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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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240/290

240. 押し付けられなかったか……残念

 次にお土産!


 ソールヴスティエルネ連合王国で討伐した魔獣の整理をしていたら、大白雪鵞鳥(おおしろゆきがちょう)が数体いたの。

 地球で鵞鳥と言えば、野生種ではなく家禽化した鳥のこと。

 こちらでは野良もいるの?と気になるところではあるけれど、我が家の皆が間引き推奨地域で討伐したのは間違いないので、ありがたく使わせていただきます!


 ということで、昨夜作成した軽くてフッカフカの羽毛掛布団。

 無限収納内で1羽解体し、ダウンとスモールフェザーを多めに複写。

 日本で見た高級羽毛布団の特殊立体キルト部分だけを再構築し、一区画ずつ丁寧に、無限収納から直接羽毛を入れた最高級の羽毛布団。

 もちろんカバー付き。


 ビョークギルマスにはダブルサイズで作ったよ!


「こえ、お土産(みや)

「ん?わっ!何だ?」


 皆で薄い布袋に入れたんだけれど、ふっかふかすぎてドでかくなっちゃったんだ。


「これはお嬢が作った掛け布団だ。ソールヴスティエルネ連合王国で討伐した鳥の羽が入っている」

「わたし達も休憩時につかってみましたが快適でした」

「カバーは外して洗えるよ。掛け布団の手入れ方法はカバーをかけたまま天日干し。あまり強く叩かないようにね」

「軽くて暖か」

「もう1枚掛けたい時は、羽の掛け布団の上にしてください。羽の布団は肌に触れていた方が温かいです」

「使ってみりゃわかる」

「お、おう」


 ビョークギルマスはお家で使ってみるって。

 お家に届けようか?と言ったら、軽いし自分で運べるというのでここに置いていくことになった。



「土産、ありがとうな。凄く嬉しい」

「あいっ!」


 喜んでもらえて嬉しいな。思わず飛び跳ねちゃった♪



「あ、しょうだ!こえも、あでゆ」


 どさくさに紛れてオリハルコンバイパーの鍵付きトランクを出す。

 ほら、仕事で他の町に行く時どうかなと思って。


「うおっ!は?こ、こりゃ、オリハルコンバイパーか?」


 流石、冒険者ギルドのギルド長。見ただけで素材がわか………。


「いや、これは辞退する。辞退するぞ、ゆき殿。俺の手に余りすぎる」


 あやや。お断りされました。


「オークションに出すか、あとは王族へ下賜するか、だな」


 あれ?献上品じゃなくて?


「姫さんは神の御神子(みかんこ)だろ。王族なんか比べ物にならないくらい身分は上だっての」

「主殿は気にしてないようですが、下賜となります」

「ギルド長は正しい」


 氷華、ハルパ、ミルニルに突っ込まれてしまった。


「でも、お布団、たち、ちあうよ?プエジェント」

「羽の布団は下賜ではなく、お嬢の心づくしのプレゼントだ」

「ああ。とてもありがたいと思っている。嬉しいよ、ゆき殿」

「あいっ」


 地球で普通の家庭に生まれ育ったから、身分とかピンとこないんだ。

 下賜という言葉を聞くと、武将が家来に何かあげるイメージしかないんだもん。


 ビョークギルマスやフィガロギルマス、その他の人達は、好きだからプレゼントしたいのであって、下げ渡すとかそんな気持ちじゃない。



 ……あ、でも言ってみたいかも。

 「うむ。そちに褒美をつかわす」とか言いながら、オリハルコンバイパーの鍵付きトランクをズズズイッと渡したりなんかして。


 戦国武将の恰好で!




 ハッ!

 妄想している場合じゃなかった!


「はなち、たわゆ。いっとうしゃい、場所、たいゆ。よよちく、おねだい、しましゅ」

「話は変わるが、立冬祭に屋台を出すので場所を借りることになった。よろしく頼む」


 鳳蝶丸通訳に戻りました。


「そうか。こっちこそよろしく頼む」

「商業ギルドに食べ物のリクエストが来てるらしい」

「冒険者ギルドにも来ているぞ」

「えっ!」


 場所を提供していたからか、[サクラフブキ]は出店するのかと問い合わせが来るらしい。


「商業ギルドに問い合わせてくれと返事をしているけどな」

「なゆほよ…。お手しゅうを、おたてちまちゅ。おいちいもの、たんだえましゅ」

「手数をかけた。美味しい物を考える、とお嬢が言っている」

「ああ、楽しみにしている」


 今年の出し物はまだ決めていないけれど、ビールに合う系と甘い物を考えてるよ。ビールやレモンサワーも出すからね!




 立冬祭の申し込みと治癒の返金についてなど、ミールナイトでの目的を果たせて良かった。

 この後南下ではなく北上に変更し、モーネ王国出発で商業ギルドのある町や小さな村へ野菜を納品していくつもり。


 今回はじっくり旅ではなく飛行(ひぎょう)を使って足早に進む。

 ソールヴスティエルネ連合王国観光はまだしたいけれど、氷華にも会えたから日を改めてでもいいかなって思っているんだ。

 今まで後回しにしてきたことが沢山あるから、そちらが終わってからまたじっくり回るつもり。



 現地時計を確認し、モーネ王国のルミケアルメ領を過ぎたあたりから大きめの町の商業ギルドに寄り、近くの小さな町や村にも分けるという条件で野菜を大量に卸していく。


 孤立していそうな村にも寄って、希望した人達に安く販売。

 時折入村拒否をする場所もあったけれど、そこは無理に関わらないで通り過ぎ、飛行(ひぎょう)を使いながら数日かけて駆け抜けた。




「あとは最北の村周辺だね。姫は疲れてないかい?」

「あいっ、だいじょぶ。あにあと」

「国境越えとか、面白かったね、主さん」

「あいあいっ、おもちよたた」


 国境越えや大きな町に入る時、早速『特別身分証明書』を提示してみた。

 どの門番さんも背筋をビシッと伸ばし、私達を丁寧に扱ってくれたのが面白かった。


「まあ、あの証明は王族や他国の大貴族が持つような物だしな」

「ただの商人が持つ証明書ではないですね」


 鳳蝶丸とハルパが肩をすくめた。



 貴族ではないと言いながら、偉い人と思われてしまうような証明書を持っている私達。

 でもいいの。だって記録されるの困るもん。

 飛行(ひぎょう)や転移の門戸を駆使するためだもん。


「さあ、明日もまた早いのですから、そろそろお眠の時間ですよ」

「あい、みんにゃ、おやしゅみ、なしゃい」

「ああ、お休み」


 皆、おやすみなさい。

 ミスティルに抱っこされ寝室へ向かう。

 まだ眠くないけれど、横になって疲れを取ろう。


 うーん。

 まだ眠くないなあ。眠れるかな?

 目でも瞑っ……………スヤァ………。






 今日は氷華が安置されていた山の麓、最北の町と周辺の小さな村を廻ります。

 まずは小さな村々で野菜を卸し、最後に最北の割に大きな町にやってまいりました。


 商業ギルドへ行き、野菜セットについて声をかける。

 すぐに大きな倉庫へ案内され、野菜セットと説明カードを大量に卸すととても喜ばれた。


「野菜を沢山卸していただき、大変助かりました」

「それは良かった」

「おしゃたな、ほちい?」


 魚はいりますか?


「ええ、ぜひ!この辺りは肉は沢山手に入りますが、魚はなかなか手に入らないのでありがたいです」


 アブライセで漁師のおじさんから貰った魚はプレゼントなので出せない。

 だから南の島産アカハマダイやソウカイマグロ、岩石海老、貝類。

 迷い砂漠産サンドサーモンとレインボートラウトの切り身を複写して出す。


 職員さん達が生?と固まっていた。

 そうだよね。冷凍していないし。

 鳳蝶丸が時間停止のマジックバッグだから問題ないと言ったら安心していたよ。


 時間停止!と驚かれたけれどね!



 物品鑑定の職員さんが新鮮と判断し、お魚も買い取ってもらう。


「こちらで少々お待ちください」


 沢山の商人さん達がいるロビーの一角、商談用のテーブルに案内された。

 私のお腹が鳴ったので、鳳蝶丸が職員さんを呼び止める。


「すまん。この席で食事はできるか?」

「申し訳ありませんが、こちらではお飲み物までです。食事でしたらあちらのラウンジへどうぞ。査定が終わりましたらお声がけいたします」

「わかった」


 皆もお腹が空いたと言うことで、ラウンジへ移動する。

 結構混んでいたけれど、入り口近くの席が何席か空いていたのでそこに座った。


 入り口は人の出入りがあって寒いから空いているのかな?


「てったい、はゆね」


 念の為、皆に結界3を張って食べ物はオッケーにしたよ。

 ご飯の時は寒くないほうがいいもんね!



 ラウンジは商人達の情報交換の場。

 皆さん商業ギルド経営のお店で料理を注文したり、持ち寄りの食べ物で食事をしていた。


 私達はどうしようか?と話していたところ、男性に声をかけられる。


「もし良かったら、あちらの席が空いたので、移動しませんか?」

「ん?」

「ああ、すみません。小さな子が一緒にいらしたのでここは寒いだろうと思いまして。私にも子供がいるので気になってしまい、声をかけました」

「親切にありがとうございます」


 結界3を張っているので寒くはないけれど、厚意を無下にするのもナンなのでお言葉に甘えることにした。



 案内されたテーブルは6人掛けだった。

 隣の席も同じ大きさで5人が座っている。その中の1人が声をかけてくれた男性だった。


「こちらは暖かいので、小さいお子も問題ないでしょう」

「ありがとうございます」


 周りの人たちは上着を着たままフードだけ取っている。

 年齢はバラバラで、優しそうな人達だった。


 商業ギルドの建物内には大き目の暖炉があるものの、暖房が端まで行き届いているわけでは無いのでまあまあ寒い。外よりはマシという程度だった。

 だから皆さん上着を着たままなのね。私達も真似をして、上着を着たまま帽子だけを取って席に着いた。


「!!!し、失礼。お若いので驚きました」


 私達の顔を見て、何故か驚く商人さん達。

 実はこの中で、伝説の武器達が誰よりも年上なんだけれどね。

 フフッ。


 念のため地図をチェックすると、白点と青点で問題ない人達みたい。

 ハルパに地図を見せると、微かに頷いた。


「我らは皆、ケープィ商会の従業員です」


 5人の中で最年長の男性が商業ギルドカードを提示すると、他の4人も提示した。

 ケープィ商会?どこかで聞いたような………。


「俺達は屋号『桜吹雪』という行商人だ」


 私以外の皆が商業ギルドカードを提示すると、ゆ、ゆ、優秀商!と一気に緊張する。


「ん?待ってください……サクラフブキ?サクラフブキ……あっ!商隊長を助けてくださった?」

「誰だ?」

「マンシッカと申します」


 あっ!

 ヘデルマタルハ村に向かう途中で会った商隊の?


「実はケープィ商会の各支部に、サクラフブキと言う行商人の皆様に命を救われたので、もし会うことが叶ったら親切にするようにと指示があったんです」

「違うサクラフブキかもしれませんよ?」


 ハルパがちょっぴり意地悪そうな顔をした。


「全員が優秀商であること。皆様若く美しいこと。小さなお子をお連れのこと。お聞きした人数とは違いますが、間違いないと確信しております」


 はい。間違いありません。


「まさか我らがお会いできるとは」


 吹雪の中、商隊隊員の命が助かったことの喜びとお礼を述べる皆さん。


「とまったとち、おただいしゃま。だいじょぶ。ほたのちと、たしゅてて」

「困った時はお互い様だそうだ。我らには何も返さなくていいから、困った人の子がいたら助けてあげて欲しい、とのことだ」


 私の発言に目を見開く皆さん。

 お子がとても聡明であったと書いてあったが本当だ、と呟く。

 そして、ケープィ商会は困っている人達に手を差し伸べてまいりますと微笑んでいた。




「悪いがお嬢に食事をさせたい」


 場が和やかになったところで、鳳蝶丸が食事をしたいと話しかける。


「ああ、気が利かず申し訳ありません。何かお飲み物を買ってまいりましょうか?」

「いや、持っているから問題ない」


 そう言いながら、チーズトーストやピザトースト、焼きたてクロワッサン、フレンチトースト、カフェオレやロイヤルミルクティーなどを出す鳳蝶丸。

 ミスティル達もサンドイッチやオレンジジュースなどを出していた。


 ちなみに外で食べる時のお皿やカップは、全て木製(桜吹雪ロゴ入り)に変更済です。



「お嬢は何から食べる?」

「フエンチ、トーシュト、おねだい、しましゅ」

「わかった」


 ストローマグにはアイスカフェオレを入れてもらった。

 フレンチトーストを細かく切って、目の前に置いてもらう。


 私がアイスカフェオレをチューッと飲むと、ハルパがフレンチトーストを口に入れてくれる。


「おいちい」

「良かったですね」


 生クリームやメイプルシロップをたっぷりつけて食べるフレンチトーストはめちゃくちゃ美味しいよ!


「…………」


 お隣に座るケープィ商会の皆さんが、私達の食べ物をチラチラ覗いている。

 良かったら食べますか?

 親切にしてもらったのでご馳走しますよ。


「主殿のお許しが出ました。何か召し上がりますか?」

「な、何度も見てしまって申し訳ない。あまりにも美味しそうだったもので」

「もし可能ならば、お売りいただきたい」

「親切にしてもらったので、お礼に奢るそうですよ」

「えっ!」


 どれにする?

 好きな物を好きなだけ食べてね!


 最初は遠慮していたけれど、遠慮せず沢山食べてねと告げたら、皆さん嬉しそうに選びだした。



「これは美味しいですね。初めて食べました」


 ピザトーストを頬張りながら目を瞑り、ゆっくり食べている。


「こちらは甘いのですね?何と贅沢な!」


 フレンチトーストを堪能している人を見て、他の人もおかわりしていたよ。



「商隊長が『サクラフブキ』さんの食事が忘れられないと言っていましたが、本当に美味しいですね」

「我らが食べたと知ると、悔しがりますよ」


 ケープィ商会の皆さんは朗らかで優しい人達だなあ。


「こんなに美味しい……ッ!!!」



 ゴオオォン!

 ゴゴゴゴゴ……。



 急に大きな音が鳴り響き、地鳴りがした。

 商業ギルドにいた皆さんが身構え、辺りをキョロキョロする。


 音は1回だけで地鳴りも止んだので、商人さん達は直ぐに落ち着きを取り戻す。


「今のは?」

「わかりません。ここ数ヶ月の間、時々あの音が響くんです」

「冒険者ギルドや騎士団が山の方を確認したのですが問題が見つからず、まだ調査中です」


 私がチラリと氷華を見ると、微かに頷いた。

 あとで詳しく聞いてみよう。




 査定とお金の精算を終わっので、ひとまず落ち着いたかな?


 ケープィ商会の皆さんに別れを告げ外に出る。

 そして適度に町を離れてから気配完全遮断で飛行(ひぎょう)し、上空からテントに戻った。

本作をお読みくださり、評価、ブックマーク、いいね、感想をくださりありがとうございます。

執筆意欲が湧いてきます。とても嬉しいです♪

誤字脱字報告もありがとうございます。助かりました。

これからも応援をよろしくお願いしますっ。

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