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俺の彼女が人気アイドルなんて言えない  作者: luxuria
私と俺の一週間夏休み
16/16

一本の電話から始まる一週間夏休み

 梅雨を抜け本格的な夏を感じる感じる今日この頃。

 私渦宮飛鳥は学校が終業式であるにもかかわらず仕事の為に遠く離れた場所で絶賛撮影中である。

 と言っても今は休憩で用意されたバスの中で待機中なのだが、そんな中私はペンを片手に今仕事の予定を書いている手帳とにらこっめこしていた。


「おかしい」


「なにがだい?」


「なんかあったっけ?」


 私の言葉に外を眺めたまま反応した沙耶と指で頬をついて私のおかしいという言葉の意味を感が始めた穂香に私は内容を伝えるべく口を開いた。


「明日から一週間、仕事がないのよ」


 私が今にらめっこしている手帳には空白が一週間存在するのだ。

 少し前からおかしいとは思っていたのだ。なにせこの一週間は空白なのにそこから先は普通に仕事が入っているし、この一週間ほど異様な空白も先には見当たらない。自分で言うのもなんだが国一のアイドルにまさか一週間もの休みが与えられるはずはないし、一体どういうことなのだろうか。


「仕事? ……ああ、そういえば僕もだな。穂香は?」


「確かねえ……あ、私もない」


「二人も?」


 ……ここまでくるとおかしいではなく嫌な予感でしかなくなってくる。

 そんなはずはない、そんなはずはないのだ。()()()()()()()()()()()()()()に一週間の休みなんてあるはずが。


「一週間の夏休みよ!」


 待ってましたと言わんばかりに声を上げた男性の声。

 私の視線の先、大柄なのに妙に綺麗な歩き方をする成人男性、私たちのマネージャー『岡本拓真』がこちらに近づいてきていた。


「貴方達に夏休みを! と思ってスケジュール調整していたのよ〜。これまでは散々仕事させて夏休みをエンジョイさせてあげれなかったから最後くらいは、と思って頑張っちゃった♪」


「ええ!? 夏休みなのカマちゃん!?」


「そう! 夏休みなのよ穂香ちゃん!」


「頑張っちゃったって」


「いろいろ大変だったのよ? なにせ国一のアイドル、まして今の時期忙しいからいろいろと詰めないといけなかったの」


「それで妙に最近は仕事が多かったのか……」


「そういうこと! 上手く言ってよかったわあ」


「……嘘」


 このオカマ、よりにもよってこのタイミングで一週間休みなんて暴挙に出てしまったのか。せめて来週とかならとてもうれしいことなのによりにもよってこのタイミングで?


「ほら、飛鳥ちゃんなんて特に嬉しいでしょ? なんせ彼氏くんと一週間も一緒にいれるじゃない!」


 既に快の存在を知っているマネージャーはそれはもういいことやったと言わんばかりの満足感に満ちた顔で体をクネクネさせているのだが、私にとっては朗報ではなくただの悲報でしかない。


「……余計なお世話よ。何せ彼、この一週間家にいないもの」


「……え」


「いないのよ、家に」


「な、なんで? 彼女ほったらかして何をするの、かしら……?」


「夏休み入って一週間、彼お祖父様の家に行くのよ。私と付き合う前からずっと習慣だったらしいし私のわがままで呼び止めるわけにもいかなかったからこの時期は仕事があったほうがよかったのだけど、まさか本当に休みになるなんて思いもしなかったわ」


「やばいよカマちゃん! 明らかな地雷を踏んじゃってる!」


「ど、どうしましょう沙耶ちゃん!?」


「乙女心わかる素晴らしいマネージャーならそれぐらい考えてくれ」


「お助け拒否!?」


「大体、そういうのは前もっていうべきだと思うけどな。僕たちだって急にできた休みに羽を休めろといわれてはいわかりましたで休める気はしないし」


「急ではないけれど、今日の今日まで仕事が入ると思ってたところが休みとなると本当にどうしようもないね」


「どうする? 一週間誰かの家で寝泊まりする? 宿題とか片付けつつ」


「うん! いいねいいね! さすが沙耶ちゃん!」


「まあ、私も別にいいかし……」


 ら、いい切ろうとした時、ポケットの中に入っているスマホがブザーと共に音楽を流し始めた。この音は……お義母様? なんで電話なんてかかってきたのかしら。


「少し外すわね」


 席を立ち上がりバスの奥で着信ボタンを押してスマホを耳に当てる。


「遅くなって申し訳ありませんお義母様」


『いいわ、私達の仲だし。元気?』


「はい。最近は彼にもよくしてもらってて、至れり尽くせりです」


『相変わらずね』


 快の母こと、織村早苗さんはいつもと変わらない物腰柔らかな声だ。

 初めて会った時も私がアイドルでこういう関係を持つことは危険だと知っていてもなお私と彼を応援してくれた存在でもう一人の母親と言っても過言ではないくらいだ。と言ってもいつかは本当にそうなるのだが。


「それでお義母様、何か用でもあるのですか?」


『そうそう、飛鳥ちゃん。仕事どう?』


「……明日から一週間ほど休みをいただきました」


 先程から話題の不の一週間のことを告げると、少しの無言の後くすくすと電話の奥から笑い声が聞こえた。


『ふふ、ベストタイミングじゃない』


「あの、何かあるのですか?」




『飛鳥ちゃん、その一週間、快と一緒にお祖父さんのとこに行かない?」

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