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第41話〜大木の正体〜

今まで書いているストックは全て深夜に書いているので、おそらく支離滅裂な箇所生まれるかと思いますが、ご了承ください。

…俺らは死の大木を先回りして、ダーヌに教えてもらった場所に着いた。

大きな渓谷となっているが、斜面に突出している部分が少なく、俺らがいる場所でしか見下ろせる場所がほとんどない。

さすが、元『アトラス解放軍』で山賊をしていただけある…


「…よく見ると、あの黒い木の上は平らになってるな…」


俺はスナイパーライフル用のスコープを使って、死の大木を遠くから観察していた。

大木の上は、そこだけが切られたかのように年輪が見えており、その年輪の中央には赤く光る何かが高々と掲げるように立っていた。

まるで王様が大木に乗って歩いているようだった。


「…なぁ、ダイス…なんだ?その道具は?」


スコープを見たことがないガラットとレティス、リシュリューは不思議な目で見ている…


「これは遠くのものまで見えるものだ。普通は俺の武器につける奴だが、いかんせんあの大木が遠くにいるからこれで見ていたんだ」

「望遠鏡か…それなら納得」


ガラットはスコープを望遠鏡であると解釈をした。


「あ、これ遠くは見えないけど拡大率は変えられないからちょっと違うかな…いや、まぁ一緒か…それで、リシュリューは何かわかったか?」


俺はそそくさとスコープを片付けたあと、リシュリューに尋ねた。


「はい。パージの魂は木の上にあります。ここからでも見えるとは思いますが、赤く光っているのが、パージの魂です」

「やはりそうか…」


俺はうんと頷いたあと、みんなの顔を見て、この後の計画を話した。


「ここから、あの大木の開けたあそこまで飛んで乗ることにする。そして、パージの魂を壊して大木の崩壊させる。その方法で行きたいんだが、何か意見はあるか?」


俺はそう言ってみんなの方を見ると、レティスが大きく手を挙げていた。


「レティス、どうした?」

「せんせー!あそこに入るときに何も準備しないで行くんですかー!?」

「もちろん何も対策しないで行くのは無謀だし、30分とはいえ時間は確実に超える可能性が高いから、行くときにはこれを付けていく」


そう言って俺が取り出したのは、布製のマスクとゴーグルだ。

マスクは先程の準備の時、俺がメノールに頼んで作ってもらい、ゴーグルはたまたま持っていた冒険者のみなさんから借りてきた。

ゴーグルは坑道などで粉塵が目に入ってこないようにするために使っており、今回は不測の事態が起きることを予想して持ってきている人が多かったのだ。


「鼻を当てるところに針金をつけてるから、鼻を覆うようにして付けて突入する。そうすれば多少は長くいることができるって感じだ」

「まぁ、妥当だな。それで、どうやってあの赤い魂を取り除くんだ?」

「それも考えはあるんだが…色々と試さないとわからない部分があるから、まずは切り込んでみないと」

「わかった。それじゃ、スタンバイしよう」


ガラット、レティス、ミミ、リシュリュー、そして俺は用意したマスクとゴーグルをつけて、大木が近づくまで待った。

そして、大木が俺らの真下に来て…


「今だ!」


俺らは崖から飛び降りた。

大木は俺らが近づいている事を察知して、黒い枝を伸ばしてきた。


「ふっ!」


ここは先陣を切っていた俺とガラットが、互いの武器で切っていった。

ガラットの武器は豪華な装飾がついた大剣『タウロス』で、俺よりガタイがいいガラットとほぼ同じ大きさである。

名前の由来は牛を一振りで殺せるからで、作ってもらったのはアトラス王国一の武器職人らしいが、俺は全くわからない…

そんなガラットのタウロスと、俺の阿吽で枝を真っ二つに割っていき、気がついたら平らな地面についた。

足元は年輪でその周りから木が生えているようだったが、この木は先程なかったもので、おそらく防衛反応で出来た木々だろう。

そんな木や枝、さらには葉っぱや花までが全て漆黒で、俺らの周りにまとわりつく空気は紫色だった。

おそらくこれが花粉である。


「…この感触は…乾いている…しかもこの濃度なら…」


俺はこの時点でこの大木を倒せることができると確信した。

そのための準備として、俺はもう一つ確認したいことがあった。

それは、あの魂の根幹がどこにあるかということだ。

先程上から見たときに見えた、あの赤い何か…おそらくクリスタルみたいなものだろうが、それはあくまで外の様子を見るための『目』であると踏んでいる。

わざわざ自分の心臓をあんな見やすい所に置くわけがないし…

とすれば、1番に考えられるのは、この大木の中にあるということなのだが…

と、考えていたその時だ。


「…なんだ、邪魔者が来たな」


俺らの耳元に囁くかのように、どこからか声が聞こえてきたのだ。


「っ!?この声は…!」


声を聞いたリシュリューは、驚きの声を上げた。


「リシュリュー…どうした?」

「…父です…私の父です!」

「リシュリューの父…ってことは、あのバーグマン国王!?」


リシュリューの言葉に、ガラットが驚きの声を上げた。

その後ろにいたレティスも驚いている。


「ガラット、知ってるのか?」

「知ってるも何も…バーグマン国王はプランタン国の王で、リシュリュー王女の父だ」

「マジかよ…」


俺は事情を知った瞬間、頭を抱えてしまった。

敵はパージだけではない…ということなのか…


「お父様!私です!リシュリューです!」


リシュリューは先程聞こえた声に応えるように、大声で叫んだ。

その声が届くのに時間は必要なかった。


「その声は…リシュリューか…」


しかし、聞こえたバーグマン国王の声は、疲労と絶望に溢れていた。


「お父様!よかったです!」

「よかった…か…」


喜んでいるリシュリューとは裏腹に、国王は先程と変わらない声…いや、その奥には憤りを感じさせるような雰囲気を醸し出していた。


「…リシュリューよ…」

「はい!お父様!」


バーグマン国王は、重い体を引きずるかのような声で、リシュリューにとんでもないことを告げた。


「…わしを…殺してくれ…」


この一言に、リシュリューは雷を打たれたかのような衝撃を受けたらしく、かなり狼狽していた。


「お、お父様!どうしてですか!?」

「…わしは…国を売った大罪人なのだよ…」


バーグマン国王は深い悲しみをにじませていた。


「…バーグマン国王様、聞こえますでしょうか?」

「…そなたは?」

「ダイスと申します。リシュリュー王女とは、先程知り合ったばかりですが、友人として振る舞わせてもらってます」

「ダイス…そなたは何を聞きたい」

「あなたが国を売ったというその真意、是非ともお聞かせもらいたいと思っています。我々は、この木を一刻も早く倒したいと考えているのです。おそらく、あなたもこの木の一部。そして、この木をパージと共に操っている1人であると考えています。あなたがなぜこのような事をしたのか、ぜひお聞かせ願いたいと思っております」


俺はバーグマン国王に、なぜこのような大木を生ませてしまったのか聞こうと尋ねたが…


「…すまぬが、お主らには答えん。全ては我々の憎しみから成るものだ。その憎しみを生み出したのは、お主ら人間どもなのだ。そんな奴らに答える筋合いはない」


バーグマン国王はキッパリと断った。


「そうですか…でしたら、俺らは自力でこの木を倒します」


俺もキッパリと言うと、バーグマン国王の声はいつのまにか消えていた。


「…リシュリュー」

「はい、わかってます…なぜ、父はあんなほどまでに人間を恨むのか…」


リシュリューは悲しい表情で、プランタン国に起きた悲劇を教えてくれたのだった…


いかがでしたでしょうか?

もしよろしければ評価や感想など、よろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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