表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の高校ダイアリー  作者: ぽちゃっこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

底辺高校への入学

 今からさかのぼること3年…。


 3年前の春、私が第一高校にしか受からなかったと分かったとき、周囲の反応はひどいものだった。その高校は偏差値43の底辺高校だった。

 私の家族は父と母、下に2人の妹がいる。父は中小企業の会社員で母親はパートをしていた。私が中学3年生になると、両親はうちはお金に余裕がないので、公立の高校を受けて欲しいと言った。私はもともとそのつもりだったので、公立の高校を3つ受けた。

 第一志望は偏差値55の高校。定員割れを起こしていると噂されていた。そして、第二志望は偏差値50の高校。こちらも近年定員割れを起こしているらしい。第一志望に落ちたとしても、さすがにここは入れるだろう、というところだ。

 そして、滑り止めの高校。名前を書けば受かる、というところ。受かっても行くことはあるまい、と思ったが、万が一のため。また、制服も可愛いのて、受けた。

 その結果、滑り止めの高校にしか受からなかった。

 

 そのころゲームに熱中しており、私の成績は中学3年の春から受験期直前まで下降線を辿っていた。両親は自分たちが偏差値60以上の高校を卒業しているためなのか、同じようなレベルの学校に行かなければ人間とは認めない、みたいな圧力を私にかけていた。しかし、そんな圧力をよそに、私の成績は下り坂まっしぐらだった。両親の期待に反して、受験する高校のレベルを偏差値50台に下げたのは私にとってとても勇気のいる選択だったのである。

 しかし、勇気のいる選択だって、一度選択してしまえば、気の緩みが生じてしまう。受験当日まで私は余裕をこいてゲームばかりやっていたことはまだ記憶に新しい。


 こうして、私が滑り止めの高校しか合格出来なかったと分かった夜、夕飯は凄まじく静かなものだったのである。母はうつむいてご飯を食べていた。父も静かに食べた。その日のご飯は鮭だったが、味はまるでしなかった気がする。妹2人も可愛そうに、話してはいけない空気を察知して、黙って食べていた。


 その夜中、居間から母と父が話しているのが聞こえてきた。

 「私立に行かせれば良かったのよ。それならまとまな子が通っている学校に行けたのに。」

 母が父に言った。

 「まともな子だっているんじゃないのか。まだ通ってもいないのに、決めつけるのは良くない。」

 父が平静を装って言った。

 「まともな子なんてあの第一高校にいるわけないでしょう。滑り止めにするのをどうして止めなかったの。」

 母が父を責めた。

 「分からないじゃないか。元気が良くて、素晴らしい子供が来ているかもしれない。」

 父はわざとらしく明るい調子で言った。

 そんな会話だ。とても苦しい会話に聞こえた。


 第一高校はそんなにひどい高校なのだろうか。私はこの日から、この問題と向き合うことになった。まだ私は何も知らなかった。制服が可愛い、ということ以外は。

 赤色のリボンの、ブレザーともセーラー服とも見える見栄えのする制服。ここらの学校の制服の中では一番映えると思った。自分もこの制服を着ることになるのかと思うと、全く悪い気はしなかったのだ。ただ、確かに生徒が派手なのは気になっていた。

 

 友人たちの反応はさらに私を不安にさせた。

 2人はどちらも偏差値60越えの高校に合格していた。それを聞いて私は第一高校に受かったことを

目一杯隠しておきたい気持ちにかられた。友達でいるにはあまりにも釣り合わない。

 りさは県立トップ公立校、ゆきはなんと第一高校の隣に立つ難関私立高校へ通うらしい。2人とも嬉しそうに報告するのだ。だから、隠しておきたい気持ちとは裏腹に、私も教えないわけにはいかなかった。


 「え!第一高校?!」 

 2人はそんなところに私が行くなんて信じられない!といった表情をした。

 「みき絶対浮くでしょ!」

 りさは言った。

 ゆきも笑いながら

 「ほんと、みき浮くよ!」

 と畳み掛けるように言った。

 「しょうがないじゃん、そこしか受からなかったんだよ。あぁ、ゲームやりすぎたな…。」

 私が言う。2人は私を同情するように見ていた。りさは心配そうに言った。

 「第一高校ってギャル高だよね。

  みきにはギャルの要素は全くないと思うんだ。

  どうして受けたの?」

 確かにないよ。ゲームオタクの要素しかない。

 でも、どうして受けたの、と言われても…。

 「みき、昼休みに会おうよ!隣だからさ。馴染めなかったら、携帯で呼んでよ!」

 ゆきも心配そうに言った。

 「ありがとう!ゆきが隣の高校にいると思うと心強い。」

 ゆきの優しさが沁みたが、しかし、第一高校生になった私をゆきは果たして受け入れてくれるのだろうか。そして、いつまで友達でいてくれるのだろうか。

 

 しょんぼりとした私だったが、制服は可愛いよね、という話になった。2人とも、あの制服は着てみたい、と話した。唯一救いとなる会話だった。

 

 「うちの学校、深緑色っぽい制服で、真面目すぎるっていうか、ちょっとダサいんだよね。」

 りさは顔をしかめて言う。

 「うちも普通の紺のブレザーだよ。第一高校の制服はめちゃくちゃ可愛い。みきが着たら似合いそう!」

 とゆきは少しはしゃいで言った。

 私の制服姿を2人は見たいらしく、入学したら3人で制服を着てディズニーランドに行こう、という話になった。そして、そこで近況報告会をするらしい。あぁ、どうやら友達は継続してくれるようである。そんな友達たちに感謝。私は涙で目が滲みそうになった。


 こうして、少しホッとした私は、入学式が来るまで、またゲームに熱中する日々を送った。行くまでは、何が起きるかなんて分からないじゃないか。心配したってどうしようもない。そして、あっという間に受験の日が来たように、あっという間に入学の日が来てしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ