彼女達の茶番
彼女と社長の息子との茶番は、彼女のご自慢話からが始まりだった。
何回か食事に行ってるとか
怪しい雰囲気になりそうだとか
今夜も約束しているとか
誰が聞いても明らかに彼女が挑発しているのが判る話の内容だった。
そして次の朝、冒頭のメールが届く。
彼女が私に打ち明けた理由は、私が精神病だと知っての事。
私が口を滑らせても、あの人は精神病だからと言ってしまえば丸く収まるから。
なんかずるいけどそれが世間なんだよね。
そんな事はまあ良いかにして、彼女と社長の息子がいわゆる不倫関係になったのが四月。
それから毎日二人でお昼はコンビニデート。
私はそのメールが来た日、信頼出来る年下の上司二人に報告した。
絶対もめると思ったから。
そして彼女が捨てられたのが八月。
その間に一度、私は彼女と食事に行った。
その時に色々な事実がわかった。
二人の交際費は経費から出している事。
この時点で私ならまず交際を止める。
私は、男女関係無く、自分が大切だと思う相手には、それが男であれ、女であれ、自分のお金でもてなすと思うから。
経費でデートなんてまるっきり遊びだって言ってる様なもんだもん。
でも彼女は喜んでた。
そこで私は、はた!と気付いた。
きっと彼女は男を知らない。
恋愛経験も少ないはずだと。
それとなく聞いてみると、入社前に6年付き合った彼氏と別れたらしい。それも初めての彼氏。
なるほどそれであんなお尻を突き出した様な尻軽な誘い方をしていたのかと納得した。
その別れ方、自然消滅を社長の息子は狙ったのだが、恋愛経験の少なく、プライドの高い彼女は許せなかった。
ここから針のムシロを敷き詰めた様な、彼女の復讐が始まる。
社長の息子との事を擬似恋愛を楽しむだとか、なかなか飽きてくれないと、ほざいていた彼女が滑稽に見えた。
だから社内不倫は口外しちゃだめなのに。
私に喋ってなかったら、あっさり自然消滅出来たかも知れないのにね。