第九話【念願】
それから私たちは、連絡先を交換して
後日、改めて二人で会った。
公園のベンチに座りながら今までのことを
全て彼に話した。
話し終えて彼を見ると、彼は泣いていた。
「気づいてたのに、守ってやれなくてごめん」
「私の方こそ、何も言わずに居なくなってごめん」
「・・・謝らないで。生きていてくれてありがとう
また会えて本当に良かった。」
「私も・・・。また再会できて良かった。」
しばらく二人で泣いた。
再会した私たちは、すぐに恋人関係になった。
今までの空白の日々を埋めるかのように
色んな場所に出かけて沢山の思い出を作った。
順調に関係は続き、再会してから二年が経った。
ある日、彼から思い出の公園に呼び出された。
そしてプロポーズを受けた。
本当に嬉しかった。
でも、彼のご両親に挨拶するのが怖かった。
その気持ちに気づいた彼は、先に私の親代わりの岡田さん夫婦に挨拶をしようと言ってくれた。
「この度、彼と結婚することになりました。」
「そうか・・・やっと有紀も幸せになるのか・・・」
岡田さんは、泣きすぎてそれ以上、何も言えなくなっていた。奥さんも「良かったね!」と泣いてくれた。
しばらくして落ち着いた後、皆でご飯を食べに行った。
その日は、皆で呑み明かした。
それから二週間が過ぎた頃、私は昔の地元に
帰ってきていた。
彼のご両親に挨拶をしに来たのだ。
あの人たちと過ごした場所だから、本当は物凄く、怖くて仕方がなかった。
でも、横には一生守ると言ってくれた彼がいる。
その安心感から勇気を振り絞って地元に来ることが出来た。
彼のご両親は、快く、私を迎え入れてくれた。
私が居なくなってから
しばらく彼は何も食べることが出来なかったらしい。
そんな彼を凄く心配していたご両親は、また二人が再会できたことを心から喜んでくれた。
私もまた、そこまで気にかけてくれていた彼のことを一層、好きになるのであった。
それからすぐに私たちは
晴れて夫婦になることが出来た・・・・・・・・・・。