第3章 家族(後編)
「ガチャ」
桜は、自分の部屋のドアを開けた。
千春「わー!広〜い!!」
薫「キレイな部屋〜!!」
桜の部屋は、キッチリと整理整頓してあって、全体を薄いブルーで統一している。
桜「何もないけど・・・、とりあえず座って。」
2人は、桜のベッドの上に座った。
千春「あ、これ、小さい頃の桜?」
千春は、ナイトテーブルに置いてあった写真を見た。
桜「あぁ・・・うん・・・。」
桜は顔を下に向け、今度は悲しい顔をした。
薫「ホントだ〜♪可愛い〜♪」
写真の中の桜は、髪を二つに結び、ニッコリと笑っていた。そして、その両隣には――
千春「この両隣にいる人は・・・、お母さんとお父さん?」
薫「え?そうなの?・・・だけどお母さん、今と全然違うような・・・。」
桜の目は、とても悲しそうな目をしていた。
そして千春と薫は、心配そうに桜の顔を覗き込む。
それに気づいた桜は、顔をパッと上げて、作り笑いをしながらこう言った。
桜「そ、そうなの!!いろいろ、苦労してるんだよ!!」
千春・薫「ふぅ〜ん・・・。」
「コンコン」
誰かがドアをノックした。
桜「はい?」
「ガチャ」
1人の男の子がいた。その子は、桜たちより少し年上に見えた。長い目の前髪から、こげ茶色の瞳がチラッと覗いている。
男の子「桜さん、電話です。」
桜「あ、はい。」
桜は、部屋から出て行った。そしてその男の子は、部屋のドアを閉めた。
数分後
桜が部屋に戻ってきた。
桜「ごめんごめん;」
薫「ねぇねぇ、さっきの人、桜のお兄さん?」
桜「え?・・・うん、そう・・・だと・・・思う。」
千春「え?どういうこと?」
桜「ん?うぅん、何でもない。・・・マンガでも読む?」
千春・薫「うん♪」
桜は、「リボン」や「ちゃお」などのマンガを、数冊取り出した。
千春と薫は、マンガを読んでいる。そして桜は――
ナイトテーブルに置いてある写真を、見つめていた。