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第36話〜ミッション前の幕間〜

定期投稿サボってすみません

…2週間後…

俺ら7人はジリッカの冒険者ギルドの前に来ていた。

冒険者ギルドは軍のすぐ脇に建っており、結構な人の出入りをしていた。

この冒険者ギルドは国が認めた冒険者同士が集まってできた組織で、アトラス王国のみならず、魔界にもネットワークがあるほど。

冒険者は国中から依頼が集まり、それに合わせて依頼をこなしていくシステムになっている。なんか、ランクみたいなもので内容も変わっていくらしいが、それは今回置いておいて…

今回の奴隷商人殲滅作戦は、国が冒険者ギルド全体に依頼を要請されたので、ジリッカにいる大勢の冒険者がギルド前に集結していた。

俺らの場合は軍を通じての依頼であったため、端的に言ってしまえば…場違いだ…


「…ダイス…大丈夫かにゃ…」

「まぁ…変な目で見られるのは予想できてたからな…」


そんな俺の言葉通り、来ていた冒険者が俺らを見て…いや、主に俺を見て奇異の目をしていた。


「…やっぱ俺だな…」


と、俺は肩をすくめながら待っていると…


「お待たせしました、ダイスさん!」


俺らのところに、俺よりやや身長の低い女の子が来た。

アカギやウンゼンが小学生くらいの身長なので、俺らのところに来た子は中学生くらいであると思われる…


「ええと…君は?」

「私はジリッカ冒険者ギルドで受け付けをしておりますフランと申します。よろしくお願いしますね」


フランちゃんはそういうと、にっこりとあいさつしてくれた。


「よろしく頼む。それで、フランちゃんが来たということは…あれかな?そろそろ出発なのかな?」


俺はいよいよかと思っていたが、フランちゃんはぶんぶんと首を横に振った。


「いえいえ!私はギルドマスターでもあるマカノンさんに頼まれてやってきました!マカノンさんから、一回ぐらい挨拶しておいた方がいいと言われましたので!」

「…ん?マカノンがギルドマスター?」

「ジリッカでは、軍の隊長さんがギルドマスターの役割を持ってるんです。ですので、今はマカノンさんがギルドマスターなのです!

「なるほど…」


ある程度ギルドのことがわかったような気がした…


「しかし、まだ未成年なのに受付嬢ってすごいな」


と、ダーヌはフランちゃんの容姿からそういう風に言ったのだが…フランちゃんはすぐにしゃがみ込んで落ち込んでしまった。


「…やっぱりそうですよね…私、20には見えませんよね…未成年に見えますよね…」


そんな哀愁漂うフランちゃんの声が…って、え?


「「「フランちゃん20歳なの!?」」」


俺、ダーヌ、ミミで3人同時に叫んでしまった。


「私…やっぱり子供ですよね…うん…」


と、フランちゃんはかなり落ち込んでいる様子…

相当コンプレックスを感じてたようだ…

この落ち込み様に、俺らはどうすべきなのかあたふたしていると…


「フランちゃんはうちのマスコットなんだもんな!」


冒険者の1人が遠くから叫んだ。


「マスコットじゃないですよ!ダイスさん達の前で言わないでください!」

「でも、時々おっちょこちょいするじゃねぇか!」

「そ、それはたまたま足に引っかかっただけで!」

「あとは報酬間違えて出しそうになったりとかさ!」

「それは、たまたま同じような…って、皆さんからかわないでくださーい!」


冒険者達のからかいによって、いつの間にかフランちゃんも元気になっていった。


「すごいな…」

「まぁ、おっちょこちょいを無くせば、完璧な子なんだけどね」


俺が冒険者達の行動を感心していると、隣に金髪の男がやってきた。

装備もきっちりしているし、武器も一眼で一級品であるとわかる。

背は俺とほぼ同じくらいの男の人だ。


「ええっと…あなたは?」

「俺はガラット。ランクS級の冒険者だ」

「ランク…S級?」


俺は未だ理解していないランクの話をされたので、頭の中がちんぷんかんぷんだった。


「まぁ、冒険者のランクの上位にいると思ってくれ。それで君は?」

「俺はダイスだ。よろしく」

「ダイス?もしかして、カラノームの事件を解決した?」

「知ってるのか?」

「知ってるも何も、冒険者の中で噂になってるよ。なんか、特殊な武器を使っているとも聞いてるし」

「そ、そうなんだ…」


俺は知らないところで噂されていることに、少し戸惑いを感じていた。


「というか…なんで君がここに?これも噂でしか聞いたことないんだけど…君は冒険者じゃないだろ?」

「たしかに俺らは冒険者じゃないけど…傭兵の仕事で、マカノンに頼まれてね」

「ギルドマスターに!?それはすごいや…」


ガラットは俺をジロジロ見ながら感心していた。


「それで、後ろにいる子たちはダイスの連れってところかな?」

「そういうところだ」


俺はミミ達をガラットに紹介した。

その紹介の後に…


「…ガラット〜。何してるの?」


ガラットを呼ぶ女の子の声が聞こえた。

ふと、その声がした方向を見ると、茶髪のロングヘアの女の子がトコトコとやってきた。

頭に角が生えており、その体はガラットより小さいものの、かなりのナイスバディだ…


「あぁ。ちょっと立ち話をしてたんだ。あ、ダイス。この子は俺のパートナーで、ドラフのレティスだ」

「こんにちは!レティスです!よろしくね!」


レティスと呼ばれた女の子は、元気よく挨拶をした。

ちなみにドラフは、頭に角を生やした種族のことで、戦闘能力がかなり優れている種族である。


「ダイスです。よろしく」


俺はレティスに挨拶をすると…


「ねぇねぇ!この後一緒に依頼行くんでしょ?」

「行くけど、まだまだだよ。まだ号令がかけられてないからね」

「えぇー。もう待ちくたびれたよ〜」

「それじゃ、しばらくそばにいてあげるからさ。これなら退屈しないだろ?」

「うん!やっぱりガラット大好き!」


…なぜかアツアツの展開に…


「…ええっと…お二人はどういう関係で…?」

「おっと、ごめんな急に…俺とレティスは実は恋人同士でさ。2人でパーティ組みながらこうやって付き合ってるのさ」

「うちのガラット、かっこいいでしょ!」

「そんなこと言うならレティスだってかわいいよ」

「えへへ、かわいいって言われちゃった」


…なるほど…いわゆるバカップルか…

いや、まだそこの境地まで行ってないだろうけど、なかなかの熱々ぶりだ…


「とりあえずごめんね!後でレティスにはみんなのこと言うからさ!俺はレティスと少し一緒にいるから、じゃ!」

「うふふ〜、ガラットカッコいい〜」


ガラットとレティスは…いや、ガラットはレティスを引き連れてギルドの中に入っていった。


「…なんなんだ…あの2人は…」


なんか、俺の後ろから羨ましいオーラを出している人2名いるが…感化されたわけじゃないだろうな…

ちなみに、この2人は実力も折り紙付で、ジリッカを拠点としている冒険者の中ではダントツで1番のコンビとも言われている。

それを聞いたミミとブロッサムがなかなか興奮して悶絶していたが…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


…俺らは今、奴隷商人がいるという小屋へ向かっている。

ジリッカ軍が手配してくれた馬車に揺られながら、ジリッカから数キロ離れた小屋へ向かうのだ。

馬車の音でバレないように、途中で降りてそこからは歩いていくのだが、それまでは同乗した冒険者の皆さんと雑談していた。


「…へぇ、ダーヌは元レジスタンスで、メノールちゃんはメイド、アカギちゃんとウンゼンちゃんは村の守り神、ブロッサムちゃんは元軍人…ダイスって、結構濃いメンバーと一緒にやってるんだな」

「そうか?みんな1人の人間として接してるだけだからなんとも思わないけどな…」


俺らはのんびりと雑談をしていると、ある冒険者が、今回摘発する奴隷商人の話を始めた。


「それはそうと…今回の商人って、結構やばい奴なんだろ?」

「確か、バージっつう奴だよな?噂に聞いた話だと、国一つ滅ぼしたなんて聞いてるし…」

「ん?国滅ぼした?」


俺はその話に食いつくように聞いた。


「あ、あぁ。バージって奴は奴隷商人の傍、さまざまな闇実験を行っていることで有名でな…実験のために国を丸ごと潰してまで人を攫って実験してるらしいぞ」

「それは本当なのか?」

「あくまで噂だ。国が潰れたというニュースはすぐに流れてきたが、それはあくまで魔物によるものだって…でも、不可解な点が多いのも事実だしな…」

「しかもその国ってのが、トライアド達の国だってんだから…今回もしかしたらって…」

「なるほどな…」


俺はその話を聞いて、なんだか憤りを隠せなかった。

目的は一体なんなのだろうか…なんのために国を滅ぼしたのだろうか…

それが今回の摘発でわかるかもしれない…

そんな俺の気持ちが、この後爆発してしまうことになるとはこの時はまだ誰も知る由がなかった…


いかがでしたでしょうか?

もしよろしければ評価や感想など、よろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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