再会 その2
家に着くと、飯田に対してとった行動に、かなり負い目を感じていた。なぜ私はあそこまで彼女に批判的になったのだろう。彼女はトラウマになっているのに、無理にさせるのは良くない。私は、バンドを始めた頃の彼女の会話を思い出した。
「私、歌うことが好きなの。カラオケではいつも九八点なのよ。でも、点数はどうでもいいの。歌ってる時の周りの表情……聴き入ってる人。タンバリンを振ってはしゃいでる人。いろんな人がいるじゃない?あれを見るのが好きなの。私、みんながノってくれるような歌手になれたらいいなって思ってるの。だから、もしマサが曲を書いてくれる時は、私の魅力を最大限に活かしてよね」
彼女はすごく自慢げに語っていた。今思い出せば生意気なことを言いやがって、とも思うが、果たして私達は彼女の魅力を最大限に活かせていたのか。カバーとは言えど、私のギターはドライブしていなかったし、乱闘騒ぎも起こした。私に非があるのに、彼女のやる気がないことを理由に罵詈雑言言ってしまった。私はひどく後悔した。
次の日、改めて飯田に会いに行った。
「飯田、昨日はごめん。元々君がやる気を失せてしまったのは、俺とマサが乱闘をして、演奏どころじゃなかったもんな……」
「いや、私も昨日は熱くなりすぎたわ。ごめんね。それから、私も考えてたのよ……私、やるわ」
「えっ?」
「私……やっぱり怖い……怖いけど、あれで最後ってのは納得いかないのよ。だから、やりたい。やらせて?」
まさかの返答に、私は固まってしまった。
「もしかして、怒ってる……?」
「……いいや、最高だ!君は本当に最高のシンガーだよ!嬉しいよ!」
こうして、雨降って地固まるかの如く、ボーカルの復帰が決まった。私はかなり嬉しかった。しかし、安堵もしていられない。あと1人残っている。そう、足立ミキ、ミッキーだ。彼女が一番怖がっていたし、なによりヤジの原因にもなっていて、かなり責任を感じていた。彼女を説き伏せるのに時間はかかるだろうが、私は最後までやり抜こうと、腹を括った。




