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第一六話 森

「ヨウヘー。お前さんの銃、奇妙な形じゃのう。見た感じ狩猟用ではなさそうじゃ。あまりにも短すぎいる。お前さん何をしてたんじゃ」


洋平の顔が少し暗くなる。


「オレ、傭兵してタ」


「ほう。傭兵の銃士かぁ。そりゃ頼もしいな。私もな、猟師やる前は獣撃ちをしてたんじゃ」


「狼トカ熊とトカか?」


「違う違う。異能獣をじゃよ。あやつらは手強っくてのう、何回死にかけたことやら」


「イノウ獣?」


驚いたようにジョートルが言った。


「なんじゃ? お前さんは異能獣を知らんのか!? これまたとんでもない世間知らずな銃士がいたものじゃ…。まぁ、異能獣は異能を体に宿した獣どものことじゃ。大概は図体がデカく成長するんじゃが、稀に異能を使いこなす奴らもいてのう、こやつらが厄介なんじゃ。異能を使える分、知恵を持っておる」


「異能獣…ソレどこから来ル?」


「どこに居るのかと聞いているのなら、少なくともこの土地にはいないじゃろう。じゃが、この国でいうとウラータ山脈辺りの地域にはぎょうさん居るじゃろう」


「違ウ。異能獣、何が原因デ生まれタ?」


「何がとは…それは分からん。太古から居るものなんじゃなかろうか。そこら辺は賢者にでも聞けば良いじゃろう」


「モシカシテ、人デモ異能使えルのイル?」


(ファンタジー世界の魔法みたいなやつなのか)


「いるぞ。適正があるんじゃ。適正がある人間、ない人間。ある人間は学べば異能が使えるらしいがのう。私は数人か適正持ちに会ったぞ。確か、身体属性と土属性と風属性。それと…なんじゃったかのぅ…忘れたわい。いかんせん数十年前のはなしじゃからのう」


「ジョートルおじさんは使えるの?」


「私が?無理じゃ。適正は受けたこと無いんじゃが、そもそもあったとしても、学んだこともないからのう。今から学ぶのも望み薄じゃろう」


「まぁ、私は獣を幾匹も撃ってきたんじゃ。銃の腕前には自身がある。それだけで十分なんじゃ」


「物静かな奴じゃのう。お前さんは傭兵だったんじゃろ?面白い話とかないのかのう?」


「面白イ話…正直あんまり覚えてナイ。ダカラナイ」


「なんでも良いんじゃ。例えば、お前さんのその銃。珍しい見た目をしておる。どこの銃なんじゃ?」


「コレは、ロシアの国で作らレタ銃。クリンコフ呼ばれてル」


「く、くりんこ…。ろしあ…聞いたこと無い国じゃのう。遠方の国なのか?」


「分からナイ。ココが地図ノドコか分からナイから…。コノ銃には命あずけられル。何回も救われタ。ダカラ手入れハ欠かさナイ」


「ほうほう。命が預けられる程の相棒か。それは関心関心。若者は銃の手入れを怠ってばっかなんじゃ。息子に銃の手入れをいくら教えても全くしないもんで、私が中身をバラしたらすすでドロッドロじゃよ、もう…馬鹿者だ…いくら教えても…どこをほっつき歩いてるのやら…」


「ソレは酷イ。銃ハ手入れしないとマトモに動いてくれナイ。教官から叩き込まレタ。銃を大事ニしろって」


「関心じゃ。ダヴィはなかなか良い若者を拾ったものじゃのう、ウリャーナ」


「私?…たしかに洋平はなかなか良い…と思うケド…」


「オレが何ダって?」


「何でもないよ~だ」



しばらく歩いた。辺りはだんだん暗くなっていっている。まだ森から抜ける気がしない。ふと、ジョートルが足を止めた。咄嗟に銃口に細い三角錐のベイオネットを装着し、火打石を起こした。洋平もジョートルの様子に反応し、セーフティーを一番下まで下ろす。


「血の匂い。微かじゃが臭う。屋敷の方角!?」


「日ガ傾いテイル。早ク行った方ガイイ」


「同感じゃ。ウリャーナ。少し走るぞ」


三人は屋敷めがけて走り出した。

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