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いつもの1日

「ねぇトモくん。」

「ん~?」

「おっきくなったらさ、けっこんしようね。」

「かんがえとく。」

「でねっ、こどもは10にんほしいなぁ。」

「・・・・・」

「っておもったんだけど、さすがにたいへんだから4にんでいいや」

「4にんもたいへんだとおもうよ・・・」


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

(???)

『・・・・・・・ピピピ・・ピピピ・・ピピピピ』

(はぁ~、もうそんな時間なのか。)

そんなことを考えながら、現実に戻ってこようと必死に頭を回転させる。


ふと目が覚めた。窓の隙間から朝の日差しが顔を照らしている。

『ピピピピ・ピピピピ・ピピピピ』

がしっと頭の上にある目覚まし時計をつかみ、この耳障りな音を消した。時刻はちょうど六時を指している。

(ずいぶん懐かしい夢を見たなぁ。セリフは結構違った気がするけど。)

そう思いながら昨夜に用意しておいた教科書をカバンの中に詰め込み、一階へと降りて行った。


「あ、おはよう。」

「ん~、ぉはよぅ・・・」

などと力の抜けた声で親とあいさつを交わし、その後はもくもくと朝食をとった。


六時半、着替えも終わりそろそろ学校へ行くのにちょうど良い時間になっていた。

なぜこんなにも早く学校へ行くのかというと、朝練があるからである。俺は陸上部に所属している。で、この陸上部ってのはかなり力を入れていて毎朝7時から朝練があるのだ。

(さすがに2年目だからもう慣れたが、六時起きは結構厳しいなぁ~。)

ふぅとため息をついて家を出る。


学校へは自転車で行く。片道15分くらいで着くのでだいぶ時間に余裕がある。自転車をひっぱり出してきて、いざ行こうとした時、

「ガチャ」

という音が隣の家からした。

『あっ』

二人の声が重なった。

「おはよう」と俺があいさつする。すると向こうも「おはよう」と返してきた。

交わしたした言葉はそれだけだった。

俺はあいさつを済まし、学校へ向かった。

彼女は小野坂優希(おのさかゆうき)。俺の幼馴染で、さっきの夢で結婚しようと言っていた子だ。

彼女は合唱部に所属しており、その合唱部も7時から朝練があるのだ。なのでいつもこの時間に顔を合わせている。

小学校低学年までは仲が良かったと思うが、いつの間にか話すことも遊ぶことも無くなっていた。たまたま高校も一緒になったがこの関係はずっと平行線のままである。


そういえば俺の自己紹介がまだだったな。一応しとくか・・・

え~、俺の名前は藤井友喜ふじいともき。高校2年生、陸上部所属、ごく一般的な青年だと自分では思っている。好きな食べ物はカレー、嫌いな食べ物特になし。・・・こんなところかな。


俺の家は山を削ったところに建っているのでかなりアップダウンが激しい。学校へ行くには坂を下り、上り、又下り、そこから5分くらい自転車をこいでやっと着く。時間的には問題ないのだがこの上り坂はかなりきつい。こんな道を通るのは俺くらいだ。普通は回り道をして行くのだが、10分のロスが生まれてしまう。朝の10分はかなりでかいので我慢するしかないだろう。

(練習の一環だと思えば大丈夫・・・なわけ無いっての!)

などと文句を言っても何も変わらないのでしぶしぶ自転車をこぐ。


心臓破りの坂を上りきり下り坂で息を整える。下り坂が終わり自転車をこぎ直そうとした時。

「藤井く~ん、おはよ~う。」

と少し離れた所から元気な声が聞こえてきた。少し背の高い女の子が手を振りながら近づいてきた。

「よう柊、おはよう。」

と俺は返した。

彼女は柊彩音ひいらぎあやね。陸上部のマネージャーである。中学の時からの知り合いで中学時代もマネージャーをしていて、いろいろお世話になっている。ちなみに小野坂優希の親友である。

「いいよなぁ、この坂を上り下りしなくていいってのは。」

彼女の家はこの坂道をちょうど下りきったところにある。近所といえば近所なのだが、この山の壁はでかい。

「もう毎回そんなことばっか言ってぇ、練習の一環だと思えば大丈夫だよっ!」

「・・・・・」

まぁ実際この坂のおかげで結構体は鍛えられている。このおかげだけというわ訳では無いが、実際県でトップを争うレベルで全国も狙えるくらいである。

(決して自慢では無い、決して・・・)

「そういえばさぁ、優希と仲直りした?」

といつものように聞いてきた。毎回同じことを聞いてくるが、もう慣れてしまった。

「仲直りも何も元々ケンカなんかしてないって。」

「でもさぁ普通幼馴染ってもっと仲いいでしょ。悪口とか言い合ってても実は以心伝心ができてるみたいな。」

「なんだよそれ。そういうのはマンガとかアニメだけだって。」

とあきれながら言う。

「えぇ~、でもさぁ友達みたいに話したり遊んだりするでしょ普通。藤井君たち見てるとさ、何かお互い避けあってるみたいなんだもん。」

「避けあってるねぇ~・・・別にそんなつもりはないんだけど。」

(・・・・・)

「そういえばさ、彩夏ちゃんは一緒じゃないの?」

と話をそらして聞いた。

「え?あぁ、あの子なら置いてきたわよ。」

彩夏ちゃんというのは俺の1こ下の後輩で柊の妹である。又後で出てくると思うので、その時に紹介するとしよう。

「置いてきたって・・・」

「だってあの子支度するの遅いんだもの。待ってたら遅刻しちゃうわ。」

とかなんとか柊の愚痴を聞きながら学校へ向かった。


今日は柊と一緒に歩いてきたので予定より5分ほど遅れた。練習といっても体を少し動かす程度なので、準備には10分もあれば十分だろう。

・・・そろそろ7時になる。まだ柊妹は来ない。

「遅いな彩夏ちゃん。」

「まったく、何やってるのかしらあの子。」

とその時。

「すいませ~ん!遅れちゃいました~!」

と息を切らしながら彩夏ちゃんがグランドにやってきた。

この子が柊彩夏ひいらぎあやか。柊の妹である。柊と比べ背はそこまで高くはない。しかし、彼女の陸上のセンスはかなりのものである。高校から始めたそうだが、呑み込みが早くフォームもかなり綺麗である。実は高校に入るまで彩夏ちゃんのことは知らなかった。柊から引きこもりの妹がいるとは聞いていたが・・・

(今度の記録会が楽しみだなぁ~)

などと思っていると、

「もうっ、だから今日の準備は昨日じゅうにやりなさいって言ったのよ。」

「だからって置いてくことないじゃんか~。ぶつぶつ・・・・・」

柊姉妹の口喧嘩が始ってしまった。

(はぁ~、何やってんだか)

「はいはい、もう集合してもいいわよね?」

と佐藤キャプテンが割って入った。うちのキャプテンは女の人である。少し珍しいと思うが、まとめるのが上手な人のほうがキャプテンに向いているということで、佐藤キャプテンが選ばれたのである。

「え~、再来週の土曜日に記録会があります。わかっていると思うけど調整は無しだからね。記録会は練習のつもりでやるように。で、一年生は大会の雰囲気に慣れといてね。県の大会は記録会なんて比じゃないくらい緊張するんだから。」

俺は去年のことを思い出していた。

(そういえば高校総体の前に国体の予選があったな。社会人や大学生も参加する大会だ。空気がピリピリしていて、その場にいるだけで気が滅入りそうだった。)

「それじゃ、練習始めます!」

そのキャプテンの言葉を合図に、

『お願いしま~す!』

と一斉に挨拶した。


『お疲れ様でした~!』

ふぅと息をつき時計を見る。時刻は8時20分。朝のホームルームまで15分ほど時間がある。この間に着替えを済ませて各自教室へと赴く。

「じゃあ藤井君、先に行ってるね。」

「おう」

実は柊とは同じクラスなのである。ついでに言うと小野坂も同じクラスだ。


着替え終わり自分の教室へと向かう。

「藤井センパ~イ、お疲れ様で~す。」

言うだけ言って柊妹は走り去って行った。

(なんか忙しい子だな)


自分の教室に入り窓際の一番後ろへと向かう。クラス替えが終わりしばらくは出席番号順に座るのが一般的だが、うちの担任は

「出席番号順だと不公平だろ」

と言ってくじ引きで席を決めた。まさかの出来事だったがこの特等席を獲得できたのでラッキーである。

「ガタッ」

隣の席に小野坂が座った。何の因果か俺の隣の席は小野坂なのだ。今まで小、中学校と同じクラスになったことがあるのは小学校の時の1回だけで隣の席になることも無かった。だが高校に入り2年連続で同じクラスになったのだ。そして今年ついに隣の席になってしまった。別に嫌っているわけではないが、何んとなく気まずい。

「優希、おはよっ」

「あっ、彩音おはよう」

先に来ていた柊が小野坂に声をかけていた。チラッと柊がこっちを見たが特に何も言わなかった。


そうこうしているうちに先生が教室に入ってきてホームルームが始った。

「今週末からゴールデンウィークだがあまり羽目を外すなよぉ~。あと宿題も結構出ていると思うのでしっかりやるように。」

(そういえばもうそんな時期か。この一カ月は早かったなぁ。)

ホームルームが終わり教室の中がザワついてきた。

「はぁ~」

また一週間授業があるのかと思うとため息が出る。


『キーンコーンカーンコーン』

4限目の数学が終わった。やっと昼食にありつける。ほとんどの人が弁当なのだが、この学校には購買がありそこで買って食べる人も結構いる。俺はいつも弁当ですましている。

『ガヤガヤ』

おしゃべりを楽しみながら食べる人や、一人でもくもくと食べる人もいる。俺はどちらかというと後者である。この特等席で静かに食べるのが良いのだ。

「おーい友喜ぃ、いるかぁ~。」

はぁ~、うるさいのが来た。

この男は西山晃にしやまあきら。高一の時に同じクラスになりそれ以降何かと付きまとってくる。親友では無いが一応友達である。サッカー部に所属していて自称次期エース候補らしい。しかしこいつの練習風景を見ていると、結構な腕前だと素人が見てもわかるので案外本当なのかもしれない。

「何だよ自分の教室で食えよ。」

「まぁまぁいいじゃないか、俺とお前のなかだろ。」

ちなみに俺のクラスは1組でこいつのクラスは5組である。わざわざ4組分またいでここで食うのだ。とかなんとか言いながら毎回一緒に食べている俺である。


「じゃあな。」

「おう」

食べるだけ食べて晃は帰って行った。

(ふぅそろそろ5限目が始るな・・・なんで数学が2限連続であるんだよ。)

愚痴りながら教科書を用意した。


『キーンコーンカーンコーン』

「んっはぁ~、やっと終わった」

伸びをしながら授業に対する不満を言う。

(全然理解できなかった・・・高校に入ってから数学のレベルってかなりあがったよなぁ。)

まぁ今日の授業は無事に終わったので部活に行くことにした。


「ふっ、ふっ、ふっ」

ここは校舎と校舎をつなぐ渡り廊下である。東側は俺たちのクラスがある校舎である。そして西側は音楽室やら科学室などそういう移動教室で使う教室がある校舎である。西校舎は文化部がよく使っている。そして下駄箱が東校舎にあるので文化部の人たちが帰るときはこの渡り廊下を通って行くのである。でもって俺たち陸上部はなぜかこんなところで筋トレをしている。この大人数で一斉に筋トレをしているのだ、俺たちも文化部の人たちも気まずいことこの上ない。

「はっ、はっ、はっ」

「あっ優希、お疲れぇ~」

ふいに柊が言った。よくよく考えれば小野坂も文学部なのでこの渡り廊下を通るに決まっていたのだ。しかし俺は反射的に振り返ってしまい小野坂と目が合ってしまった。

「お疲れ」

と言わざるを得なかった。

「お疲れ」

小野坂も気まずそうに返してきた。

「・・・・・」

「何でそこでこんな空気になるの」

とあきれ顔で柊に突っ込まれてしまった。何でもなにもなってしまうものはなってしまうのである。


『お疲れ様でした~!』

(ふぅ~やっと終わった。そういえば今日は見たいテレビがあったな。早く帰ろうっと。)

自転車置き場で自転車のカギを捜しながらそう思っていたら、

「藤井センパ~イ!お疲れさまで~す!」

と言って柊妹が走り去って行った。

(今朝もこんな感じだったよな・・・元気だなぁ。)


なかなかカギが見つからない。

(あっれぇ~どこにしまったかなぁ)

4、5分間必死になって探した結果、カバンの底にある下敷きの裏に隠れているのを発見した。

「あれ?藤井君まだいたの?」

後ろから柊の声がした。

「あぁ、ちょっと自転車のカギを捜してて。」

「ふぅん、で、見つかったの?」

「今ちょうど見つけたとこ。」

手に持っているカギを見せながら言った。

「そっか、じゃあ一緒に帰ろ。」

「あぁ、いいぜ。」

というわけで柊と一緒に帰ることになった。


帰り道の途中で

「そういえば藤井君、今年もあれやるらしいよ。」

「?、あれって?」

「来年度入学希望者のパンフレットの写真。」

(あぁそういえば去年そんなことしてたなぁ。)

この学校のパンフレットの裏には、部活動における成績優秀者の写真がでかでかと載るのだ。去年は確か佐藤キャプテンが載ってたよな。

(しかしあれは恥ずかしいよなぁ。)

知っている人は知っていると思うが陸上競技のユニフォームかなりきわどいのだ。試合のときは皆が同じような格好をしているので何ともないのだが、学校であれを着るとなるとかなり恥ずかしい。

「でねっ、今年の候補者はまたまた佐藤キャプテンらしいの。」

「へぇそうなんだ。でもそんな情報どこから仕入れたんだ?」

「生徒会に知り合いがいてね、その子から聞きだしたんだ。」

「ふぅん。」

「それから藤井君も候補者みたいだって。」

「へぇ・・・・・はぁっ!?」

サラっと言われたので危うく聞き逃すところだった。

「がんばってね。」

満面の笑みでそう言って柊は去って行ってしまった。

(・・・おーいどうすんだよ。)

しばらくその場で固まっていたが、どうしようもないので家に帰ることにした。

どうも初めて投稿させていただくてらいと申します。ちゃんと書けているか不安ですが読んでくれるとありがたいです。よろしくお願いします。

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