幸せな家庭。
私は一生、幸せになれない・・・。
そんなことを考えながら走り去るパトカーを見送っていた。
私の名前は笹倉有紀。高校二年生だ。
今、パトカーで連れていかれたのは二人目の両親。
中学三年生の時に生みの親から逃げ出した。
必死に逃げた。虐待されていたからだ。
あれは幼稚園の頃。私は小学校に入るための受験生だった。いわゆるお金持ちのための学校。
色んな習い事や勉強をさせられて寝る時以外は、受験のためのことでいっぱいだった。
そんな不幸せな生活で受験が上手くいくわけなく・・・
見事に落ちた。
両親は世間体を気にする人達で
受験に失敗した私を二人は徹底的に責めた。
それから私の人生は崩壊していった・・・
公立の学校には行かせてもらえたが、家では最悪だった。
毎日、親の気に食わないことがあれば殴られた。
学校があるからバレないように服で隠れるところをひたすら殴られた。
受験に失敗した私に拒否権などなく、ひたすら親の言いなりだった。
小学四年生になる頃には、さらに酷くなっていた。
気に食わないことに加えて
テストで百点が取れなくても殴られるようになっていた。
「受験に失敗しただけでなく、こんなテストでも百点を取れないのか!!」
そう言われ続けた。
その頃には既に洗脳されていて、私が悪いと思い込むようになっていた。
そんなある日、私はあることに気づき、今まで以上に勉強を必死に頑張った。
テストで百点を取ると親の機嫌が良かったからだ。
ご飯もいつもより少し良いものが出てきた。
(私が頑張れば、また幸せな家族に戻れる・・・・・・)
そう思っていた。