第十五話 合流
「お前さんがヨウヘーか。…六日間この子を守ってくれてありがとう」
「イヤ。オレ悪い…コノ子ノ親が消えタ理由、オレにアル…」
顎髭をしごきながら唸るジョートル。大体要件が分かったように頷くと、ヨウヘーの肩に手を置いた。
「心配するでない。お前さんのせいじゃないよ…とは言っても聞く耳を持ちそうにないのう。ならば、間違えを正そうと前に動かねばならないじゃろう?」
「……」
「ウリャーナ。悪いが一度、私の家でヨウヘーと集合してもらえんか。私も支度をしてくる。お前も支度をしてきなさい。ヨウヘー。お前さんもだよ。二人を探しに行こう」
出ていったジョートルを尻目に、洋平は席を立った。罪悪感と自己嫌悪が足場をふわふわとさせ、一歩一歩が空を舞う。
クリンコフには空のマガジンが一つ刺さったままである。マガジンを抜き、チャージバーをジャキジャキっと数回引く。緑の箱が四つ。開けると、ジャラジャラと無造作に入れられた弾丸が入っていた。一発ずつ引っ掴み、マガジンに押し込んでいく。カシュッカシュッと抵抗するものの、マガジンに重みが加わる。突然戸が開いた。
「ヨウヘー…」
マガジンに三〇発装填完了。
「貴方のせいじゃないから…」
トントンとマガジンの前方を手に叩く。
「……分かっタ」
クリンコフのダストカバーを取り外し、リコイルスプリングを抜き弾力を確かめる。
「でもヨウヘー、いつも言ってる…俺のせいだって…罪悪感で無茶しそうで、私怖いの」
撃鉄を起こし、引き金を引く。カシャッと小気味いい金属音。
「昔々、トアル男ガ家ヲ飛び出シタ。ナゼか分からナイ。親トケンカしてカ、悪童っプリが手ニ余ったのカ。ナンデモ男ハ家を出タ」
ボルトを引き、抽筒子のバネ弾力を確認する。
「放浪した挙げ句、その男ハイイ人に拾われタ」
排莢器に摩耗がないか確かめる。
「ソノ人は男に寝床と飯ヲ与えタ。男ハ居場所を得タ。ダガ、その人ハ事故で亡くなっタ。男ハ恩を返ス間もナカッタといウ」
薬室内はそれほど汚れていない。抜いたパーツを手際良く戻していく。
「オレはそんな男にナリたくナイ」
カシャッと引かれたボルトが戻る。
「大丈夫。ヤルベキ事は分かっタ。オレはソレをコナスまでダ」
マガジンが刺され、セーフティーが掛けられた。
ジョートル宅前ではジョートルが猟銃を持って待っていたようであった。先込め式の不便なフリントロック式である。
「集まったのう。じゃぁ行くか。私が先導する。後ろをヨウヘーが。頼む」
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*5 フリントロックとは、撃鉄に付けられた火打石が、引き金を引かれた際、打ち金のような役 割をなすL字の当たり金に当たり、それがどかされると同時に下の火皿に火花を落とす。
火皿 内には少量の装薬が容れられており、着火することで発砲する。




