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20. マジカルラブリン萌えきゅんきゅん☆ 言う、言うぞ!

 で、この後はアレだよね。

 アレやるんだよね?


 私は恐る恐る<時間操作の杖>を取り出した。


 ああぁ…。


 アイコン見て、あ、察し、て思ってたけれど。

 杖はピンクで、濃いピンクのリボンや白い翼、金の王冠など可愛い装飾があり、赤いハート型の魔石が埋め込まれていた。


 ……………。


 大丈夫、私1歳だから。魔法少女に憧れる年齢だから。



「マイカル、ラブイン、萌えちゅんちゅん☆時間停ちになぁえ♪」



 すると、キラキラキラキラと金色の星(可愛い)が集まり鞄がパァッと光った。

 ついでに何故かハート(可愛い)がポワンポワン飛び交うエフェクト付きって言う…。

 どんだけ凝ってるんですが、ウル様。



「おう、可愛いな、お嬢。その、まいかるって何だ?」

「ぴゃっ!!!」


 見られたくなかった、鳳蝶丸に見られたくなかったよ。杖を抱きしめてウルウルしてしまう私。


「わしゅれて…」

「何故?可愛かったぜ。ん、何だ?それ」


 ソファの上に乗っている鞄をまじまじと見つめる。


「こえ、鳳蝶まゆ、贈いものよ。わたちの従ちゃ、なってくえて、あにあと」

「え………」


 鳳蝶丸が驚いた表情で固まっていた。


「嫌なった?」

「い、いや、いや、驚いただけだ。物凄く嬉しい」


 そして破顔。

 本当に嬉しそうでホッと胸をなでおろす。


「お嬢から俺専用の贈り物をもらえるとは思っていなかった」


 アゲハ蝶の模様をそっと撫でている。


「ありがとう」

「どういたちまちて」

 

 思わず私も笑ってしまう。

 こんなに喜んでもらえるなら魔法少女でもいいや、なんて思えてしまうから不思議。


「ちあげ、あゆの」

「仕上げ?」

「うん」


 声を出さず、管理画面、と思ってみたが何も出ず、マジックバッグ、もダメだった。


「あえ~?」


 鞄を指先でツンツンと叩いてみたら管理画面が表示された。


「でた」

「これは…マジックバッグなのか?」

「しょうよ」


 管理画面には、左側にメニューがあって右側にフレームがたくさんあった。

 メニューには<アイテム一覧><登録者(主)><登録者(副)>とあり、<登録者(副)>はまだタップ出来ないようだった。

 <登録者(主)>を押してみると右側の画面が切り替わる。

 画面中央は白く光っていて、その下に【血液】か【魔力】か【髪】を挿入して下さい、と書いてある。


「鳳蝶まゆの、こえ」

「ああ」


 躊躇なく髪を1本抜くと、光に近づける。髪はスゥッと吸い込まれて消えた。


 次に[名前を登録してください]と表示されると、鳳蝶丸が自分の名前を声に出して言った。

 すぐに、登録完了、登録者(主):鳳蝶丸、と表示されて、私には見ることが出来なくなった。


「わたち見えにゃい。見えゆ?」

「ああ、見えているぜ」

「こえ、鳳蝶まゆのよ。時間停ち」

「念のため、お嬢も登録してくれるか?」


 個人の鞄にしてって伝えたけれど、もしもの時を想定して私も使えるようにしておいて欲しいと頼まれたので、鳳蝶丸に髪一本を渡して<登録者(副)>に私を登録してもらった。


「こえ、鳳蝶まゆ、無くちても戻ゆ。鞄よ戻え、ゆう」

「分かった。鞄よ戻れ、だな」


 するとソファの上にあったマジックバッグがフッと消えて鳳蝶丸の手の中に現れた。

 ちゃんと機能しているみたいでほっとする。


「なかなか便利だな」


 嬉しそうにベルトへ通し固定する。


「ありがとうな、お嬢。嬉しいぜ」


 そして何度もトントンと鞄を叩き、その後、人をダメにするソファを出したり入れたりして確かめていた。


 鳳蝶丸が言うには、鞄を2回叩くと管理画面が開き、また叩くと閉じるらしい。

 中に何を入れたのかはこれで把握できることと、管理画面のアイテムを叩くと取り出せることがわかったとの事。

 その他に、アイテムに視線を合わせ収納したいと思うと鞄に入り、アイテムを思い浮かべて取り出したいと思うと鞄から出せる事がわかったんだって。


「俺だけの鞄、大事にするぜ」

「うん、わたちも嬉ちい」


 いつもの大人びた笑顔ではなく、ニコニコ笑う鳳蝶丸に私まで嬉しくなった。

 プレゼントして良かった!




 萌えキュンキュン♪はちょっと恥ずかしかったけれど、でもとっても便利なものをいただいたので、お礼を言わなくては!

 ヒミツちゃんラインを呼び出して、


『ヒミツ様』

『この度は大変素晴らしい品を』

『ありがとうございました』

『有難くちょうだいします』

『生きている…につきましては』

『従者が努力の証と言ってくれました』

『誇りに思い、今後も努力します』


 ヒミツ様から特に返信は無かったけれど、気持ちが伝わればいいかな。

 もちろん、ウル様ラインにも改めて感謝の気持ちを書きました。




「しょよしょよ、あしゃごはん、食べよう」

「ああ」


 私達は真ん中の丸テーブルのところに座り込む。


「何食べゆ?あっしゃい?ガッチュイ?」

「そうだな、腹減っているからガッツリか」

「もうちゅくってあるので良い?」

「もちろん」


 テント作成に集中しすぎて料理出来ないことが多いため、再構築で色々作り置きしてある。

 無限収納は時間停止だから問題ないのだ。


 と、いうことで、


 ラーメン、炒飯、焼き餃子に決定!

 全て私が食べて美味しかったお店の味を再構築。ありがとう、再構築!


「ちょうゆ、みちょ、ちお、とんこちゅ」

「分らんから全部」

「あ、あい」


 とりあえず、ラーメンは言った順番で出すことにした。あと炒飯大盛と餃子。

 私は大好きな味噌ラーメン。


「美味そうだ。いただきます」

「いただきましゅ」


 大きなどんぶりだとうまく食べられないから、小さいお椀を出して鳳蝶丸に取り分けてもらった。


「ん~おいちい」


 鳳蝶丸は無言でどんどん食べ進めている。

 じっと見つめると、それに気づいてニッと笑った。


「美味いぜ、お嬢。めちゃくちゃ美味い。お嬢の国は美味しいものがたくさんあるんだな」

「しょうよ。たくしゃん、たくしゃん、あゆのよ」


 うんうん。

 日本人は美味しい食べ物に結構こだわりがあると思う。

 和食だけじゃなくて、色々な国の食べ物を美味しくいただくのが好きなんだよ。


 鳳蝶丸は順調にどんどん食べ進めていき、結局ラーメン全種類と炒飯、餃子を何度かおかわりしてから箸を置いた。


「はぁ、どれも美味かったな」

「一番、どれしゅき?」

「んー。甲乙つけがたい。全部好きだ。また食べさせてくれ」

「うん、いいよ」

「お嬢といると、また食べたいってものがどんどん増えていくな」

「うれちい」



 食後に冷たい麦茶を飲みながら、日本の食文化についてしばらく話に花が咲いたのだった。

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