幻覚の先で
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
R15です。恋愛です。更にほんのりヤンデレです。
んでもって、色々仄暗いです。
苦手な方はご注意下さい。
荒んだ部屋の中。辺りには破れた本、砕けた硝子が散らばっていた。何者かが暴れ回った様なその惨状で、私は一人、全てに絶望した顔で横になっていた。
あぁ、また殴られた。今度は腹。この前は……何処だっけ? もう何も覚えてないや……。あぁ、中途半端に殺さないでよ……。
そんな時、何かが胴体の上を這い回る感触がした。それは胸元を滑ると、ぬっと上から私の顔を見下ろした。真っ白なつるりとした胴体。紅玉埋め込んだ双眸。それはまごう事無く白蛇だった。白蛇は舌先をチロチロと揺すると、愉悦混じりの甘ったるい声で囁いた。
「ねぇ、君。此処から出してあげる」
「ぅ……?」
ぁ……私…………もう死んでたのかも……。幸せな事だ。荒んだ世界から消えられるなら。
私は朦朧とした意識の中で、必死になって目を開けた。白蛇は尚も私の体に纏わり付き、脳を溶かす声を囁いてくる。
「出してあげる。君は黙って顎を引くだけで良い。そしたら全部こっちでやったげる。さぁ、返事は?」
「ん……」
目を開くと見知らぬ天井。漆黒で塗りつぶされた天井。剥き出しの柱が特徴的。それ以外は何も見えない。垂れ下がった照明もない。それを突如遮る様に、小綺麗な顔が現れた。丸い双眸に生っ白い肌。そして人目を引く白髪。その顔は段々と近付いて来て、口付けを一つ落とした。
「ん…………んん」
舌先を捩じ込まれ、自分の物に絡ませてくる。動かせないように両側か顔を固定し、より深い所で。数分間に及んで続けられた。離された時には銀の糸一つ。
「ふふ。起きたー」
「ここは?」
上に覆い被さっていた体が遠のく。状態を起こして辺りを確認すると、此処はどうやら広い一室の様だった。あるのは私が横になっていた布団一枚。それ以外は何も無い。白髪の彼は上機嫌で私の腹を触った。優しく擦る様に。
「僕の神域。此処では好きにして良いからね。それにしてもさー、君、触られても怯えないんだね。好都合だけど」
そう言って、今度は首周りに手を這わせ、浴衣の合わせ目の中に手を入れようとしてきた。冷たい彼の手の感触。私を殴り付けた男とは違う、酷く繊細な細い指。これならば殴られても痛くないかも知れない。
彼が言った事には語弊が一つ。怯えないんじゃない。余りにも殴られ過ぎて、感覚が麻痺しているだけ。だから誰に触られても、きっと拒絶一つしない。何もかもどうでもいい。
「君はこれから僕と一心同体。お嫁さんになったんだよ」
「お嫁さん……」
「そ」
彼は上機嫌だった。緋色の目を細めたまま、また再度腹を撫でる。暴力を受けた体を労る様に。そうされると何だか感情の抑えが効かなくなって、固まった心がとろけてしまいそうで……。ほろりと涙が目尻から零れ落ちた。
「……殴らない?」
「君を殴る相手は殴るだけじゃ済まないけど」
その塩辛い雫を舌先で掬いとる。…………今までされた事ない。けども今まで触られて来たどのものよりも優しかった。
「お嫁さんにそんな事しないよ」
あぁ、私はこの人の嫁になるんだな。
この子を殴っていた輩はご想像の通りです。
さよなら〜!! 地獄で……いや、会わないですね。
最初は淡々としていて、白蛇を首に巻き付けた子の話でした。何故かこうなりました。
数分置きに物語は変わります……。
変わって無いのは白蛇の方がクソデカ感情持ってる事。
私からは一言。 お前らはぁ!! (";△;)