第六話【絶望】
あの事件から二年が経った頃には、毎日が幸せで
本当の家族のようになっていた。
たまに喧嘩をしたり、また叱られることもあった。
でもあの二人とは違い、優しさをもって私のために怒ってくれた。私はそれが本当に嬉しかった。
そんなある日、家にとある人物が来た。
父と母が謝っている声が聞こえて私も玄関に行った。
そこに居たのは・・・・・・
警察だった。
私に気づいた母が悲しそうに微笑みながら言った。
「有紀・・・・・・ごめんね。ちょっと行ってくる」
そして二人はパトカーで連れて行かれた。
(終わった・・・。もう二人は帰ってこない・・・)
そう思いながら、サイレンを鳴らして走り去るパトカーを見送っていた。
しばらく呆然と立ち尽くしていると、誰かに声を掛けれた。
「笹倉有紀ちゃんだね。少し話を聞かせてくれるかな?」
警察だった。私は素直に従った。
両親とは時間差で警察署に着いた。そこで私は全てを話した。
生みの親に酷い目にあっていたこと、逃げた先で二人が保護してお世話してくれていた事。全てを話した。
警察官は、とても驚いていた。
警察官の話によれば、捜索願を出したのは生みの親らしい。その話を聞いた私は、身体が凍りついた。
(またあの家に連れ戻される・・・今度は何をされるか分からない・・・)
恐怖で、ひたすら震えていた。
それに気づいた警察官は、私に言った。
「大丈夫だよ。その話を聞いたからには親御さんの元へは帰さない。絶対に僕たちが君を守るから安心して!
大丈夫だから!ねっ?」
その言葉を聞いて、安心して泣いた。
あの日以来、久しぶりに号泣した。
そのあと私は施設に入った。
施設での生活は苦痛で堪らない毎日だった・・・・