ヘタレな幼馴染達
ラブコメが書けるようになりたい(白目)
桜が咲き、出会いと別れの季節の春。とある中学校では卒業式をしていた。
そして卒業式の後、花織 尊は校舎裏で告白を受けていた。
「先輩が、卒業する前に伝えたかったんです。尊先輩、一目見た時から好きでした。私と付き合ってください!」
後輩の女の子は、勢いよく頭を下げる。緊張か、それとも不安からか女の子は震えていた。
「ごめん‥‥俺は君のことは知らないし、好きな人がいるんだ。だから君とは付き合えない」
尊は、優しい声で女の子の告白を断った。女の子は顔を上げると、泣きそうな顔で言った。
「そ、そうですよね‥‥ヒック‥‥わ、私に時間を使ってくれて、グスン‥‥ありがとうございました」
「こちらこそ、俺の事を好きになってくれてありがとう」
「い、いえ‥‥やっぱり千花先輩の事が好きなんですか‥‥?」
尊には幼い頃から一緒にいる、宮里 千花という同い年の幼馴染がいた。
「あー、わかっちゃった?ずっと片想いなんだよね‥‥」
尊は、物心ついた頃から幼馴染の千花に好意を寄せていた。千花のいない日常が考えられないくらい好きなのだが、生粋のヘタレであった為、まだ告白ができないでいた。
「わかりますよ‥‥ずっと見てきたんですから。‥‥それに、片想いじゃないですよ」
「へへっ、何だか恥ずかしいな。あと最後の方が声が小さくて聞こえなかったんだけど?」
「ふふっ、内緒です!もしも、千花さんと付き合えなかったらどうするんですか?」
「死ぬ」
「え"っ!?」
「千花がいない生活なんて無理だ!」
「そ、そんなに好きなんですね‥‥でも、私は諦めませんから!」
「えっ?な、何で‥‥」
「それくらい先輩のことが好きなんです!それでは、失礼します!それと、卒業おめでとうございます!」
後輩の女の子は、ペコリとお辞儀をして走って去っていった。
「まさか、この俺が告白を受けるなんて思ってなかったな〜」
尊は自覚していないが、運動・勉強がそこそこできて基本的に優しい。そして、タレ目の童顔ということもあり雰囲気的には近寄りやすく、一部の女子からはモテていた。
「早く帰ろう。ハァ‥千花と付き合えなかったらか‥‥考えたくもないや」
悪いことしか想像できず、尊はトボトボと学校の正門に向かうと、背の高い茶髪のセミロングが特徴的な女の子がソワソワしながら立っていた。
女の子は尊に気付き、小走りで尊に近づき声をかける。
「み、尊君!」
「あっ、千花じゃん。帰ってなかったの?」
「うん。尊君と一緒に帰ろうと思って‥‥」
「そ、そっか!それじゃあ行こうか!」
「うん‥‥」
千花と帰れるとわかった尊は、テンションが上がり明るくなっていたが、そんな尊とは対照的に、千花は元気が無さそうだった。
2人は帰っている最中、会話が殆ど無かったが、不思議と気まずさは無かった。
そろそろ千花の家に着きそうな頃、千花は覚悟を決めたような顔で尊に質問をする。
「ね、ねえ尊君。今日の卒業式の後に、後輩の女の子から告白されたって本当?」
「えっ!?なんで知っているの?本当だけど‥‥どうかしたの?」
「友達から聞いたの。それで、その告白の返事はどうしたのかな〜って」
(付き合ってませんように付き合ってませんように付き合ってませんようにっ!!!)
「す、好きな人がいるから断ったよ。そもそも付き合ってたら千花と帰ってないよ」
尊が付き合ってないと知り、千花はホッと一息つく。
「そ、そうなんだ〜ちなみにその好きな人って、私が知ってる人?」
(頑張れ俺!千花が好きって言うんだ!他の誰かに取られていいのか!?)
「う、うん、千花がよく知っている人だよ」
(俺の馬鹿ぁぁぁ!!!)
「へ、へぇ〜なるほどね」
(だ、誰なの!?私がよく知ってる人!?由香里?それとも茜?いや、春香!?)
「‥‥‥」
「‥‥‥」
しばし、互いに沈黙の時間が訪れた。
沈黙のせいで、2人は自分の心臓が嫌なほど聞こえていた。心臓は今にも破裂するんじゃないかというくらい激しく鼓動している。このドキドキが相手に伝わるのが怖かったのか、2人は少し距離を置いた。
(離れられた!?俺も少し距離を置いちゃったけど、千花が離れるなんて!し、死にたい‥‥‥)
(私もだけど、何で尊君も離れちゃったの!?実は付き合ってて、彼女に悪いから離れたとか!?嫌ぁぁ!!)
さらに、沈黙が続く。そうしている間に、千花の家に着いてしまった。
「そ、それじゃあね!卒業おめでとう、高校で会おうね!」
「お、おう!卒業おめでと、高校でな!」
(高校まで会えないのかぁぁぁ辛すぎる!)
2人は、まだスマホを持っていなかった為、連絡手段がなかった。家の電話で話そうと思えば話せたのだが、親に知られるのが恥ずかしくてできないでいた。
尊は、この世が終わったような顔で帰ろうとしたが、千花が後ろから抱きついてきた。
「うぇっ!?ち、千花!?」
(や、柔らかい‥‥うへへ‥‥じゃなくてなんで抱きついてきたんだ!?もっとして下さい!)
「尊君と付き合うのって‥‥わ、私じゃダメかな‥?」
「へ?」
千花の発言に尊は脳内の処理が追いつかず、なんとも間抜けな発言をしてしまう。
(い、いいいいい今なんて!?付き合うのが千花じゃダメかって!?良いに決まってんだろ!ゆ、夢なのか?取り敢えず返事だぁぁ!!)
「も、もももろち‥‥じゃなくて!もち「ご、ごめん!なんでもない!」えぇっ‥‥?」
尊は返事をしようとするが、千花に遮られてしまう。
(う〜攻めたのはいいけど恥ずかしくて返事を聞けなかったよ〜私の馬鹿!)
「ち、千花!」
「ば、ばいばい!」
千花は急いで玄関に入ってしまった。尊は追いかける勇気がなく、そのままトボトボと自分の家に向かう。
「そんな‥‥今のは冗談だったのか?いや、千花がそんな冗談を言うはずがない‥‥あと胸が柔らかかった‥‥」
その頃、千花は自分の部屋で枕に顔を埋めていた。
「あ〜なんで逃げちゃったんだろう!それに抱きつくなんてはしたない事しちゃったよ〜。‥‥でも、尊君の背中大きくなってたな‥‥それにいい匂いだったし。えへへ‥‥」
「「高校に進学したら、千花(尊君)に告白して付き合うぞ〜!」」
はたして両片思いのシャイな幼馴染達は、高校で付き合えるのか‥‥‥。
こんな稚拙な文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!