レシート
店を出ると、そこは白くぼやけた世界。
肌の先がチクチク訴え、体が小刻みに動き始める。
赤い手元に残ったのは、冷たく輝く、いくつかの小銭と白い一枚の紙。
無機質な紙に、文字たちが列をなしている。
「レジNo:0004」
あそこにはレジは四台もなかったはずだ。
心とともに、白い世界を不規則に汚していく。
「親切なお店」
小さな言葉がそう言ってくる。
店に入ったら「いらっしゃいませ」って声をかけてくれた。
高いところのコンディショナーを「お取りしますよ」っていってすぐ取ってくれた。
取ってくれた店員さん、白い顔が見えなかったけど目があった。
雫が青く染まったとき。
新しい粒が、結晶が星のように姿を変えるそのとき。
時計の歯車が、光を失ったとき。
月のように、丸くて。
輝いて、真っ黒で。
まるでこの雪みたいに果てしなく、吸い込まれそうで。
動けなくなった。
読んでいただきありがとうございました。
人生初の小説?です