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第23話〜再会も束の間…〜

…俺は自分のルックスに文句を言うつもりはない。

だって仕方ない物だから。

ただ、俺の顔が好きじゃないとか言う奴らがいたのも事実だ。

自分でも、お世辞でもかっこいいとは思わない。

そのスキルがここでも発揮されるとは…


「…え?」

「だって!白馬の王子様があんたみたいなの嫌だもん!」

「…は、はぁ…」


いわゆる夢見る少女というべきか…名前が前の世界でいう日本風なのに、白馬の王子様が来るのを待っているのはどうだろうか…


「ウンゼン!」


ふと、後ろでアカギちゃんが叫んだのが聞こえた。


「っ!?お姉ちゃん!?」


…なんとなくわかってはいたが、この子がウンゼンちゃんか…


「良かった…無事で…」

「お姉ちゃぁぁぁん!怖かったよぉ〜!」


ウンゼンちゃんはアカギちゃんを見るなり、すぐに胸に飛び込んだ。

とりあえず一安心だ…


「あ、そうそう。彼がウンゼンを探すのに手伝ってくれたのよ」


アカギちゃんはそう言うと、俺を紹介した。

その時のウンゼンちゃんの表情は、ひどくゆがんだものになった。


「…うそ…」


自分の理想とはかけ離れた人が助けに来たおかげで、ウンゼンちゃんは全く喜んでいない…


「…んまぁ、別にお礼はいらん。とにかくここから出ることを優先しよう」


俺は出口の方へ2人を案内した。


「それにしても、お姉ちゃんって、こんな人が好きなの?」

「正直に言えば、顔だけで言ったらあまり好きじゃないわ…でも、あなたを助けるために動いてくれたし、さっきかっこよかったから…」


アカギちゃんは顔を赤らめながら、俺の顔をじろじろと眺めた。

それを、ウンゼンちゃんはかなり引いている…


「こんな男に釣られるなんて…見る目ないんじゃないの?」

「ウンゼンに言われたくないわ…いつまで夢を見ているのよ…」


俺がいる前でけんかはやめてくれ…なんて思っていると、別で動いていたミミ達と合流した。


「ミミ!みんな!」


俺は手を挙げて呼ぶと…


「あ!ダイス~!」


ミミが真っ先に駆け寄ってきて腕に抱きついた。


「えぇ…この人も…?」


ウンゼンちゃんにとっては俺に抱き着くこと自体不思議に感じるのだろう…


「ええっと…この子がウンゼンちゃんなの?」

「はい、そうです。ほら、ウンゼン、挨拶して」


アカギちゃんに言われた催促されたウンゼンちゃんは、いやそうにしながら挨拶をした。


「…ウンゼンです…助けてくれて…ありがとうございます…」


いやそうにしながらも、ウンゼンちゃんは助けてくれたことにお礼を言った。

とりあえず俺らも自己紹介をした後、この後のことについて話した。


「アカギちゃんとウンゼンちゃんはこの後どうするんだ?」

「村に帰ろうと思います。いったん落ち着いてから、改めて軍に訴えようかなと…」

「どうして?すぐに言った方がいいんじゃないの?」


今のカラノーム軍のことについてよく知らないウンゼンちゃんが、本当だったら当たり前のようなことを口にした。


「本当だったらそうかもしれないけど…実は…」


俺らの任務を知ってくれているアカギちゃんは、カラノーム軍が不正を働いていることを伝えた。


「そうなの!?だから軍の人たちじゃなくて…」

「そういうことなの…」


2人とも、とても悲しそうな顔を見せた。


「…まぁ、それが俺らの仕事だ。君たち二人は早くここから…」


と、俺が言いかけたその時…


「あなたたち何なんですか!」


被害者の救出の指揮を執っていたブロッサムさんの声が聞こえた。


「どうしたのかにゃ?」

「行くか…」


俺の合図で、倉庫の入り口に行くと…そこには、ブロッサムさんと同じ甲冑を着た眼光の鋭い男の人がブロッサムさんと対峙していた。


「私は本当のことを伝えているまでです。この誘拐事件の首謀者はあなたであると」

「意味が分からないわよ、ザルツ班長!私は助けに来ただけです!」


軍の人ではあるが、俺の直感がすぐに危ない人であると察知した。

おそらく、この人がカラノーム軍の不正に大きくかかわっているのだろう…

俺はみんなに合図して物陰に隠れるように指示した。


「第一、証拠はあるの!私がこの人たちを拉致したというのは!」

「ありますよ。今はお見せできませんが…」

「それじゃないのと一緒じゃない!」

「令状は取ってあります。隊長の許可も得ていますので」

「そんな…」


俺らは会話だけ聞いていたが、おそらくその令状もでっち上げだろう…


「…どうするの?ダイス…」

「どうしようもできねぇだろ…そっちに証拠があるというのなら、俺らは無防備だ。そんな状態で言ったところで何もできんだろ…」

「…それでは、ブロッサム様を見捨てると…」

「それは絶対にしない。ただ、軍の不正をたたかなきゃ、あいつらに勝てる算段は…」


と、俺らで誰にも聞こえないくらいの声で話していると…


「おい!貴様ら何をしている!」


…おそらくザルツといった男の人の手先だろう…カラノーム軍の甲冑を着た男が後ろから声をかけてきた。


「…悪いけど、あんたらに言う名前などない」

「そうだぜ!てめぇら汚え匂いがプンプンするからな!」

「なんだと!?侮辱する気か!」


こんなやり取りをしているものだから、いつの間にか俺らの周りにカラノーム軍の人たちが集まってくる。

ブロッサムさんはつかまったのか、声が遠のいていくのが分かり、その入れ替わりとしてザルツといった男の人が前に出てきた。


「これはこれは…あなた方はこの前の事件を解決してくれた…」

「そうか…あんたも俺のこと知ってくれてんだよな…あいにくあんたのことは知らんが…」

「別に知らなくて十分ですが…一応名乗っておきましょう。私はカラノーム軍第1班長、ザルツ・エクリプスだ」

「あんたは俺のことを知ってんだろ?んじゃ、俺は名乗る必要はないな」


俺はふと、周囲に目をやると、軍の人たちが俺らを捕まえようと詰め寄ってきているのが分かった。

俺とミミ、ダーヌ、メノールで、アカギちゃんとウンゼンちゃんをかばうように背中合わせで攻撃態勢に入っている。


「…ダーヌ…突破口切り開けるか?」

「いけないことはねぇが…お前の援護が必須だ」

「後援は任せろ。頼んだ」


俺の一言に、ダーヌは頷き、そして…


「うおぉぉらぁぁぁ!」


ダーヌは裏口へ通じる道へ切り込んでいった。

というのも、俺らがウンゼンちゃんを助けた際にはこの裏口から人が入ってくるところを見ていないからだ。

おそらくこの裏はノーマークなのだろう…


「裏へ行け!敵はそっちへ向かったぞ!」

「みんな、早くいけ!今ここは危険だ!退避するぞ!」

「逃がすな!ネズミ1匹残らずひっとらえろ!」


ダーヌ、ミミ、メノールが先陣を切って裏口へ向かい、アカギちゃんとウンゼンちゃんはその後を追い、追っかけてくる奴らを、俺はアサルトである『AK47』を顕現させて追っ手を駆逐していった。


「お姉ちゃん!ダイスって人の武器何なの!?」

「わからないけど、すごいでしょ!」


逃げている途中、アカギちゃんとウンゼンちゃんが俺の武器についてなんか話しているらしいが、今は無視しておく…

気が付いたら俺らは裏口までついた。

ここまで順当に行き過ぎていたが…


「そこをどけ~!」

「ご主人様の邪魔はさせません!」


…俺の不安を、ミミとメノールが払拭してくれた。

出口で先回りしていた軍人どもを、いとも簡単にミミとメノールが倒していった。

ミミは巨大爪(ビックサイス)でなぎ倒し、メノールはこぶしで男を駆逐している…


「女って怖え…」


先陣を切っていたダーヌが驚きを隠せなかった。

俺もおそらくダーヌと同じ顔をしているかな…

そんな活躍も相まって、俺らは倉庫から脱出することができた。


「…ふぅ…何とか撒いたかな…」

「そうみたいですね…」


何とか落ち着いた俺らは、現状の確認をすべく、ぐるりと囲むように座った。


「…とりあえず、アカギちゃんはウンゼンちゃんと再会できたから、ここでお別れになるかな…」

「そ…そうですね…」


アカギちゃんは妹を救い出せたので、これ以上俺らにかかわることはしなくて十分ではあるが…どこが浮かない顔をしている。

その代弁を、ウンゼンちゃんが代わりに言ってくれた。


「…あの…もしよければなんだけど…」

「ん?」

「…私たちもついて行っていい?」


その言葉に、俺はもちろん、ミミやダーヌ、メノールも驚いた。


「大丈夫なの?もう、妹と再会できたんだし…」

「そうですが…ダイスさんに救われて…恩返しがしたいのです」

「それでもな…君たちは小さいだろ…ここからは危険なんだ…ついていくのはおすすめしないよ」


俺は二人を心配して、村に戻るように言おうとしたが…


「大丈夫です。私たち、こう見えて100年も生きているのです。戦い方に関しては私たちわかりませんが、父や母にいろいろ教えてもらっているのです」

「100年も生きていたらそれなりにいろいろできるからね~。損はないと思うよ~」


2人は自信満々に言った。


「…ん?ちょっと待って?100年生きているって…?」

「あ、そういえば私たちのことあまり話していませんでしたね。私たち、『狛犬族』と言いまして、獣神族と呼ばれる、特殊な家系なのです」



いかがでしたでしょうか?

もしよろしければ評価や感想など、よろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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