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個人的要望の通らない日々  作者: 北松文庫
2.予算残高のように命、減る日々
16/31

16.初戦

 ごめんなさい嘘です走りました。


 声とか物音で追われないように、静かに走り出しました。


 今日はずっとこんなことばかりだから、眠気が飛ぶのなんの。久しぶりの走行で、朝の山の坂道はキツイ。こんな山の中とか、モ○スターハ○ターか、土曜サスペンスでしか見ねえよ。


 しかしまあ、こんだけ色々あってまだ土曜の早朝。たしか逃げ始めたのが土曜の一時過ぎくらい。


 なんというハードスケジュール。


 給料はもちろんない。荷物を全部置いてきたのだから、むしろ取られてる。


 なんというブラック企業。


 貰えたのはこのバッチ一つ。


 バッチ?


 自室で着替えたのに、なぜご丁寧につけ直したのか。自分でもよくわからないが、取り敢えずバッチを取り外した。


 どう考えても発信器。


 そのまま投げ捨てても良かったが、これ使えんじゃ? 


 言うが早いか、言い改め、思うが早いか、策に出る。


   × × ×


 「間谷さん! 扇状さんはどっち!?」


 「君から見てもう少し左方向にいるね。動いたり止まったり、なんだろね」


 間谷さんからの情報を頼りに逃亡者を追いかける。


 原因は私かもしれないけれど、これはこれで好都合。誰よりも早く見つけて殺す。


 反撃されたとかなんとか言って誤魔化そう。


 (この時点で、隣の部屋の住人が声を聞いているので、犯人特定は時間の問題)


 元から扇状さんを殺すという予定が組織には無かったから、自動車の件はよく避けてくれたという感じだけど。


 さっきのは違う。なんでドアを、拳をかわしたの。現状では、その後の結果も私的にはいい展開ではあるので、事は良い方に運ばれていると言えるけど。


 不安だ。


 組織があれほどの規模の攻撃を、誰かに見られる可能性があるほどの大胆な行動をしてまで確かめたかった、扇状さんの土壇場での可能性。


 (大規模攻撃を始めたのはこいつ自身)


 それが不安。


 死んでもおかしくない出来事を次々と切り抜けてきた扇状さんは、能力とは別に何かある。能力はまだ出てないけど。それこそ怖い。


 なんにせよもう後戻りは出来ない。私が殺されるか、私が扇状さんを殺すかだ。


 正直殺しきる自信はある。今回は周りに武器になるものがたくさんある。


 例えば!


 私は近くの木を蹴り倒した。メキメキと音をたてながら倒れる大木を抱き抱え、振りかぶって先程聞いた方向へ投げる。

 

 そしてまた蹴り倒し、投げる。


 それの繰り返し。


 距離が空いても、直ぐに追い付く機動力の差はある。でも近づきたくはない。何も持たずに出ていった筈の扇状さんが怖い。


 それでも何かしてきそう。


 私みたいに木を投げることは出来なくても、やりようはあると思う。私は思い付かないけど。


 

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