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バンド結成 その1

さて、何故私がバンドを組むことになったのか。それは高校時代になる。当時私は軽音楽部に所属しており、そこでギターを担当することになったのだ。私はギターにしては珍しい左利きであったが、なんとか店舗を回って見つけ出した。偶然にも某有名ギタリストと同じモデルのギターを買えたので、なんとかそいつを使いこなせるように練習する日々だった。

 しばらくして、バンドを決める時が来た。と言っても、高校一年生の私にとって、知らない誰かとバンドを組むなんてことはとても緊張した。たまたま授業の席が近かった友人に何の楽器をするのか聞いたらギターだったため、バンドを組もう!と呼びかけたが、彼は申し訳なさそうに「ごめん、俺軽音楽部入ってないんだ……」

 と言ってきた。謝る必要はない。確かに言われてみれば部活中に見かけなかったな。ともとも思った。そしてバンドを決めかねている時、村田という奴が突然話しかけてきた。

「やぁ、そのギター、、左利き?」

 見て分からないのか。相当なアホだな。と言いそうになったが、そこは笑顔で自身が左利きであることを伝えると

「へぇ、でも左利きでも右で弾く人が多いよ」

 と言い返してきた。そりゃそうだ。楽器店に行くと大抵の楽器が右利きで置いてあるのだから。私がどれだけ苦労したのかコイツは分かってない。そのまま無視しようとすると、

「あ、そのギター、シーサイドマイサイドのギターが使ってたモデルだよね!俺、彼ら知ってるよ」

 と言ってきた。

「そりゃあ、分かるだろうな。彼らは世界一有名やし、曲を聴いたら分かった、だなんていう奴が掃いて捨てるほどいるんだからなぁ」

「いや、そうだけど、特に彼のギターはいい!特に……」

 そう言って彼はリフを弾き始めた。これがかなりうまい。速弾きとタッピングを用いた当時にしてはハードなサウンドをおよそ16歳で成し遂げたのには驚いた。まるで本人が演奏しているかのような音だった。

 何より、彼が選んだ曲は、シーサイドマイサイドの中でも少しマイナーな曲であった。悪い曲ではないがなにせギターソロが長かったり雄叫びがノイズのようで聴いてて心地よくないからである。そんな曲を彼は弾いてくれた。彼がその曲を好きだから選んだのか否か、分からないうちに私はリフに合わせて歌っていた。ギター担当の人間は黙って弾いとけ、と言われるような声だったかもしれない。しかし、今まで音楽をやってきた中で一番テンションが上がった。彼にバンドメンバーを探していることを打ち明けると、

「いいよ、入れてくれ。もしくは、今ドラムだけ決まっているバンドがあるんだ。今度彼に会って、その時に正式に決めてもいいか?安心しろ、あいつはいい奴だし、却下だなんて言わないよ」

 と言った。私は二つ返事で了承した。この際ドラムに断られてもいい。村田と仲良くなれればそれでいい。

「分かった。歌さえ歌わなければ俺は受け入れてもらえるさ、村田君」

「そうだね。あと、村田君じゃなくて、賢太、もしくはケンちゃんと呼んでくれ。その方が親しみが湧くから」

 と、村田……改めケンちゃんが言ってくれたので、次の日の土曜日にそのドラマーとやらに私のギターを披露することになった。

 数日後、そのドラマーに会った。名前は黒田泰造。色黒で、少し茶色気味の髪色に、クシャクシャの笑顔を浮かべていた。

 「高橋君……だね?俺は黒田泰造。周りからはクロと呼ばれている。呼び捨てでも、クロでもいい。バンドを組みたい、って話だが、俺たちもメンバーを探してた。ツインギターなら音も厚くなるし、迫力も出る。これからよろしく」

 「ああ、よろしく、クロ。所で、ケンちゃんにはギターを披露してやれ、って言われたから持ってきたけど……」

 「いいよいいよ、目を見ただけで弾けるかどうか分かるさ。君は弾けそうな顔だ。うん……リズム顔って感じだ。リードは苦手だろ?丁度いい、ケンちゃんもリズムは苦手だから」

 まあ適当なものだ。でも、とりあえずバンドメンバーが着々と増えてきているからそれでいい。ベースとボーカルはまだ決まってないが、セッションくらいならできるだろうということで次の練習日を決めた。それまでに残りのパートを探そうということになった。

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