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エンシャント・クルーレ② ー『花』の章。冷徹イケメン最強騎士は実の妹である私にだけはデレデレ!? 幸せ宮廷生活に魔導女学院でほのぼの日常オホホホホ!!ー  作者: 藤村 樹
英傑集結! 花の王都

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聖輪騎士

 お兄さまと、王城のなかへと立ち入る。

 お兄さまが城門で番兵と二言三言会話をかわしただけで、お城のなかから続々と家臣の人びとが現れて、私たちを出迎えてくれた。


「おぉ、英雄ファスマ=エルローズさま! よくぞおいでくださいました!!」

「おや、本日はめずらしく妹君とお越しですかな?」

「マァ、なんと見目麗しい兄妹なのでしょう。思わずため息が漏れてしまいますわ!」


 ものすごい歓迎っぷり。さすがお兄さま、国の英雄だけあって、王城でも歓迎される立場なのね。

 ついでに私まで褒められちゃった。お世辞かもしれないけど嬉しいな、エヘヘ。


「さ、ほかの皆さまもお待ちですぞ。どうぞこちらへ」

「ウム、待たせ申した」

「ほかの皆さま??」


 どうやら、女王さまに謁見するのは私たちだけではないみたい。いったい、誰が来てるのかな?

 私たちは、女王に謁見する者たちが集められる待ち合いへと案内された。


 待ち合いとなる広間は広く、クリスタルで造られた王城は内部も美しい。

 壁の内部を液体が流れていて、光の当たり方によってさまざまな色合いに変化しながら輝いているように見える。


 これが、遠くから見たときに城全体が淡く光って見えた理由だったんだ。

 液体が目隠しとしての役割も果たしていて、透明なクリスタルでできているにも関わらず、壁の向こう側は見えないようになっている。

 液体を流れる音が川のせせらぎのようにかすかに聞こえてきて、いるだけで癒されるリラクゼーション空間だ。


 ほぅ、面白い……などと思って見惚れていたら、突然、雷鳴のような音が響きわたった!!


「 グロォウッ!!! 」


「ひぃえっ!」


 なになに、なにごと!? ドラゴンの襲来!?

 いや違う、これはライオンの咆哮だ。もっと言うなら、人間の男の声だっ!


「わっはっは! 久しぶりであるなファスマ殿! 貴殿と会うのは先の南方遠征以来であるか、息災であったか? グロォウッ!」

「ダンテリオ殿、久方ぶりです」

「はわわわっ……!」


 私たちの前に現れたのは、お兄さまの身長の2倍はあろうかという巨大な体躯の紳士。

 威風堂々、金色のたてがみはまるでライオンみたい! あまりの迫力に、思わず腰が引けてしまったわ。


 お相手に失礼にならぬよう、私は小声でお兄さまに耳打ちした。


「お兄さまっ、この方は??」

「ウム、この御仁は……」


 ーー『聖輪騎士せいりんきし』。


 女王を支える、聖なる5枚の花弁。大国『ドルジェオン』のなかでも頂点を極める5人の騎士。いずれも、ISRR・Aランク最上位以上。


 その『聖輪騎士』の一角。国内随一の地位をもつポルポンタ家の当主にして、王国正規軍ナンバーツーの実力者。

黄金獅子おうごんしし』、ダンテリオ=ポルポンタ!!


「おや、貴殿はファスマ殿の妹君ではありませぬかな? 最後に会ったのはまだ幼子のころであったか。しばらく見ぬあいだに美しい淑女になられたものであるな。グロォウッ!」

「オ、オホホ、身に余るお言葉ですわっ」

「ダンテリオ殿。ここは王城でありますゆえ。斯様に大声を出すのはいかがなものかと」

「ふむぅ。ファスマ殿の言うことはもっともであるな。慎もう! わっはっは」


 最初は迫力に気圧されたけど、話してみると気さくでダンディーなオジサマみたいね。

 ライオンみたいな顔つきに、黒のコートが妙に似合ってる。さすがは最上級貴族、ビシッと決まってるわ!


「フフッ。だが、たしかに美しい。ダンテリオ殿が吼えるのも分かるというもの。ここは大目に見てあげちゃどうだい、ファスマ君?」

「えっ?」


 今度は、知らない誰かに手を取られた。次から次へと、なんなのよ~。


 ーー王国正規軍所属。桜色の鎧に身を包み、そのほほえみは長い冬を超えて春を迎えたときのように清々しい爽やかさ。

 同じく『聖輪騎士』のひとり。『輝けし桜花おうか』、ザグラス=ブリアント!!


「でも、この美しさはまだ蕾のようだ。いくらかの大人の恋を経て、花開くことだろう。どうだいレディー、今夜ボクと食事でも?」


 そう言って、私は取られた手の甲にキスをされた(!!)


 すかさずお兄さまは剣を抜き、ザグラスの首元に突きつけたっ(!!!)


「ザグラス、私の妹に気安く触れるな」

「おっと、これは失礼。ファスマ君、君によく似て美しい姫君だからついね。今後は気をつけるから剣を引っ込めたまえ、あはは……」


 表情の変化が乏しいお兄さまだけど、今は鬼のような表情になってて怖い。剣の刃先が皮膚に食いこんでる食いこんでる!


 ザグラスは両手を広げて降参の意を示しているけど、特にビビってる様子は見られない。お兄さまとこんなやり取りをするのは日常茶飯事みたい。

 顔のイケメン度だけならお兄さまともタメを張れそうだけど、なんだか軽薄ね~。


「ザグラスさん。女王との謁見前に若い女性をかどわかすなど、神の冒涜に等しき行為です。自粛なさいますように」

「ナ、ナルさま。それは言いすぎでは……」


 もうひとり、ザグラスを戒めたのは全身純白の礼拝服に、細身剣を腰に差した女性。金髪碧眼で、お美し~い!


 ーー正教会所属。純白の花に例えられるほどの麗人で、若くして正教会保有の騎士団を束ねる。彼女もまた、『聖輪騎士』のひとり。

『純白の処女』、ナル=イノセンス!!


「おやおや。ナルさんまで、これは手厳しいね。今日もお付きのお嬢さんといっしょかい? やぁ、こんにちは♪」

「ひっ……」


 ザグラスが手を振りながら声をかけると、お付きの女の子はナルさんの背後に隠れてしまった。

 と、すかさずナルさんは剣を抜き、ザグラスの首元に突きつけたっ(!!!!)


「私の従者に気安く話しかけないでください。神の御名のもと、あなたをこの場で断罪しますよ?」

「あはは……ちょっと話しかけただけじゃないか。ナルさんもファスマ君も、冗談が通じないなぁ」

「ナ、ナルさまっ。私は大丈夫ですよ……!」


 お兄さまにもナルさんにも剣を突きつけられて……。このザグラスって人、懲りないわね~。


 ナルさんの従者のお嬢さんは、ヒマリ=サンダルクってお名前なんだって。

 修道院服を着た素朴な女の子なんだけど、なんだか可愛らしい。いつもナルさんの後ろについて、お供をしてるらしいわ!


 お兄さまも降参ポーズのザグラスを押しのけて近寄り、ナルさんに話しかけた。


「ナル=イノセンス殿。アルバ殿は、本日どちらに?」

「アルバ=ロータスは公務に当たっており、来られないとのことでした。本日の謁見の内容は、私のほうから伝えておきましょう」


『聖輪騎士』にはほかに、アルバ=ロータスって人がいるみたいね。こちらは正教会所属なので、ナルさんのほうが会う機会が多いみたい。


 ……そしてもちろん最後のひとりはお兄さま、ファスマ=エルローズ! 『聖輪騎士』筆頭のSランク!!

 ちなみにほかの方々はAランク最上位と認定されているみたい。みんな強そうでカッコい~い!


 そうそうたる顔ぶれが揃ったところで、待ち合いの奥から誰かがでてきた。神官帽を頭にかぶった、オジサンだ。


「皆さま、本日もようこそおいでくださいました。女王がお待ちです。どうぞこちらへ」


 オジサンに導かれるままに、私たちはぞろぞろと待ち合いの奥へと歩いていく。

 と、オジサンは私と目が合うとニッコリとほほえみ、話しかけてくれた。とても優しくて、落ちつく声だ。


「あなたがファスマ殿の妹君ですね。私はギウス=ディツュアと申します。以後、お見知りおきを」


 そう言って手を差しのべてきたので、私も手を握りかえした。 心がジンワリと暖まるような、あったかい手。


「サヤ=エルローズです。失礼ですが、あなたは?」

「私はこの国の貴族院議長でして、正教会の神官長も兼任している者です。議会と教会の橋渡しをする者として、女王の側近に任命された経緯があります」

「!! ごめんなさい、そんな偉大な方でしたとは……。私、ちょっと前に記憶の大半を失っていて、とても失礼いたしました」

「あはは、いいんですよ。威厳がないとは、よく言われますから……」


 そう言って飾り気なく笑った顔は、素直に親しみがもてた。個性派ぞろいの『聖輪騎士』の面々を見たあとだと、普通すぎて拍子抜けしちゃうかも。

 でも、国の偉い人には、こういう人こそが向いているのかもしれない。敵を作らないっていうか……。

 とにかく、素朴さのなかに秘めた奥深さを感じさせる方だった。


 さて、そんなギウスさんに導かれて、私たちは女王の間へとたどり着く。この花のように美しい大国の女王さまと、いよいよご対面だーー。




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