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兄が連れ込んだ女が悪役令嬢だった。  作者: 京栞


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18/21

#18 悪役令嬢と言われた私は聖女だったー2(ヴィオラ視点)

二日遅れです。

本当にごめんなさい……

「私の正体、ですか」

「流石の私も、レイチェルちゃんが特別鋭いことや、他の人が知り得ない何かを知っているということは察せましたから」


 レイチェルちゃんは私の言葉を聞いて少し困ったように笑うと、ため息をつきました。


「まあ確かにいつまでも隠しておくのも無理がありますしね。この際全部話してしまいましょうか」


 その言葉に思わずホッとして、そこで初めて自分が思っていたより肩に力が入っていたのだと気付きます。


「そうですね、どこから話しましょうか……」

「レイチェル様、ヴィオラ様!」


 レイチェルちゃんが話し出そうとしたとき、扉が開いてミスティが慌てた様子で入ってきました。


「ミスティ? 何か起こりましたか」

「歓談中にお邪魔してしまい申し訳ありません。皇帝陛下が既に皇城を出たとのことです。なんでも本日の執務が早めに終わったとか」


 貴族の屋敷に現役の皇帝が訪れることでさえ珍しいことですが、当日の伝達、さらに時間を前倒しともなると、準備をする側は大変なことになりそうです。

 気のせいかミスティの顔にも焦りが浮かんでいます。


「応接間の準備は?」

「それは何とか。リアラももうすぐ仕上げが終わるとのことなので、お二人の支度を何とか致しましょう」

「仕方ありませんね。……お姉様。申し訳ないのですが、話の続きは皇帝陛下がお帰りになった後でも大丈夫でしょうか?」

「もちろんです!」


 大慌てでリアラの仕上げてくれたドレスを身に着けて、軽い化粧をし、髪をセットします。

 まるで最初から自分と同じサイズで作られたかのようなフィット感に感心したのですが、彼女にしっかりとお礼を言えるほどのゆとりはなく、慌ただしく支度は進んでいきます。


 リアラは私たちの着替えた姿を確認すると、皇帝陛下に会う度胸はないからと言って慌ただしく去って行きました。

 正直なことを言うと私も皇帝陛下とどのように接すればよいのか分からないため、未だに緊張しています。

 あっさりと帰って行った彼女の姿を少し恨めしく思います。


 それでも、自分の支度だけに注力しておけば良い私と違って、レイチェルちゃんやミスティは装飾品からお茶請けまで事細かな指示を出しているようでした。


 皇帝陛下が到着されたのは、支度が終わって僅か二十分後のこと。

 白を基調に花の刺繍をあしらったプリンセスラインのドレスを着た私は、白地に銀の刺繍が入った子供用ドレスを着たレイチェルちゃんの隣に立ち、門前に止まった馬車の前で深く頭を下げます。

 レオナルド様は陛下と共にいらっしゃることになっていたので、ここでは屋敷の主の妹であるレイチェルちゃん、身分の高い私の順に並ぶ必要があるのです。


 馬車の扉が開き、人が下りてくる音が聞こえます。


「陛下、ご紹介いたします。正面におりますのが、グロッタ家長女のレイチェル・グロッタ。そしてその隣にいるのが客人として迎えているヴィオラ・リドニクス嬢です」


 共に降りたと思われるレオナルド様の声が私たちのことを紹介します。


「ああ、分かった。皆も顔を上げて楽にしたまえ。今日は私が無理を言った訳だし、多少の手落ちも承知の上だ」


 陛下の許可が下りて、私が顔を上げると、レオナルド様と目が合います。

 私の緊張が顔に出ていたのでしょうか?

 レオナルド様は声を出さずに口を「あんしんして」と動かしました。


「ヴィオラ、久しぶりだね。体調は大丈夫かい?」

「お久しぶりにございます陛下。グロッタ家の方々が良くしてくださいますから私は平気です。陛下には、ご迷惑、をおかけして……」


 いつも謁見するときと変わらず、優しく、しかしあふれ出るオーラはそのままに、声をかけてくださる陛下。

 私は咄嗟に謝ろうとしますが、陛下はそれを遮って、にこやかな顔でおっしゃいます。


「かしこまらずとも良い。先に言っておくが、今回の件、君の非は一切ないと先に宣言しておこう。あの騒ぎは全て愚息と、それを上手いように操っているどこぞの野良猫が悪いからね」

「陛下、お話の続きは是非、屋内でお願いします。一応お忍びでいらしているのですから」

「そうだった、忘れるところだったよグロッタ卿。では案内してくれるかな。……今日の目的はヴィオラが第一なんだけど、できれば君や君の妹にも同席してほしいね。どうせ全員と話すことなら一度に済ませた方が早い。そうだろう?」

「妹も、ですか」


 なぜか今回の件には関係ないはずのレイチェルちゃんまで同席を求められたことに私が内心首をかしげている一方、レオナルド様は少し苦々しい表情になります。

 対する陛下は恍惚とした笑みをレイチェルちゃんに向けると、こうお答えになりました。


「もちろんそうに決まってるだろ? ヴィオラを聖女と見抜いたのも、私が長年恋焦がれた魂の姉君、レイチェル・グロッタその人なのだから」


 ……すみません、陛下が変態にしか見えないのですが。

お読みいただきありがとうございます。


次回更新予定 3/11(可能な限り)7:30


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