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個人的要望の通らない日々  作者: 北松文庫
2.予算残高のように命、減る日々
17/31

17.初戦2

   × × ×


 バッチを破いた上着に取り付け、それを野生のタヌキに縛り付ける。


 後はそこら辺に隠れておいて、彼女が通りすぎればホテルに戻り、この事を伝える。簡単な作戦だったはずだ。なのになぜだ。


 彼女はすぐ近くに立ち止まり、辺りの木をなぎ倒して投擲している。もうすぐ俺が隠れているとこにも来るだろう。


 見つかるのも時間の問題だ。


 早くここから逃げないといけない。バレないように、こっそりと。


 いくら彼女がバカであったとしても、視界に捉えた動く標的を逃す筈はない。今さら説得に応じる筈もない。


 深く深呼吸をし、落ち着くように自分に言い聞かせる。


 「大丈夫」


 「大丈夫じゃないよ。扇状さん」


 走った。


 それはメロスのように。韋駄天のように。そして叫んだ。


 「ふっざけるなああああああああ!!!!」


 走った。走った。走った。


 もつれる足をものともせず、切れる息すら気に止めず。ただ声の主から一目散に逃げた。


 元々大した足じゃない。そんなに遠くへは行っていないはず。しかし、それは同時に、逃げ足の遅さも示していた。


 「ふ、ふふ、ふふふ。ふふふ、ふふ。逃げれるわけ、ないじゃん」



 古乃華は、数歩の間にすぐそこまで迫って、拳を繰り出す。


 扇状は即座に身を翻して木に隠れるが、拳はすれすれのところで止まったは良いものの、木を貫通する。腕を引っこ抜く前に逃げよう。扇状はまた走った。


 山道は思った以上にキツいと、改めて思い知らされるが、立ち止まるわけにはいかない。止まると死ぬ。早くあのホテルに。


 帰りたい。ホテルに、家に!!


 「うおおおおおおおっ、があっ!!」


 こけた。


 「ふふ。あなたの強運もここまでですね」


 追い付いた古乃華は、俺を見下ろしながらも、不適に笑う。


 「あっはっはっはっ、ふふ、ふふふ、あはははははは。プーックスクス。ははははははははは」


 「笑いすぎだろ」


 なんかここまで笑われると腹立つ。蹴ったろかこいつ。今から俺を殺すと言うのにこの態度はけしからんな。躊躇をしろ。躊躇を。


 正義の味方なのか悪の組織なのか。こいつを入れたのは人選ミスだろうと思う。


 「古乃華。しゃがんで」


 「はい? なんですか?」


 「ほら、後ろに蜂が」


 「え!? 蜂!?」


 ご丁寧にしゃがみ、なおかつ後ろを振り向いてくれたナイスガールの顎に、思い切り下から蹴りを入れる。深い入り方で、俺の脚力でも後ろに吹き飛んで地面に倒れ混み、古乃華は気絶する。


 「嘘だろ・・・」


   × × ×


 

 

 


 

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