第34話〜マカノンからの依頼〜
34話目開始前に少しだけお話を…
現在自分は色々と事情があって更新を遅らせてしまったわけですが、今回出すストーリーや今後展開する話は基本的に夜遅くに書いているため、支離滅裂な言動や筋が通っていない場合があります。
もしおかしいと感じた場合はスルーをさせていただくか、優しくお声かけくださるようよろしくお願いします。
では、本編お楽しみください。
…数日後…
俺の家のもとにマカノンがやってきた。
来た理由は主に仕事の依頼ではあるが…
「しかしすごいな…これが私達の拠点だったとは思えないな…」
マカノンは俺らの家の中をぐるりと見ていた。
そういえばこうやって会うこと自体久しぶりだし、改装したこの家に来ること自体初めてだからな…
「まぁ、家の内装はみんなに任せてるからな。俺はどうもそういうセンスは皆無だから…」
「それでもかわいい部屋だと思うぞ?このログハウスの壁にアンティーク調の家具がぴったりだ」
マカノンは部屋をぐるりと見て微笑んだ。
ついでにお昼の時間であったため、マカノンを交えた昼飯を取ることにした。
「…奴隷商の拠点の壊滅?」
「そうだ」
マカノンはパンを口に放り込みながら今回の依頼についてはなしてくれた。
「この前のカラノームの事件で逮捕したスタングの連中が吐いてね。それで奴隷商人のアジトがわかったから、国全体上げての一大捜査を敢行しようとなったんだ」
「それで…なんで俺らが?」
「ダイス達にもやってほしくてね。国全体とはいえ、その数はほぼ無限みたいなものだから、全国にある冒険者ギルドにも協力を依頼して摘発しようというわけ。それで、私の推薦でダイス達にも協力を依頼したいのだけど…」
その依頼の答えはもうすでに出ている。
俺はチラッとみんなを見たが…同じ表情をしている。
「わかった、引き受けよう」
「ありがとう、ダイス!」
マカノンは先程の隊長の威厳などを感じさせぬ、少女の笑顔でお礼を言った。
しかも、距離が近い…
「…むぅ…ダイスに近づくなんて〜」
「…これは…思わぬ強敵かしら…」
俺とマカノンの距離の小ささに、ミミとブロッサムがジト目でぶつぶつ言っていた気がするが…気にしないでおこう…
「資料は数日後に届ける。それまではゆっくり休んでくれ」
「わかった。ありがとな」
そんな普通の会話であるが、まだミミとブロッサムがジト目でマカノンの方を睨んでいた。
「…2人は何をしているんだ…?」
「さぁ…」
俺とマカノンは互いに見合って頭を傾げた。
この行為に、2人がついに…
「「キーッ!」」
と、どこからか出したナプキンを口に咥えて引っ張ったのはまた別の話…
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…それから数日後…
俺らは軍から送られてきた資料を見ていた。
今回の摘発する奴隷商人は、主にトライアド…『精木族』や『精花族』と呼ばれる種族の人たちを奴隷として売り捌いているという。
精木族は木を操る『精霊族』の一種で、頭に木の枝が少し生えていてなおかつ身体の一部が木の皮みたいになっている。
一方の精花族は花を操る、こちらも『精霊族』の一種で、特徴としては精木族同様に頭に花が生えている。こちらは身体の一部が変化していることはない為、より人間に近い種族である。
この2つの種族はほぼ似たような存在である為、仲が大変よく、村もおのずと隣同士になる程だ。
だから、どちらか片方奴隷として捕まえられたら、もう片方も同じように捕まえてしまうのが、今回のような卑劣な奴らの考えだろう…
「…なんで奴隷で捕まえるのかな…ほんと…」
俺は憤りを露わにしながらぶつくさと文句を垂れた。
「仕方ないにゃ…この世界では、人が欲しいわがままな奴らがわんさかいるんだにゃ…それが国で摘発されればまだしも、権力を持っている人達がいるから困るんだにゃ…」
「だから国も動いてくれと言う人たちが多いんだが…これでようやくという感じだ…」
ミミとダーヌがはぁとため息を吐きながら、資料の整理をしてくれていた。
「そういや、今回の件でアトラス解放軍の関与はないか?」
俺は資料を見返しながら、ダーヌに聞いてみた。
「いや、ない。というか、あり得ない」
なんともさっぱりとした回答だ。
「あり得ないって…」
「アトラス解放軍の大きな目的はアトラス王の退任だが、理由に、種族間の差別撤廃や奴隷廃止がある。今のアトラス王になってから、人間至上主義がまかり通って、俺らみたいな奴らは迫害されてるのが現状だ。それが嫌だから声を上げて行動してるのに、奴隷なんて雇ったら本末転倒だろ?」
「ま、まぁそうだな…」
少々意外だった。
ただ国に不満がある奴らが組んだのがアトラス解放軍だと思っていたが、そんな軸があるとは…
「…とはいえ、一時期解放軍の中で奴隷を俺らで買って解放し、仲間にするという案も出たが、ラメル様の鶴の一声でその計画はすぐに凍結したけどな…」
「そうなんだ…」
と、ここで…
「あの…アトラス解放軍とは…?」
「私達、そういう話一切聞いてないからわかんないだよね…」
アカギとウンゼンがちょこっと手を上げて質問した。
「あー…アトラス解放軍てのはね…」
俺はアカギとウンゼンに、アトラス解放軍というレジスタンスのことについて、そのレジスタンスにダーヌがいたことについて話した。
途中、軍人だったブロッサムの手助けもありながらの説明だったが…
「なるほど…ダーヌさんは国を転覆させるための組織にいたと…」
「でも今はその組織を辞めさせられて、ここにいるってことね」
2人はちゃんと理解してくれた。
「さてと…資料をみんな確認したかな?」
俺は今回の作戦について話し合うべく、話を戻した。
「今回の奴隷商人のアジトは山の中にある、大きい倉庫がある小屋。今回は俺らだけでなく、冒険者ギルドからも数十人ほど応援で入るそうだ。というのも、何人もの警備を雇っているらしく、その警備に雇った傭兵は全員元軍人。熟練の冒険者でも戦うのがやっとのレベルらしい」
「えー!そんなのどうやって戦うのにゃー!?」
俺の情報に、ミミがまるで駄々っ子のように喋った。
「だから、今回は後方支援として、銃を撃つ方に回る。俺の警護として、アカギとウンゼンに任せたいのだが、いいか?」
「大丈夫です」
「あんたのそばにいる自体嫌だけど…そんな奴らと戦いたくないから…仕方ないわ…」
アカギはすぐに賛同し、ウンゼンは嫌々ながら渋々賛同した。
「え、ダイス!?私は!?」
ミミは、俺のそばに居たいと言わんばかりの前のめりで話してきた、
「ミミとダーヌ、ブロッサムで前衛で戦って欲しい。ミミの巨大爪、ダーヌのスピード感溢れる攻撃、元軍人のブロッサムの手際を考えれば、この3人しか居ない。特にミミ、お前が1番倒してくれると信じてるよ」
「だ、ダイスに言われたのなら仕方ないにゃ…頑張るにゃ!」
ミミは手をグーにして突き上げた。
「俺もそれが妥当だな」
「そうですね。私の剣捌き、ダイスくん見ていてね」
2人も賛同してくれた。これで、今回の作戦の内容は決まった。
決行日はおよそ2週間後、ジリッカにある冒険者ギルド前で冒険者や軍の人と合流し、実行する…
「…2週間か…だったら…」
俺はふと、ある事を思いついた。
「ダーヌ」
俺はすぐにダーヌを呼んだ。
「ん?なんだ?」
資料を片付けていたダーヌが振り返った。
「ちょっと2週間だけなんだが…明日から特訓、してもらうぞ」
その言葉に、ダーヌの顔が一瞬歪んだのだった…
いかがでしたでしょうか?
もしよろしければ評価や感想など、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう。




