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2. 鳩ぽっぽ
「ご注文は」
バーテンダーが尋ねる。啓一は答えた。
「みそスープ」
バーテンダーは怪訝そうな顔をして言った。
「うちには、みそスープはありません」
「みそスープ」
「うちはナイトクラブです。定食屋じゃないんですよ」
「みそスープ」
「1+1は?」
「みそスープ」
バーテンダーは啓一の綺麗な顔をじっと睨みながら、しばらく沈黙した。すると無言のままバーカウンターの奥に入り、数刻して、コーンポタージュの缶を手に、再び啓一の前に現れた。
啓一はコーンポタージュの缶を受け取ると、綺麗な指先で缶を開け、バーカウンターの前から立ち去っていった。
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続きます。通勤する限り。