私はと言えばその2
自分で言うのも笑っちゃうけど、私には妙に素直なとこもある。
そうか…死なないんじゃなくて、死ねないんだと思い納得して生きる事にした。
幻覚と幻聴は酷く五月蠅い。
薬を飲んでも大して良くはならないし、脳みそが痺れるから飲んでない。
空中を浮遊する岩田は恐ろしく、私を叱り続ける声は煩い。
のに何故か最近はご苦労さんと思う。
医者は自己防衛の過剰な表れだって言ってた。
私にご苦労さんだ。
大体私は身体を私だと認識出来ない。
私は私で身体は私の入れ物。
いつも私は身体の後方から身体を見てる。
例えば仕事をしている私が居る。
名前は凪としよう。
「ああ…凪さんお仕事してるんだ。良くはたらくなぁ。」
と言った具合にいつも客観的に自分を見てる。
そして私は凪さんが大好き。
私好みに凪さんを仕上げる。
身体は磨き上げ、服も凪さんに似合う物を買い与える。
変な表現かも知れないけれど、これが私。
私以外の15人も、この事は承知している筈。
だって私の好みでない服が増えて無いから。
時々お菓子やら雑貨やらを沢山持って鍵を開けてる凪さんの中に戻る時がある。
不思議とお財布の中身は減ってない。
きっと15人の内の誰かの友達が買ってくれたんだろう思う事にしてる。
携帯も使うらしいけど、痕跡は消してくれてる。だから、知らない番号とアドレスがあっても私は消さない。
彼女達や彼等にも存在を楽しんで欲しいから。
上手くやってくれているのか、困った事は一度も無い。
むしろ得をしているのかもと思う。