「こちらに支障がなければなんでもいいです」


 氷華とミスティルが肩をすくめた。

 あの辺りは私が買った土地ではないし、購入者の自由だからね。



「騎士らしいのがいるな」


 まだ建築中なのに?


「テントが見えるし、もう常駐しているんじゃないか?」


 私には小さくてハッキリと目視できないけれど、確かに白っぽいテントらしき物が見える。

 伝説の武器達は、見ようと思えば遠くまでハッキリと見える。だから騎士達の顔までちゃんと確認出来ているらしい。


「見たことあるのがいますね」


 ミスティル、それって…………赤点?


「あたてん?」

「ヤツらではありません」

「ああ、確かオリファスだったか?」


 アルシャイン辺境伯領騎士団団長のオルフェスさんだよ。

 うちの家族達は人の名前に興味無し。私と繋がりが深い人じゃないと覚えようとしないんだよねえ。



「そういや、去年の冬至祭で剣舞を披露していたね」

「そうなんだ」

「死の森調査にいたヤツか?」

「ああ、そうだ」

「主にとって害はありません」

「それならば問題ありませんね」


 レーヴァ、ミルニル、氷華、鳳蝶丸、ミスティル、ハルパが話し合っている。


「あいしゃちゅ、ちたい」

「了解。さ、姫、おいで」


 挨拶がしたいと言うと、レーヴァが私を抱き上げる。


「なら、ついでに何か食べさせて感想を聞くか?」

「そえっ!」


 それ、考えてた!

 私が何を思いつくかお見通しだね?流石、鳳蝶丸。


 カレーパンと、焼き鳥と、手羽元のニンニク醤油焼きを騎士さん達にも食べてもらおう。

 ついでにたい焼きが受け入れられるか、味見もしてもらおうかな。


 こうして騎士団のテント付近まで移動することになった。



「遠い」

「姫の土地は広大だから」

「ねえ?」


 自分の土地が広すぎて一向に到着しない。

 いつもは飛行(ひぎょう)でひとっ飛びしちゃうんけれど、今日はそうもいかないしね。



 やっと騎士さん達の顔が見えてきた。

 私達が近付くと、騎士さん達が慌ただしく動き始め右往左往している。

 そこへオルフェスさんが走ってきた。


「オユフェ、シュしゃん。とんちちは」


 オルフェスさん、こんにちは。


「お久しぶりにございます。ゆき殿」

「ここは辺境伯領騎士団の詰め所になるのかい?」

「はい。アルシャイン辺境伯領騎士団の詰め所となります」

「そうなんだ。君はここに常駐?」

「いえ。この場所を立ち上げるまでは滞在いたしますが、その後は領都とミールナイトを行き来する予定です」


 おおう。大変だね?と言ったら、問題ありませんと笑顔を浮かべた。


「結構な数、建築中だね」

「はい」


 あちらが王立近衛騎士団の詰め所、あの辺りはウルトラウス教会と聖騎士団の控える建物だと説明してくれた。

 この辺りもにぎやかになりそうだねえ。



「あにあと。オユフェシュ、しゃん、今、じたん、あゆ?」

「君らは今、時間あるかい?」

「え?は、はい」


 このあと町の巡回をする騎士さん達もいるけれど、空いている人もいるみたい。

 なんなりとお申し付けを、と言われちゃった。


 ならば申し付けよう!

 君達は屋台の味見係をするのだ!

 フハハハハァ!



「片付けはするから、少しの時間その辺りを借りられるか?」


 私の土地は私達以外誰も入れない結界を張っているので、詰め所の端っこを借りられるか聞く。

 もちろん問題ございませんと言うことなので、早速作業を始めよう。


 簡易テーブルを置き、テーブルには全て結界4(立体)を張り、熱および火炎防御にしておく。そして焼き鳥用焼き台を置いて準備完了!


「冬至祭の屋台に出す食べ物を出す。旦那らには味見をして感想を聞かせて欲しい」

「へ?」

「どれが美味しかったか、教えて」

「ええっ!」


 お申し付けくださいって言ったもんね。オルフェスさん達には付き合ってもらうよ。




 焼き鳥の焼き方はよくわからないので、カウンターで食べた時の遠い記憶を鳳蝶丸達に説明した。

 その間にレーヴァが炭に火を入れ、火力強めにしている。


 再構築したのはモモ(タレ・塩)、つくね(タレ)、ぼんじり(塩)、手羽先。


 塩は軽くふっておく。

 タレはまず素焼きする。


 塩は中まで焼けたら火から下ろし、塩と胡椒をふる。

 タレは中まで焼けたら常時温めてあるタレに漬け、もう一度コンロにのせる。

 焦がさないように注意して、香ばしく焼けたら火から下ろし、刷毛でタレを軽くつけて完成!


 塩にはカットレモンを添えたよ。



「はい、どーじょ」

「ばーべきゅ?とはまた違う香りですね」


 焼き鳥の追加を焼いていると、騎士さん達がザワザワし始める。

 ゴクッと喉を鳴らす人もいた。


「味見、ちどと。どじょ」

「味見も仕事のうち、と姫が言っているよ。焼きたてのほうが美味しいよ」

「わ、わかりました。皆、これは任務である。味見をし、感想を述べよ」

「ハッ!」


 皆さんに了承を得てから、ここにいる騎士さん達を清浄する。


 真面目な表情の騎士さん達。

 でも焼き鳥を頬張るうちに、表情が緩んでくる。


 美味い、美味いとどんどん食べて、あっという間にお皿が空になった。


「こえ、いえて」

「串や骨などはこのゴミ箱に入れてくれ」

「ハッ!」


 返事をする時、毎回ビシッとするのが面白い。


 あ、そうだ。食べ比べ!

 手羽元のニンニク醤油焼きは冷蔵庫に入れたままだった。


「あわわ」

「どうした、お嬢」

「おにちゅ、冷やちてゆ」

「肉…さっき漬けたやつか。ハルパ…いや、冷蔵庫だから氷華に頼むか」


 ん?冷蔵庫だから?

 鳳蝶丸が氷華に耳打ちして暫くすると、氷華の共有フォルダに冷えたお肉が入っていた。


「眷属に取ってきてもらった」

「あっ、てんじょ、ちゅ、しゃん」


 氷華の眷属ちゃんが異空間を移動しながらお肉を取ってきて氷華に渡し、氷華がマジックバッグに入れてくれたらしい。


 ありがとう、眷属ちゃん!



 普通のコンロとフライパンを出し、漬けておいた手羽元とニンニクスライスをごま油で焼く。

 軽く焼きめがついたら漬けていたタレを入れて蓋をし、水分が無くなるまで蒸し煮する。

 お肉とニンニクは焦げないよう時々返す。

 火が通ったら胡麻を振りかけカットレモンを添えて完成!



「はあ、良い匂い」

「食欲をそそる!」


 騎士さん達がクンクン匂いを嗅いでいる。


「どじょ」

「手掴みで食べてくれ」

「手が汚れたらこれで拭いてください」

「使ったらゴミ箱に捨てて」


 鳳蝶丸、ミスティル、ミルニルが説明してくれた。



「うんまっ」

「姫の食べ物は本当に美味しいね」

「ご飯に合いそうです」


 氷華、レーヴァ、ハルパも美味しそうに頬張っている。



 皆で交代しながら沢山食べた。


「どえ、たったい、いい?」


 屋台にはどちらが良いと思う?と聞く。

 皆さんどちらも美味すぎて選べないと悩みまくっている。


「よろしいでしょうか?」


 1人の騎士さんが手を挙げる。


「はい、どじょー」

「どちらも捨てがたく美味いのですが、敢えて言うならば自分は焼き鳥が良いと思います」

「理由を聞いても?」


 オルフェスさんが騎士さんに聞くと、手羽元のニンニク醤油焼きは食事、焼き鳥は酒の肴に合うと思ったからと答える。


「なゆほよ」

「どちらも酒とは相性が良いが、屋台としては焼き鳥の方が合っているかもな」

「ニンニクの方はご飯が欲しくなります」

「でもワインにはニンニクが合いそうだよ?」

「持ち歩きを考えれば、串焼きの方か?」

「どっちでもワイン合うと思う」

「飲んでみては?」


「それな」×全員


「いや、我々は任務中ですので……」

「じゃ、こえ、ジュシュー」


 ヘデルマタルハ村のジュースなら雰囲気味わえるのでは?


「ああ、似て非なるものだが、これなら想像がしやすいだろう」



 皆さんには葡萄の果実水、自分達にはヘデルマタルハ村の赤ワインを出す鳳蝶丸。あんなに食べたのに、またお肉を焼き出して美味しそうに頬張っている。


「うん。タレなら赤ワインだな」

「塩や油の強いものは白が合います」


 鳳蝶丸がタレと赤ワインを味わっている。

 ミスティルは何時の間にか白ワインを出し、焼き鳥(塩)を味わっていた。


「そ、それも酒ですか?」


 ミスティルの手元を見て、騎士さん達が興味を示す。


「白ワインですね?私も購入し………」

「購入されたのですか?」

「あ!死の森調査の?」


 そして、他の騎士さん達がオルフェスさんに食いついていた。


 皆、お酒好きだよねえ?

 今日はしないけれど、近々またお酒の販売をしようかなあ?



 次はスイーツを食べてもらう。

 本当はカレーパンなど色々と食べてもらおうと思ったけれど、騎士さん達がお腹いっぱいになってきたとのことなので、餡子OKか判定のためたい焼きだけ味見をしてもらおうと思います。


「う……ん」

「美味いです!」

「遠慮せず言ってくれ」


 結果、半数以上は好評で、中には受け入れられない人もいた。

 甘い豆はちょっと……と言うことらしい。



 参考になります!

 メモメモ………。



 最後に焼き鳥と手羽元のニンニク醤油焼きを沢山焼いて、蓋付きのプレートにのせる。スイーツ串用のプレートも作って、今お仕事をしている騎士さん達にどうぞと渡した。


「我が団員にまでお気遣いいただき感謝いたします」

「あい、いいよ。かんしょう、あにあと。バイバイ!」


 良いヒントになったよ!もう一度皆と話し合って、決定します。

 感想をありがとうございました!

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

執筆意欲が湧いてきます。とても嬉しいです♪

誤字報告もいつもありがとうございます。大変助かります。

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