工場長の真意は?
ある日彼女が得意気に言って来た。
「あのね凪さん。」
げっ!またか…。
私はまたサゲサゲの状態になるのか?
まあ良い。聞かないと面倒臭い事になる。
そう思い
「なあに?」と
引きつって笑ってみせた。
「あのね、工場長ちゃんから聞いたんだけど、岩田さんがある事無い事私の噂話をしてるって。でも工場長ちゃんは、おれはそんな事絶対に無いって信じてるよ。って言ってくれたの。だから噂話の内容は聞かなかった。聞けば凹むの分かってるし。」
聞くのが怖いんだ。
思い当たる節があるから怖いんだ。
そう思ったし、彼女の後ろの彼女がそう教えてくれた。
前にも言ったけど、私は人の本心が読める。
そう言うと精神病だからだと言われる。
私から見れば、それだったら江原さんだって精神病になってしまう。
何故かテレビに出てない人が言うと、精神病扱いされる。
またぼやいてしまった。この感情は置いといて…
私は彼女の話を聞いて、工場長が何故彼女にそう言ったのか?その方に興味が行った。
私の見た、この工場長。かなりの苦労人で、他人を信用するなんてまず有り得ない。まして相手が女ならなおさら。そして、絶対とか信じるなんて言葉は安易に使わない筈。
そして本当にそんな事は無いと信じてるなら、その場で、根拠の無い噂話はしない方が良いよ。とやんわり釘を刺し、当人には伝えない男儀のある人の筈。
その工場長が信じてると言う言葉を用いて彼女に伝えたと言う事は、
その噂話、的を得ていたのかも知れない。
もしくは、社長の息子の悪口を、作業場で言いふらしたりして、目立って敵を作るな。と言いたかったのかも…等と混沌する脳みそで考えてみた。もしかしたら工場長のおちょくりか、その事自体が彼女の嘘なのか?等々かなり楽しかったが、可愛くない自分に気付き、何日か落ち込んだ。