4.検索ワード
雑談が続きます。早く先に進みたいです。
× × ×
そこで俺は大きな失態に気付いた。いや、失態というか、痴態だが。
なんと、パソコンを付けたままだったのだ。失態。
だがそれはいい。ハッキング中の画面から、別の画面に切り替えたのだから。俺は、部屋にノックの音が響いた瞬間。画面をお気に入りの中から、適当に選んで飛んだ。あの画面が、俺の目的が知られることはない。
問題は切り替えたその画面。画面に映るもの。
まあ、切り替えた画面もまた問題であるというのなら、パソコンを付けたままの状態を。それはいい。なんて言葉で流せる訳はない。
全く良くない。
素人が見ても理解出来ないと思うから、あの画面のままでも良かったのだが、一応切り替えた。
それが不味かった。
今、写し出されているそれは、素人が見てもわかる。 素人が見た方が事が荒くなりそうなものだった。
検索ワード。
『姉 巨乳 エロ動画』
死んだ。誰の目から見てもこれは死んだわ。逃げたい隠れたい。
目の前に広がるは逃げ場のない地獄。あるとするなら、自殺と他殺と事故死。
結構あるな。
しかし俺が死を選ばずとも出来事は移り変わる。物語は進んでいく。
さすが、伊達に世界は回ってないな。俺を中心にせずに回ってるな。
口を開いたのは蛍ちゃん。ちなみに今の俺は、姉を姉と呼ぶ根性は持ち合わせていない。・・・姉を姉と呼ぶ根性ってなんですかね。
蛍ちゃんは蛍ちゃんだ。
俺の目の前にいる蛍ちゃんはぬるぬる動かない。
多少赤面しながらも、蛍ちゃんは話し始めた。
「まあ、動画のことは置いておくとして」
置かれた、見事な置きだ。
伊達にバスケットでレイアップしてないな。置き方にコツがあるのだろうか。
・・・嘘だ。
目の前の蛍ちゃんは、バスケットはしていない。レイアップもしてないし、普通に流しただけ。単純に俺がおかしいだけだ。可笑しければ良いのに。