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個人的要望の通らない日々  作者: 北松文庫
三大欲求さえ通らない日々
3/31

3.夢の国の非公認キャラクター

扇状(せんじょう)(ほたる)。姉です。

 軽い二度のノックの後、聞き慣れた声がした。

 

 こんな時間にも関わらずに、部屋に訪問してくるとは。


 「お兄ちゃん起きてる?」


 ベッドから椅子に移動し、待ち構える。


 「ああ、起きてるよ。姉ちゃん」


 ?

 

 返事をすると、扉の向こうにいた人物は。というか姉は、文句を言いながら部屋に入ってきた。

 肩くらいまでの髪、前髪は髪止めを片方にしていて、もう片方は普通に分けている。


 分け目からは少しピョコピョコと髪の毛が出ている。


 側頭部の垂れた犬の耳のような跳ねっ毛が特徴だ。


 「もう、蛍ちゃんって呼んでって言ってるのに。お兄ちゃんは頑固だな」


 「姉ちゃんがしつこいんだろ。何年言ってんだ」


 「小さい頃、妹が良かった。そう言ってたじゃん?」


 言ってたっけ、そんなこと。言っていたとしても喧嘩の勢いでだろ。


 ・・・そんな昔の事を覚えているとは。なにせ俺と姉ちゃんが喧嘩していたのは、だいぶ前のことになる。今は仲良し! (ここ重要)


 かなり前。


 十年は前じゃないかな。


 七歳位か。


 なるほど、十年間もの間妹ぶってたのは、そういう意味だったのか。だとすると悪かったな。姉としてはかなりこたえるんじゃないかな。俺だって姉ちゃんに「お兄ちゃんのほうが良かった!」とか言われたら、傷つ・・・かないか。


 急に解けた疑問と同時に、今は別に言ってないんだし、姉のままでいいのでは? という疑問も浮かんできた。


 俺も姉にお兄ちゃんなんて呼ばれることに納得してないし、友達の前でそう呼ばれた時の――――。あ、これはダメなやつだ。


 軽いトラウマだ。「どんなプレイ?」と、真面目に言われた時は殺意が沸いた。


 急いで訂正する。

 

 「姉ちゃん、もういいよ。てか止めろ」


 「ふっふっふ。しかしもうお兄ちゃんの願いとは別に、私はお兄ちゃんの妹になりたいと。そう思っているのです!!」


 「やかましい。何時だと思ってんだ」

 

 いや、そんなキメ顔されても・・・。困るどころではない。


 やはり正常な姉じゃないな。


 改めてそう思わされた出来事であったが、ハッカーの弟も正常ではないので、なるほど兄妹だなと思わされた。異常しかない。


 兄妹?


 自然にそう思ってしまった自分に恐怖した。


 何だと、十年前から洗脳は始まっていたのか。恐ろしい。距離をとろう。


 「まあ、それはそうとしてもだな、こんな時間にどうしたんだ。合法ロリ姉ちゃん」


 「合法ロリ姉ちゃん? どういうジャンルだ? それは」


 話が逸れる。


 「合法ロリなのに姉ちゃん。弟は何歳なんだ?」 


 「おれが言いたいのはだな、話したいのはそういうことじゃない。なぜ、こんな時間に俺の部屋に来たのかという・・・」

 

 「なあ、お兄ちゃんは逆になんでこんな時間まで起きてたんだ?」


 質問を質問で返す。揚げ足の取り合いになるとなぜ気付かないのか。あるいは故意にそうしているのか? だったら普通にムカつくな。


 訪ねてきたのに本題に入らない。


 まるで勉強をしない勉強会だ。


 来ること、会うことの口実のように。


 こっちだってそろそろ眠りに付きたいのに。勘弁してくれ。


 質問を質問で返してきたのを、質問で返してやろう。


 「姉ちゃんこそだよさっきも聞いたけど。わざわざこんな時間を選んで。なんで今まで起きてたの?」


 「・・・・・・なんで?」


 質問を質問で返してきたのを質問で返したのを、疑問で返してきただと!?


 「いや、知るかよ。俺が知っている分けないだろ」


 「え、お兄ちゃんならお姉ちゃんのこと大好きだから、なんでも知ってると思って。ほら、パソコンにそう書いてるよ」


 お兄ちゃんならお姉ちゃん? どっちが上だよ。


 それにパソコン? 顔に書いてるじゃなくて?


   × × ×


  

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