222. 人生最大のお買い物、記録更新?…ファッッッ超高額!
「この辺りの土地ですか?まだ買い手はついていませんよ」
商業ギルドへ到着した。
フィガロギルマスがまだ勤務中だったので、お部屋に案内してもらう。
あの辺りの土地はまだ買い手がついていないようで、ホッと胸を撫で下ろした。
「あしょこ、ひよい。なんでちじょちゅ、たわないの?」
「あの辺りは土地が広いのに、なぜ貴族は買わないの?だって」
今日はミルニル通訳です。
「あの辺り一帯は商人が倉庫として使っている土地です。貴族は購入しません」
「全員とは言わないケド、貴族は気位が高いから」
ミルニルの言葉にフィガロギルマスが苦笑している。
「ちじょちゅ、大変ね」
貴族の誇りとか色々大変ね。
じゃあ、私が遠慮なくどどどーん!と買わせていただくよ。
「わたち、とち、こうちて、たとむ、ほちい」
「主さんは、今持っている土地の周り。囲むようにこの一帯全部欲しいって」
私達が今持っている土地を1区画とすると、あと24区画分欲しいのです。
自分の住宅建設予定地を二重に囲む形で土地を購入したいのです。
私有地をそこまで広げれば、周りに誰かが来ても静かに過ごせるだろうと判断いたしました。
「主さんの希望、叶えられる?」
「はい。もちろん可能です。今回もお支払いは宝石で?」
「あい。ほーしぇちで、おねだい、ちまちゅ」
お支払いは宝石でお願いします!
前回の大きな買い物を遥かに上回る金額だよ!
全部で約120億エンだよ!
120エンじゃないよ!
いや、ネタが古いって言わないで!
「こえ……」
そっとハンドボールサイズのブルーダイヤモンドを出したら却下された。
「120億エン以上の価値があるので却下です」
うーん。じゃあ……。
もうわからないからこの中からフィガロギルマスが宝石を選んでください。
お任せします!
「そうですね。どれも素晴らしいので迷ってしまいますが」
そう言って2種類のダイヤモンドを選んだ。
ファンシービビッドブルーダイヤモンド約15カラット(推定90億)
ファンシービビッドオレンジダイヤモンド約14カラット(推定36億)。
「余裕で足ります。いえ、これほど大粒な宝石はほぼ出ないので、想定より高額になるでしょう。オークションも再開しているので前回のカラーレスダイヤモンドと一緒に出してみましょうか。争いになること必須ですよ。フフッ」
フィガロギルマスがめっちゃ楽しそうに笑っている。
最高品質、希少価値。ウフフ…。
フィガロギルマス、へんた……、ゲフン、ゲフン。
あの、へんたい、じゃなくて。
ええと、うん。とにかく土地代が足りますようにぃっ。
よろしくお願いしますう!
正式に契約を交わし、権利書を受け取る。
住宅建設予定地の周りを二重に囲むくらい広い土地をガッツリ購入したので、教会関係者が聖地に気付いても、騒がしくなっても、これで問題ないよね。
ん?いや、ちょっと待って。
人が入れないよう結界を張っちゃえば、住宅建設予定地である聖地に誰も気付かないんじゃない?
気付かないんじゃ、ない?
ありがとう、鳳蝶丸さん!
素晴らしいアイデアをありがとう!
満面の笑みのフィガロギルマスが「明日にでも土地を案内します」と言ってくれたけれど、このあと数日は用事があるのでと辞退する。
だって、葡萄狩りがあるんだもん♪
ととっ…。
葡萄のことは置いといて。
実は購入して権利書をもらった時点から、私の[地図]にどこからどこまでがゆき所有の土地と詳細に表示されるようになったの。
だからフィガロギルマスに説明してもらわなくても問題ないんだ。
これで多少安心できたかな?
最後の仲間と出会って落ち着いたら家を建てようと思う。
その時はフィガロギルマスも招待するからね!
2ルームテントに戻り、自分の購入した土地にどの人種も動物も魔獣も進入禁止だけの結界4(立体)を張っておく。
後日ちゃんとした結界を張るけれど、今は応急処置ということで。
ふう、やれやれ。
簡素ではあるけれど、とりあえずの対策はできた。
広い土地を購入するって思いつかなかったけれど、鳳蝶丸に案出してもらって良かった。少し安心できたよ。
きゅうぅぅぅうううぅぅぅ……。
「おなた、しゅいた」
「姫はお腹の音まで可愛いね」
「わたしもお腹が空きました」
「俺も」
「私はカレーが食べたいです」
「じゃあ、皆でカレー食べてからモーネ王国に行くか」
「うん!」
気が付くとお昼を過ぎていたので、ご飯を食べてからお出かけすることに。
メニューはハルパのリクエストでカレーです。
「いたあち、ましゅ」
「いただきます」×全員
皆で食べるご飯は美味しいね♪
美味しく食べて、少しだけお昼寝をして、ゆっくりと贅沢な時間を過ごす。
よしっ。
のんびりできたので、次はトロトロ草採取だよ!
「あしょ、いぱーい!」
あそこにいっぱいあるよ!
「おびただしい数のトロトロ草があるね」
ただいまレーヴァ前向き抱っこ(抱っこ紐)で飛行中です。
ここはモーネ王国の農村地帯上空。
2ルームテントからヘデルマタルハ村上空に転移の門戸を開き、そこからトロトロ草が広がっている地帯まで飛んでまいりました。
と言っても雪の下。
トロトロ草の姿は目視出来ないので、[地図]と[探索]で確認しながらの作業です。
以前と同じように、ミスティルがトロトロ草を操り浮き上がらせてひとまとめにし、まとまった物を鳳蝶丸、レーヴァ、ハルパ、私がマジックバッグと無限収納に即回収、、ミルニルが土を均すを繰り返します。
念の為、土地広範囲にトロトロ草限定の清浄もかけた。
広範囲魔法および神力を使用することにだいぶ慣れてきたみたい。
前回広範囲にかけたのは、浄化と治癒の合わせ技だった。あの時は力を多く使ったけれど、今回は清浄のみだから結構楽だったりする。
地図で探索して、綺麗に無くなっているのを確認。
「きえい、無くなった」
「ええ。全て取り去ることが出来ていますね」
土で雪が多少汚くなっているけれど、降り続けているからそのうち真っ白い景色になると思う。
うん。順調!
気配遮断をして、町や村の中にも入る。
今回は雪でトロトロ自体が見えないため、密かに消すのではなく目の前で消すことにした。
話しながら巡回している村人達の目の前で、雪がモゾモゾ動く。
そしてトロトロ草が全部浮かび上がり、シュッと消え去る。
畑の建物の中にあるトロトロ草は、土の中からズズズッと引っ張り出して浮かべ、皆で回収した。
綺麗に無くなってスッキリするよ!
「うわああぁ!」
「トロトロ草が消えた!」
「何事だ!」
目の当たりにした人達は驚愕して硬直したり、逃げ惑う人達もいる。
中には雪の上に尻もちをついている人もいた。
クスクスクス………。
イタズラ成功!
楽しくてつい笑ってしまう私。
ペピペピーノだ!
ペピペピーノがトロトロ草を消している!
町や村の人達がそう叫んでいた。
気配遮断のまま飛行で地面スレスレを飛びながら清浄!
人々の合間を縫って飛ぶのが楽しい。
風圧を感じ、キョロキョロする人々に最後はメッセージを!
トヨトヨ、もうない。
バイバーイ!
伝わったかどうかわからないけれど、不思議な存在がトロトロ草を持っていったと思ってもらえればそれで良い。
もうトロトロ草は消滅したのだと気が付いてもらえればそれで。
こうして、少しずつ確実にトロトロ草を採取しながらモーネ王国を駆け抜ける私達だった。
「広範囲すぎるな」
「ええ、把握するのが難しいです」
「姫は大丈夫?疲れてない?」
「おなた、しゅいた」
「うん。お腹すいた」
「今日はこのくらいにして、明日また来ましょう主殿」
大分暗くなってきたので今日はこれにて終了。
上空から直接2ルームテントに戻る。
ご飯を食べて、皆でお風呂に入って、オーラルケアをしてから就寝です。
私は途中からウトウトしちゃったので後半は覚えてません。
おやすみなさい…。
「しゅとち、戻ってゆう!」
少し戻ってる!
昨日帰った場所から採取を始めようとしたら、少しだけトロトロ草が増えていた。
昨日綺麗に採取した場所に、またもや広がり始めている。
地道に採取するしかないか。
有用だけれど、本当にトロトロ草って厄介だね。
「おっちいね」
目の前に大きな町が見える。
町は頑丈な防壁に囲まれ、真ん中には立派な城が立っていた。
「城がありますし、おそらく領都だと思われます」
「ほおぉ」
雪積もる町は白くて綺麗だった。
でも雪の下はトロトロ草だらけ。街ゆく人々が歩きにくそうにしている。
よーし、ここでも採っちゃうよ。
歩きやすくなるから待っててね!
他の村や町と同じように、飛行しながら採取して行く。
我慢しきれず笑ったり、ビューン!って言いながら、トロトロ草を浮き上がらせては収納。
人のいない場所に雪だるまを作り、[彫塑・成形]で『トロトロ草はもう無いよ!』とお腹に文字を浮かび上がらせる。
この辺りのトロトロ草も無くなったって伝わるかな。
よろしくね、雪だるま氏。




