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短編とかその他

争い合う者達

作者: 仲仁へび



 遙か未来に存在するその世界では、人類が二つに分かれて争いあっていた。

 宇宙に進出した者達と、地球に残った者達。


 前者は宇宙開発に行き詰っていた。

 後者は優れた化学技術の独占に憤っていた。


 だから彼らは、自らの足りぬ所を、争いで解決することにした。

 奪い合う事によって、満たそうとした。


 前者は豊富な人材を奴隷として使うために。

 後者は科学技術の発達でエスカレートした自然の猛威を抑え込むために、争いを始めた。


 人々の対立はより深まり、静まる事がなかった。


 歩み寄らぬ者達への排除は、過激さを増していく。


 最初に相手の手をはねのけたのは誰か。


 それは、どちらも「相手」だ。


 彼等は、「正義の意見」を譲らない。


 やがて、宇宙に向かった者達は地上の者達を攻撃しはじめた。


 人を虐げ、奴隷に堕とす事では飽き足らず、生命の全てを、将来の全てを奪わねば気が済まなくなった。


 地上に残った者達も宇宙に向かった者達を攻撃し始めた。


 宇宙環境を悪くするためのごみをたくさん打ち上げ住みにくくし、事故を起こす。そして、空にいる者達をゴミ同然だと嗤い、尊厳を貶めた。


 道が別れたのなら、合流すればよい。

 そうすれば、互いに同じ道を歩めただろう。


 しかし彼等は、そんな可能性を思いもしなかった。


 引き返さない者達は、どちらかを滅ぼすまで諍いをやめない。

 

 争いの火を消せなくなった頃には、結末はすでに知れていると、嘆く者達がいた。


 しかし、ただ少数の者達だけでは、どうしようもない状況になっていたため、彼等は決断を下した。


 争い合う者達を冷めた目で見つめ、他の安住の地へと向かう事にしたのだ。


 争い合う者達とは、ただの一人とも、口を聞かずに。


 作り上げた避難船へ乗り込む彼らは、残る者達への言葉を作らない。


 そして、飛び立つ一つの船。


 ある時、その船の中に積んだ食料のコンテナが少ないと分かった。


 船内では、積載数を誤ったクルーが責めら続ける。


 食料が足りぬと、また小さな争いが起こった。



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