愛
会社に旦那の弟の友達のお父さんが、嘱託みたいな感じで居る。
そのおじさん、凪さんの身体に良く触る。
そして無反応な私に反応しろと苦笑いする。
凪さんに触れられた感覚は、私にも伝わってくるけど、おじさんは私の心には触れてない。
私は心に触れられた時だけ反応する。
何年か前、沢山の男友達と、セックスを繰り返しても、ちっとも気持ち良くなかった。何故気持ち良くないのかを判りたくて肌を重ねる。
それでも答えは出ず、全くしらけた意味の無い無駄な時間を過ごしてた。
そんな時に出会ったのが年下の彼。
Mr.Kだった。
彼を知って、身体だけでは快感は得られない事を私は知った。遅い。気付くまでに40年以上も掛かったなんて…。
彼は常に私の心に触れて来た。
彼と居る時は、いつも穏やかで静かな時間が過ぎた。
彼に触れられると、身体中の力が抜け、凪さんの操縦すら不可能になった。まさしく目眩く(めくるめく)快感だった。
初めての感覚だった。
だから好きになり過ぎちゃったかな。
彼の全部が欲しくなった。
束縛や、干渉される事が大っ嫌いだって解ってたのに。
恋は盲目って本当だって事も初めて解った。
マジ、後の祭りさ!って感じ。
すっごい泣いた。
でも色んな事を学ばせてもらった。
今は凪さんの事、すっごい大事にしてる。
きっと彼も元気でいるはず。
そして彼も多くを学んだと思う。
何故なら私達は、色んな事がとっても良く似てたから…。
言葉なんて要らなかった。幸せな時間だった。
死ぬまでに巡り逢えて良かったと思う。
彼に巡り逢わなければ、今も私は自分が誰なのか、判らなかったと思うから。
彼の話はこれでお終い。もうしない。
いい加減気持ちを整理しないと彼に悪い気がする。
でもね、離れていても、絶対結ばれなくても、たとえ嫌われてても、ずっと愛してる。
凪さんに自由は無くても、私には自由がある。
だって、心は誰にも、何ものにも縛る事なんて出来ないもん。それに心に年齢なんかない。経験が増えるだけ。
心はいつも自由さ!