第八話【再会】
自由になれた私は、やっと全ての重荷が下りた。
最初は、料理なんて全然できないし、公共料金の払い方も分からなかった。
困った時は、岡田さんに相談して助けて貰っていた。
分からないことだらけでも
どんどん出来ることが増えていくのが嬉しくて
全く苦痛では、なかった。
岡田さんは、定期的に私の家に様子を見に来て
くれていた。
初めて手料理を振舞った時は号泣していた。
「こんな美味しいもの作れるようになって・・・・・・」
私はその言葉が嬉しくて
二人して泣きながらご飯を食べていた。
バイトも変わらず、楽しく頑張っていた。
そんなある日・・・。
ある人がお客さんとして店にやってきた。
見覚えのある顔に私は固まった。
ずっと会いたかった人・・・私の初恋の人・・・・・・。
亀岡くんだったのだ。
彼は相変わらず、明るい性格で数人の友達と
楽しそうに喋りながら運ばれてきた料理を食べていた。
変わらない彼の笑顔に私は泣きそうになった。
私は彼の前から居なくなった分際・・・・・・。
声を掛けられずにいた。
しかし、運が良かったのか、悪かったのか彼らの会計を私が担当することになった。
どうか気づかないでくれ!と祈りながら会計をしていた。
「どうしたんだよ?一目惚れか?!」
そんな友達の声を聞いて私が顔を上げると
彼は、私をじっと見つめて今にも泣きそうな顔をしていた。
目が合い、私が微笑むと彼は涙を流しながら言った。
「会いたかった・・・・・・」と。