第四話【出会い】
「あの、大丈夫ですか?」
びっくりして顔を上げると、三十代くらいの男の人が心配そうに私を見つめていた。
「すみません。実は・・・・・・」
私は先ほどの出来事と今までのことを、その男性に話した。
全くの知らない人にそんな話をするなんて今思えば、間違っていたが、その時は誰でも良いから話を聞いて欲しかったのだ。
その男性は何も言わずにひたすら私の話を聞いてくれた。
話を聞き終えると、男性は私に言った。
「俺は翔真。俺の家に来な?嫁さんが居るが、俺がすべて説明するから。」
私は疲れていたのもあり、翔真さんの言葉に甘えた。
歩きながら翔真さんは奥さんに電話をして説明をしていた。
電話を切り終えてしばらくすると、ある一軒家の前で翔真さんは止まった。
「さあ、着いたよ。」
翔真さんに連れられて家に入ると
奥さんが出迎えてくれた。
奥さんは最初こそびっくりしていたが、すぐ笑顔になって家に入れてくれた。
リビングには既に三人分の料理が作られていて、私は驚いた。
ご飯を食べながら改めて二人に今までのことや、父に殺されかけたこと、全てを話した。
奥さんが話を聞きながらプルプルと震えているのが分かった。
ご夫婦の話も聞いた。
奥さんの名前は、優菜さんというらしい。
奥さんは
「名前、似てるね!」と笑って言ってくれた。
ご夫婦は子供を望んでいたが、なかなか子供ができなくて諦めたらしい。
だからこそ、話を聞いて私の両親を許せなかったらしい。