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202/284

202. じんわり暖かいと幸せだよね

 役所近くの宿を取り、転移の門戸でテントに戻る。

 そして即売会について皆で打ち合わせをしたり、以前ミールナイトで購入した野菜やシェリシェリモア帝国で買った野菜などを沢山複写した。


 本当はちゃんと買い付けしに行った方が良いんだろうけれど、今回は準備の時間が無いから仕方ない。

 今後、時間がある時に幾つかの場所で大量に食べ物を買い付けしておこう。

 無限収納は時間停止しているので問題ないからね。


 その後はじゃがいもを使った料理を再構築したり、皆に手伝ってもらって作ったりしておく。



 ウル様に日本のじゃがいもをこの世界の作物にして良いか?と聞いてみた。

 元より地球に似せて作っているので問題ないとウル様から許可をいただきました。

 ただし無限収納に入っている元々家にあったものではなく、私が再構築したもの、という条件付き。


 私の家にあったものを無限収納に入れた際、細菌等、この世界に存在しない微生物はウル様やムウ様、桃様の三神で取り除いたので、食べたり使ったりする分は問題ない。

 でも今回のようにこの世界に作物などを広めるのであれば、念のため私の神力で練り上げ作った再構築の物が良いとのこと。


 私が再構築で作ったものは、どんな環境やどんな種族に対しても体に良い物に変化するようにしてあるらしい。

 私自身を作り上げる時に、上位神であるウル様とムー様、私が眷属になるはずであった桃様がどんな世界でも(・・・・・・・)適応できるよう、神力(ちから)を注ぎまくってくださったとのこと。



 注ぎまくって?!



 だから限りなく神様に近い力を持つ半神になったのね、私。


 私に神力を注ぎまくって、三柱の皆様に影響はありませんか?

 疲労したりしていませんか?と思わず聞いてしまった。



『フォッフォッフォッ(スタンプ)』

『わしらにとって魂の器ひとつ創造するくらい造作もないことよ』

『だって、地球創成に携わったんじゃよ、わし』


 そうだった!


『ムウ神はおぬしの眷属神であろ?』

桃花咲待姫命ももはなさくまつびめのみこともおぬしの眷属神に』

『なるはずであった神』

『おぬしを長きに渡り見守っていたのじゃ』

『魂との相性が良い』


 桃様のことを思うといつも胸が熱くなる。


『心配してくれてありがとうの』

『だが心配はいらぬよ』


 三柱の皆様に影響がないと聞いて安心しました。


『それに今、わしらとっても楽しいもん』


 ちょくちょく覗いている予感がする!


『まあ、それは置いておいて』

『何かを成す時相談をしてくれるのはありがたい』

『今後もそうしておくれ』

『じゃあの☆(スタンプ)』


 はい!ありがとうございます!



 うん。何だかとんでもない話を聞いた気がする。

 ………走り始めちゃったし、まあ、いっか。



 とにかく、種が再構築であればじゃがいもはこの世界に広めても良いということ。許可をいただいたのでタイミングがあれば根付かせたいと思います。


 頑張るぞ!






 翌日朝早く、市役所に行くとそのまま商業ギルドに案内された。


「臨時で野菜の即売会をしてくださると聞きました。ありがとうございます」


 商業ギルド長さんから挨拶をされたので、私達も挨拶したあと、念のため商業ギルドカードを提示した。


「優秀商の方々なのですね。この時期にありがたいお申し出、感謝いたします。この町に滞在できるご予定は?」

「2、3日、といったところでしょうか。明々後日には本土に向かいたいと思っています」


 ハルパが応えてくれた。


「承知いたしました。どちらの宿にお泊りでしょう?我が町にお付き合いいただくので、宿代はこちらで支払います」


 私達が現在泊まっている宿の名を告げる。

 出来れば販売会場近くの宿に移りたいと言うと、すぐに手配してくれるらしい。

 荷物は置いてきていないので、今の宿はそのままチェックアウトして大丈夫と伝えておいた。



「時間停止のマジックバッグをお持ちと聞いておりますが、どれくらいの量を販売いただけますか?」

「かなりの量を提供できます」

「ありがたい。大変助かります」


 商業ギルドの希望は、今日の午後と明日1日。

 可能であれば明後日まで販売して欲しいと言うことだった。


「では明後日まで販売します」


 でも明後日は15時くらいまでにして欲しいとお願いして採用されました。



 販売場所は商業ギルド倉庫の一部。

 売り切れなければ、最終日に商業ギルドがストック分を買い取りたいと言うことだった。


 売り切れることは無いから大丈夫。

 とにかく今は野菜不足を解消しよう!



 今いる部屋には20人くらいの職員さんがいて、一生懸命何かを書いていた。

 入口には冒険者になりたてっぽい若い少年少女が複数人待機している。


「職員が販売日や時間の予定を書いて、冒険者達が各地区の掲示板に貼りに行くんですよ」

「なゆほよ」


 昨日の時点で冒険者ギルドに依頼を出していたんだね。

 素早い対応、お疲れ様です!


 私がウンウンと頷きながら感心していると、商業ギルド副ギルド長と名乗る女性がやって来た。


「お初にお目にかかります。(わたくし)はこちらの商業ギルド副ギルド長、フィクソ・イハナ・オピスィケラと申します。どうぞイハナとお呼びください。商業ギルド長はこの後別件の用事がありますため、臨時即売会に関しましては(わたくし)が担当いたします」

「こんにちは、よよちく、おねだい、しましゅ」

「あら、ご挨拶が出来て素敵なお嬢様ですね。とても可愛らしいわ」

「わかります。主はとても愛らしいのです」


 ミスティルによるいつものイベントが発生しました。

 レーヴァの姫呼びで誤解されるまでがデフォルトです。


「姫……………………………」


 イハナ副ギルド長さんがカッチリ固まり、汗をタラーっと流す。


 いつもの如く愛称だと説明。

 私達は屋号『桜吹雪』という行商人であることと、自分達の自己紹介をする。


 何処かの国のお姫様が行商人をするなんてありえないですよ?と言うと、イハナ副ギルド長さんはホッとした顔で頷いた。




 冒険者達が羊皮紙を持って走って行く。

 イハナ副ギルド長と私達は会場の倉庫へ向かった。


「こちらが販売所です」

「ひよーい!」


 会場はとても広かった。

 イハナ副ギルド長さんの話によると、降雪でもお客様が入れるよう広い場所を選択したんだって。


「試食の食べ物を出したいが、問題ないか?」

「え、ええ。もちろんです。試食を出してくださるのですか?」

「ああ。ゴミ箱も出すのでギルドには迷惑をかけないようにする」

「ご配慮ありがとうございます」



 簡易テーブルなどを並べ、皆が素早く支度する。

 私はミルニルにゴミ箱を出してもらい、地中まで結界を張ると言うのを繰り返していた。

 ついでにトイレテントも出す。

 ペグは打てないので結界4を地中まで張って倒れないようにした。


「イハナ副ギルド長」

「は、はい。これは……」

「説明する。男性と女性の職員を何名か連れて来て」

「わかりました」


 集まった職員さん達にトイレの使い方を説明しておく。

 そうすればお客さんの案内をお願い出来るしね。



 えっ、ギルドのトイレより綺麗なんだけど。

 臭くないし、匂わない。

 どうなっているの?



 皆さんが口々に感想を言っていた。


「このトイレは素晴らしいです。販売のご予定は?」

「これは売らない。でも、皆で使えそうなのを開発中だって」

「そうなんですね!その時は我が町の商業ギルドにもぜひぜひ販売してください!」


 そのうち清浄ダンジョンが生まれるから待っててね!



 それから寒いねぇ、倉庫。

 広々としているからやたらと寒い。


 食べ物を扱うから良いのかもしれないけれど寒すぎる。

 暖房の魔道具はこたつ風テーブルしか作っていない。

 結界を張ってもいいけれど、どうしようかな。倉庫が暖かすぎるとお野菜も傷みそうだし、外に出た途端に極寒になるのも辛いよね?



 うーん。…よしっ!



 無限収納内で大きな帆布シートを4枚複写して再構成で1枚にし、巨大帆布シートをつくる。

 次に単色のカーペットを再構築し、複写しまくって再構成で巨大帆布シートと同じ大きさに繋げ、1枚の巨大カーペットにする。

 再構成で、巨大帆布シートとカーペットを裏合わせの1枚に一体化する。


 魔力満タンのキングの魔石を沢山複写して、薄い板状にする。



 次に魔法創造。


[ホットカーペット]

 ホットカーペットのようにじんわり暖かくなる。

 切・弱・中・強が選べる。



 さてと。仕上げです。

 ミルニルにこれからすることをイハナ副ギルド長さんに伝えてもらおう。


「これからちょっと工夫するから、売り場付近に全員集まって動かないで」

「え?はい???」


 ?を浮かべながらも、職員さん達を簡易テーブル近くに呼び寄せ、動かないよう指示してくれる。



 大丈夫ね?

 まず倉庫の床を傷付けてはいけないので結界4(平面)を張り、その上に巨大魔石シートを出した。



 ドーーーン!



 倉庫全部じゃないけれど、結構な人数が乗れそうな大きさに作れました。


 魔石シートに[ホットカーペット]を付与し、熱だけ通すの結界3で囲う。

 これでどんな衝撃があっても割れないから安心だね!


 最後は魔石シートの上にカーペットを敷いたら完せ………、はっ!ストップ!


 滑り止めシートを再構築、沢山複写して再構成で1枚のシートにする。そしてカーペット裏の帆布部分に滑り止めシートを接着して一体化させる。


 カーペットがずれたりしたら転んで怪我をしてしまうと思い、滑り止め付きにしたよ。

 走ったりしなければ問題ないかな?



 ふう。これでやっと次に進めるね。

 魔石シートの上にカーペットを敷く。


 [ホットカーペット]強発動!


 どこかからカチリと言う音がして、見えないスイッチが入る。


「でちた!」

「主さん、お疲れ様」

「あにあと」



 それでは早速乗ってみよう。


「ミユニユ、皆、乗ゆ、ちて?」

「了解」


 抱っこから下ろしてもらい、我が家族達とカーペットに乗ってみる。

 ジワジワと足元が温かくなって気持ちいいい。


 うん、大成功!


「貴女達も乗ってみて」


 ミルニルがイハナ副ギルド長達に声がけして乗ってもらう。


「!温かいわ!どうなっているの?」

「気持ち良い……」

「買い物の順番を待つお客さんもこれなら凍えないですみますね」

「本当に素晴らしい」



 同じ魔石シートとカーペットの小さくて細長いバージョンも作って、簡易テーブルの売り子側にも置いた。

 温まっちゃうから、野菜をカーペットの上に乗せないでね?

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