第4話〜俺の魔法具は〜
どうも、VOSEです。
さて、今回は主人公が武器を試す場面でございます。
あまり目立った動きはありませんが、よろしくお願いします。
では、本編どうぞ。
…倉庫の掃除は半日かかり、綺麗に片付いた時にはすでに日が落ちていた。
中の荒れ模様からかなりすっきりした倉庫の中を見たマリアは、思わず目を輝かせており、今日はそのお礼として大量のお金と、夜ご飯の大盤振る舞いをしてくれた。
この国でのお金の単位は『ルーン』で、前の世界での『円』と対して変わらなかった。補助単位として『ルン』があるらしいが、今はそれほど使われなくなったようだ。
あと、今いるこの国の名前も、掃除をしていてわかった。
『アトラス連合国』という、いくつもある国のうち比較的古い、いくつもの自治体からなる連合国だそうだ。
ジリッカも元々は1つの国だったらしいが、先の戦争で敗れて連合国にされた過去があるらしい。
そんなことを、たまたま見つけた文書から読んでいたから、半日も掃除がかかってしまったんだけどね…
そして、今日の夜ご飯はマリア特製のローストビーフだった。
ローストビーフはそんなに多く作らないため、孤児院の子供達やミミにとっても特別なメニューらしい。
大抵マリアがかなりのご機嫌だったとか、その日が特別なイベントでもない限り、滅多に作らないそのローストビーフを何でもない日に作るってなったから、子供達は大騒ぎ。
ローストビーフを作ってくれることになったきっかけを俺が作ってしまったことによって、俺はいつのまにか子供達やミミから大いに喜ばれていた。
「大輔、ありがとうだにゃ~!」
「そんなに喜ばなくても…」
「喜ぶにゃ!今日はいい日だにゃ~」
ミミはご機嫌な状態で食堂へと向かっていった。
俺はそんなミミの背中を見送った後、ポケットからハンドガンとペンダントを取り出した。
実は、マリアにお願いして、ハンドガンやナイフを除く武器はミミの魔法具と同じようにペンダント化してほしいとお願いしたのだ。
マリアは快く聴いてくれ、俺が前の世界で使っていた機銃系はすべてペンダントにしてくれた。
形は銃の種類に応じて使い分けられるように、種類ごとの形になっている。
「…さてと、明日はとりあえずこいつらの性能の確認かな…」
俺はそう呟いた後、ポケットに再びハンドガンとペンダントを入れて食堂へ入った…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…翌朝、俺は重い体を起こして顔を洗った。
昨日の夜ご飯の際、孤児院の子やミミ達からローストビーフの差し入れをくれたのだが、人数が人数なので予想外のボリュームになってしまい、お腹がかなり満杯な状態で寝てしまったのだ。
顔を洗った後トイレに行ってなんとか済ませ、すぐにマリアの手伝いに行き、朝食も食べてとりあえず落ち着いた頃にはすでに日が昇っていた。
ミミはこの日も孤児院の子達と遊んでいるため、俺はある人の元へと向かった。
「アルフ!」
「あ!ダイス!」
町の外れにある少し大きめな3階建ての一軒家。これがアルフの家だ。
マリアや色んな人のツテでアルフの家にたどり着いたのだ。
なお、アルフの家の1階は商店だ。
「どうしたんだ?というか、よくわかったね、ここ」
「色んな人に聞いてね。今日は空いてるか?」
「あぁ。商店は店員を雇ってるから、その人達に任せれば大丈夫だし」
「良かった。それじゃお願いなんだけど、少し開けた平原みたいなところはないか?ついでに板もあれば…」
「それなら…西側のクサモリ平原だな。あそこは比較的平和な場所だから。んで、板は使わないやつならあるけど、それでいい?」
「構わない」
俺はアルフにお願いを伝えると、アルフは手際良く物の準備と馬車の手配をした。
「それじゃ、隣に乗って。ここからは少し遠いけど、昼時には着くから」
「わかった」
アルフはそう言うと、馬を走らせた。
その道中、俺はアルフに色々と質問した。
「…そういえば、アルフは耳が長いが…もしかしてエルフか?」
「え、よくわかったね…なんで?」
「前の世界ではそんな姿のやつがそういう名前で呼ばれてたから。まぁ、エルフは現実にはいない世界なんだけどね」
「そうなんだ。うん、俺はエルフだよ」
「しかし、エルフが貿易商…よくあるのか?この世界では」
「いや、俺はまぁ欠陥品だから」
「え?」
アルフのその言葉に、俺は思わず耳を疑った。
「…まぁ、気にしないでいいよ。エルフで貿易商なんてのはこの世界では珍しいからね」
「まさかだとは思うが…この世界でもエルフは魔法使いが多いのか?」
「…いや、半々だね」
俺の言葉にアルフは言葉を濁らせた。
「しかし、よくそんなこと言えるね…出会ってそんな経ってないのに」
「前の世界での知識さ」
俺はそう言って、前をじっと見つめた。
しばらく走らせていくと、広大な平原が見えてきた。
周りに木が無く、遠くの山々に囲まれている綺麗な場所だ。
「着いたよ。ここがクサモリ平原だ」
「綺麗だな…前の世界だとこういうところあんまりないからな…」
「そうかい?こういう平原はよくあるよ?」
「それだけ平和ってことだ。さてと…アルフ、ちょっと手伝ってくれ」
「え…いいけど…」
俺はアルフに協力を仰いだ。
持ってきた板を馬車からある程度離れた距離のところに置くからだ。
俺とアルフで10メートルほどの距離に板を置く。
「さてと…今回はこいつを試し撃ちしないとな…」
俺はそう言って、ポケットからハンドガンを取り出した。
ハンドガンを見たアルフはすごく不思議な表情を見せた。
「…それはなんだ?ダイス」
「んまぁ…ハンドガンだ。正式には『グロック18C』って奴だが…まぁ、分からんでしょ」
「あ、あぁ…ハンドガンってのも初めて聞いた…」
「銃って言葉も聞いてない?」
「もちろんだ。そんな物初めて見たし…」
「んじゃ、どういうものかは見てみないと…というか、これでどのくらいの威力なのか調べてみないとね…」
俺はそう言うと、持ってるハンドガンの安全装置を外し、先ほど設置した板の方へ銃口を向けた。
そして、ゆっくりとトリガーを引いた。
パン!
放たれた銃弾は見事に板に食い込んだ。
重さは俺らがサバゲーで使っていたものと対して変わらないが、弾は本物、威力も申し分なかった。
ただ、俺はこれに少し慣れていた。
実はちょっとだけアメリカで本物の銃を撃ったことがあるから、そこまで驚きはしていなかった。
そして何より、この状況に1番驚いていたのはアルフだ。
「…え?板に何かめり込んでるけど…え?これ…鉄の塊?」
「銃弾だ。大抵は鉄で出来ていて…前の世界での、俺がいた国ではこういうのは使わないで、軽い弾で当たっても死なない奴だったが…」
「え?え?てことは…この武器で…人が簡単に殺せることが可能だっていうこと?」
「んまぁ、そうだ。ただ気になるのは…横の切り替えスイッチが…」
俺がそう言ったのは、銃に付いている連続射撃のフルオートとある程度しか発射されないセミオートの切り替えスイッチだけでなく、威力を示しているスイッチがあったのだ。
今撃ったのは威力が最大のものだ。
「とりあえず、これを切り替えてどんなものか見てからだな…」
「お、おう…」
俺は次に、威力を最小にして銃を撃ってみた。
すると出てきたのはBB弾で、撃った弾は弾いてどこかへ行ってしまった。
「…なるほどね…おそらくこのスイッチを変えることでマガジンの中身も変えられるってことね…」
続いて、俺はマガジンの中を全部使い切るように連続で射撃を行った。
俺が使ってる『グロック18C』はマガジンは最大30発も撃てる。
おそらく最大に入っているだろうという予想で残り28発分を撃ってみた。
すると、29発目は放たれなかった。
つまり弾切れ。
「…んで、予備のマガジンはこれだから…」
俺はマガジンを予備のものと入れ替えて、再び、今度は30発分撃ち、先ほどのマガジンをチラッと見た。
すると中にはぎっしりと弾が入っていた。
つまり、一旦切れたマガジンをポケットとかに入れて保管すると自動的に補填されていくというのだ。
「これが魔法具ってことか…便利といえば便利だな」
俺はハンドガンをベルトにつけているホルスターにしまい、次にサブマシンガンの魔法具を呼び出した。
ペンダントに、出て欲しいという念を送るだけで出てきたので、これは非常に便利だ。
「…もしかして、これもマリアが?」
「さっきのハンドガンもマリアが作ってくれたやつだ」
サブマシンガンは『H&K MP5-J』という銃で、これも42発分試し撃ちした。
俺がいつも愛用している武器は他にも、ショットガンだと『M3 スーパー90』、アサルトライフルだと『AK47』、スナイパーライフルは『L96 AWS』といった感じだ。
他にも色々使ったやつはあるが、大抵はこれくらいで足りると思っている。
「しかし、すごいなこれ…これがあれば魔法なんて無意味じゃないか?」
アルフは少し興奮した様子で俺の銃をまじまじと見ていた。
「それはどうかな…でも、これで人を殺すことも出来る危ないものだ。元々は軍事利用のものだけど、この世界にはもたらされて欲しくないな…」
俺はボソリと呟いた。
そして、試し撃ちを終えた俺は、再びアルフの馬車に乗って帰路に就いた。
「…なぁ、ダイス、お願いがあるんだが…」
「なんだ?」
アルフがおもむろに話しかけてきたので、俺はすぐに返事した。
「その…明日、実はすごい高価な商品を運ぶことになってだな…その…それを運ぶときの…用心棒として来てくれないか?」
「だろうと思った…」
アルフの言いたいことが予想できた俺は、少し呆れたように言った。
「なぁ、頼むよ!明日の商品は世界中が欲しがる、700グラムのダイヤモンドなんだ!」
「…700グラムのダイヤモンド…?え?それまじで言ってる?」
この世界の重さの単位もグラムでまかり通っていたから特に違和感なかったが、驚いたのはダイヤモンドのグラム数だ。
前の世界で最大のダイヤモンド原石は600グラムほど…それよりも大きいとなると…そりゃ、誰もが欲しがるわな…
「今回は3000億ルーンのデカい取引なんだ…頼む、お願いだ!」
「てか、よくそんな大きなダイヤモンド取り扱ったな!?」
「たまたま俺の知り合いが経営している露天掘りの現場で発掘されたんだ…」
「なるほどな…わかった。流石に今回は乗らないとお前が死ぬだろうから…」
「良かった…ありがとう、ダイス」
とりあえず、この事はミミに伝えておかないとな…俺はふと、ため息を吐きながら馬車に揺られたのだった…
いかがでしたでしょうか?
今回登場した武器は、あくまで僕が調べてこれがいいなと決めた武器でございますので、詳しい事はわからないということをご承知ください。
サバゲー未経験の僕が、想像だけで書いているので、その面でおかしなところがあってもあまり気にしないよう、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう。