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第6話~突撃せよ、謎の館~

どうも、VOSEです。

新しい話、公開します。

今回は少しだけ発展…しているかな?

というわけで、本編どうぞ。

…ヨーキリスの館から避難し、少し離れたところでキャンプを張ることにした俺らは、ひとまず明日の帰還に向けて動いていた…と思っていたら、どうやらその様子はない。

異様に兵士の士気が高いからだ。

俺とミミは帰ろうと準備をしていたが、異様に高い兵士の士気に違和感を感じたので、とりあえずアルフとマカノン隊長に尋ねることにした。

俺は二人がいるであろうテントに向かうと…


「…今回の件で、あそこの館は確実に黒であることが分かりましたね」

「そうだな…明日はあいつを取り押さえて、誘拐された子たちを助けねば…」


アルフとマカノン隊長で何か物騒な話をしていることが分かった。


「…何の話をしているんだ?」


俺とミミは二人の会話を妨げるように中に入った。


「ダイス!?」

「なんだ、君らか」


アルフは驚きの表情を見せ、マカノン隊長は軍人らしく冷静に対応した。


「いやね…兵士たちがなんか高ぶっているというか…これから何かと戦おうとする様子だったからね。何事かと尋ねたわけなんだが…」

「…アルフ、今回のことは伝えていないのか?」

「いや、まさかあんなことになるとは思わなかったし…それに、腕は確かでしょ?お姉さん」

「それはそうだが…」


マカノン隊長は、はぁと息を漏らした。

俺は突っ込みたいことがいろいろあったが、とりあえず1つ1つ確認をすることにした。


「あのさ…いろいろ確認したいんだけどさ…アルフとマカノン隊長は姉弟?」

「あぁ。といっても、アルフは親から勘当された身で、私はそれに反対して親元を離れたという感じだがな…」

「なるほど…」


二人のあらましが分かったところで、次に今回の事件について聞くことにした。

これに関してはミミから口を開いた。


「ねぇねぇ、あの家、なんか訳ありなの?」

「まぁ、曰く付きというか…我々はこの国の警察の役割を担っていてな…といってもジリッカ限定なんだけどな…それで最近、ジリッカでは若い女性の失踪が相次いでいて、それの捜査を行っていたのだ」

「それで、ヨーキリスっていうやつが怪しいってことなの?」

「あいつが街に来た時に女性たちが失踪している、もしくは彼の家に行ってから失踪していてな…私たちはあいつに狙いを絞っていたんだが…館の場所が分からなくてな…それで今回、アルフに協力をしたというわけだ」


マカノン隊長がアルフのほうを見て言うと、アルフははにかんでいた。


「今回用意したダイヤというのは何か仕掛けでも?」


俺はマカノン隊長に今回用意したダイヤについて質問した。


「あぁ。私たちエルフはもともと魔力が高い種族で、魔法を使っていろんな物質に干渉をしてそれっぽく見せたり、魔法回路を組んで遠隔操作などを施すこともできる。今回用意したダイヤは、実はダイヤではなく水晶なんだ」

「そうなんですか!?」

「あぁ。あんなに大きなダイヤなんぞ、存在していたら今頃王族が反応しているころだろうしな…」

「ま、まぁそうですよね…」


素人目の俺は、だまされたことを知ってもなお生返事をするしかなかった。


「さてと…話をヨーキリスの件に戻すと、今回我々マカノン隊は今回の女性失踪事件に関しては黒であることが分かった。あの水晶に施されている盗聴機能を使ったら、こんな声が聞こえたからな」


マカノン隊長は手のひらを上にして広げ、目を閉じるとその手から光が現れ、そこからヨーキリスの不気味な声が聞こえた。


『…ククク…あっちからわざわざ来てくれた上に、獣人族の女の子を引き連れやがって…これは、あの麗しき隊長とともに俺のコレクションにしてやろうかの…』


俺とミミは芯から震え上がる感覚を覚えた。

その音声が流れた後、光は消えた。

それと同時にマカノン隊長は目を開けた。


「…あいつはもともと私を狙っていたようだが、あなたが来たおかげであなたまで狙われるようになったのだけれど…」


マカノン隊長は威圧しながらミミに向かって言った。

ミミはそれに怖気づく…ことはなく、身震いをした後、マカノン隊長にはきはきと…


「私は大丈夫です。私にはダイスがいるから」


と答えた。

それにマカノン隊長は少し微笑んだ後、コホンと咳払いをした。


「それなら、今回のヨーキリスの身柄の確保をお願いできるかしら。あまりにも暴れるようだったら気絶させてもらって構わないわ。あいつには拉致した女の子たちを返してもらわないといけないし」


マカノン隊長はしっかりとした言葉で俺らに協力を仰いだ。


「…いいのか?俺らまでついてきて」

「えぇ。あなたのその気配を感じる力や瞬発力は見るものがあるし」

「そうか…わかった。協力しよう」


俺はそういって、明日の襲撃に向けて今夜は早く寝ることにした。

ミミはどこか落ち着かない様子ではあったが、テントに戻って俺が寝た後ですぐに寝たのだった…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


…次の日…

アルフたち商人たちは先に町に戻り、俺とミミ、そしてマカノン隊長一行は再びヨーキリスの館に来ていた。


「さてと…先ほどうちの者から逮捕に関する書類を持ってきてくれたことだし…これで突撃できるな」


マカノン隊長は、町で逮捕の手続きをとってきてくれた紙を持って、館に突入しようとした。

そんな中、俺はというと…


「…大輔、ここにいていいの?」


俺は館の裏に回っていた。

ちょうど死角になっている場所で、ヨーキリスのメイドから目を付けられないようにしている。


「あぁ…ヨーキリスはマカノン隊長とお前を自分のものにしようとしているからな…素直につかまるわけにはいかないだろうし、メイドがヨーキリスを守ろうと動いたときに俺らがここから動いたほうがいいと思ってな」

「そうなんだ…」

「…というか、お前は大丈夫か?」


俺は、ヨーキリスに目をつけられているミミのことが心配で思わず言ったが…


「私なら大丈夫。大輔と一緒だもん」


ミミは笑顔で返事した。


「まったく…突撃のタイミングはマカノン隊長の…」


と、俺は突撃のタイミングについて話そうとしたその時だ…

ピーーーーーー…!!

どことなく甲高い音の笛が鳴るのが聞こえた。


「…ミミ、行くぞ」

「うん!」


俺はミミに突撃の合図を出すと、窓ガラスを割って中に入った。

中にはもちろん、ヨーキリスのメイドが行く手を阻んでいた。


「ミミ!」

「オーケー!」


ミミが魔法具を展開させて巨大爪(ビックサイス)を展開させ、メイドたちを蹴散らしていった。

といっても、今回はメイドに何かあると感じていた俺は、事前にミミに峰打ちするように言っていた。

そんなミミを援護するように、俺はショットガンのM3を取り出して打ち込んでいった。

俺とミミは、マカノン隊長一行がいるであろう玄関へ行くと…


「お、来たか!」


マカノン隊長とメイドたちが交戦していた。

いや、正確に言うなら、そのメイドの一部には国軍の鎧を着ていた。


「マカノン隊長!この騎士たちは一体!?」

「私の隊の者だ!ヨーキリスに操られている!」

「魔法具か!?」

「おそらくな!」

「マスクは壊せるのか!?」

「いや、わからん!その前に押し切られてしまう!」


マカノン隊長もだましだましでやっており、ヨーキリスを捕まえるどころか敵が増えてしまう可能性が出てきたのだ。


「くそっ…マカノン隊長!マスクはどうやってつけられたんだ!?」

「私たちの者はメイドにやられたが、その時は外見上は普通のマスクだ!」

「なるほど…それじゃ、一か八かだが…」


俺はそういうと、グロックを取り出して発砲した。

すると、マスクは粉々に砕け散ったのだ。

弾の威力は強くしていないので、弾は頭を貫通せずに跳ね返った。

マスクを取られた後のメイドは、まるで糸が切れたかのように崩れ落ちた。


「…実験成功だな」


この様子を見たマカノン隊長はすぐに隊の人たちにこう伝えた。


「皆の者!すぐにメイドのマスクを破壊しろ!そうすれば被害者を救出できる!」


その後はメイドたちはマスクを破壊され、メイドにされていた女の子たちは救出された。

俺とミミ、マカノン隊長とその側近たちで、ヨーキリスがいると思われる部屋へと踏み込んだ。

そこで待ち受けていたのは…


「…ククク…やってくれたなぁ…?俺の…素晴らしきコレクションをさぁ?」


得体のしれない何かにとりつかれているヨーキリスがいた。

まるでタコみたいなやつがヨーキリスと一体化しており、ヨーキリスの目はハイライトが消えて、本当に狂っていた。


「何がコレクションだ!お前が誘拐した子だろう!」


マカノン隊長はヨーキリスに臆することなく、堂々としゃべったが…


「誘拐…?何のことかなぁ…?彼女たちはこの俺が見つけた、かわいいコレクションなんだよなぁ?コレクションにするんだったら…何が何でも手にしたいだろぉ?」


ヨーキリスは全く悪びれるどころか、依然高圧的な態度を取っていた。


「…これ以上話しても無駄だな…それじゃ、おとなしくつかまってもらおうか!」

「ククク…できるもんならやってみろ!」


マカノン隊長の一言で、ヨーキリスがその言葉に反応するかのように右手に侵食されている触手をグワッと伸ばしてきた。

それに対してマカノン隊長は防御の構えを取って構えた。

そして、触手がマカノン隊長に触れようとしたその時だった。

パン!

部屋中に銃声が聞こえた。

その直後…


「ぐわぁぁぁ…!」


ヨーキリスが右肩を抑えてうずくまった。

触手がマカノン隊長に届く前に、俺がグロックでヨーキリスの肩を撃ったのだ。

その衝撃で触手はへたれ、その触手の中からマスクが出てきた。

しかもそのマスクの裏側には奇妙な触手が付いている。


「…これは一体…」


マカノン隊長は驚きを隠せなかった。


「あくまでこれは俺の推測だが…そいつをつけたら、触手が頭ぶち抜いて洗脳させるような代物かな?今までの子達はそんなのなかったから生きていたけど、これをつけられたら廃人と化してしまって、なおかつ傀儡として働かされるんだろうな」

「そうだよぉ!」


そんな俺の推測を、ヨーキリスは息を上がらせながら肯定した。


「俺はぁ…あんたを見た瞬間から一目惚れなんだよぉ…俺のものにしたかったんだよぉ!だから…俺は『魔法の種』を買って…あんたが来るように仕向けたんだよぉ!」


ヨーキリスは今回の事件の動機を、なんともあっさりと喋った。

それは、マカノン隊長はもちろんのこと、俺やミミ、そして、マカノン隊長の側近達ですら呆れかえった。


「…くだらない…非常にくだらない!あんたは!そんなことのために、あの子達を誘拐したのか!」

「言っただろう?あの子達はコレクションさ…俺と…あんたの為のなぁ?」

「くっ…気持ち悪い…お前となんか一緒にいるもんか!」


マカノン隊長が吐き捨てるように、ヨーキリスを遠ざけるような言葉を発した。

すると…


「…そう?そうなんだぁ…へぇ…なら殺すしかないなぁ?」


ヨーキリスはまるで人が変わったかのように淡々と言葉を発した。

そして次の瞬間、ヨーキリスが常人ではない脚力でマカノン隊長に襲い掛かってきた。

異様な空気をいち早く察した俺はすぐに走ってマカノン隊長に飛びつき、ヨーキリスの攻撃をよけた。

ヨーキリスはそのまま入り口を突き破って玄関ホールへ飛び出していった。


「いってぇ…大丈夫ですか、マカノン隊長」

「…あ、あぁ…」


ここで、マカノン隊長は俺が上に乗っていることに気が付き、すぐに顔を赤くした。

俺はそんなことに気づかずに、すぐに立ち上がりM3を構えた。


「ダイス!大丈夫!?」

「俺は大丈夫!隊の人はマカノン隊長をお願いする!」


俺は2階にある部屋から玄関ホールを望む廊下に出てヨーキリスを見た。

ヨーキリスは禍々しい雰囲気を醸し出していた。

そのヨーキリスの周りには被害者の救出を終えた隊の人たちがいた。


「…ククク…君たちもイイナァ…」


ヨーキリスが小さくそういったのが聞こえたので、俺は今いる場所から飛び降りてすぐにヨーキリスに向かって発砲した。

ヨーキリスは小さく体をビクンと振るわせると、体を仰向けにして倒れた。

そして、ヨーキリスの息がなくなったことを確認すると、ヨーキリスに寄生していた触手は塵になって消えてしまった。

俺はそれを確認すると、銃口をようやく地面に向けた。


「…あいつは…」


マカノン隊長が側近に肩を貸してもらいながら玄関ホールにやってきた。


「…すまない、殺しちまった」


俺が小さくつぶやくように言って、ヨーキリスの遺体を見た。


「…いや、仕方ない。今回は正当防衛として片付ける。今回はすまなかったな」

「いえ、それより犠牲者がいなくてよかったです。マカノン隊長も無事で何よりですし」

「あ、あぁ…そうだな…」


マカノン隊長は再び顔を赤くさせて、目をそらした。

その後、町へ帰還するとき、マカノン隊長はずっと顔をうつむかせたままだったという…

いかがでしたでしょうか?

スローペースで何とか書いていますので、今後ともよろしくお願いします。

もしよろしければ、感想や評価などよろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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